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Sri Lanka アーユルヴェーダの聖地へ〈番外編〉/HONEY編集部

Posted, May 19.2020

ゆったりとした時間の中で心身と向き合う、アーユルヴェーダの魅力に迫る

HONEY最新号のスリランカ特集。読者のみなさんからの「もっと知りたい!」とい
う声にお答えして、本誌では紹介しきれなかったスリランカの魅力を番外編としてお届け。

 

今回の企画の現地コーディネートを担当してくれた伊藤修司さんに改めてインタビュー。アーユルヴェー
ダ施設で過ごすことで病気が改善した体験を持つ伊藤さんに、スリランカと出会ったきっかけやアーユル
ヴェーダの魅力、私たちの暮らしに生かせるアーユルヴェーダの知識を伺った。

 


 

スリランカはどんな国ですか?

 

スリランカは、日本のはるか南西、インドの近くに浮かぶ”南の島”。自然豊かで温暖で、人は穏やかで
やさしく、食べ物も豊富。ただそこにいるだけで心も体もほどけ、癒されていくような、そんな魅力の
ある国です。

 

日本とは島国そして仏教国という共通点があり、親日の人も多く、きっと到着してすぐに、すっと入り
込めるような感覚になる国なのではと思います。

 

 

伊藤さんがスリランカに行ったきっかけを教えてください。

 

私は6年前に、多発性硬化症という神経系の難病になりました。東京の病院に何度も入院したり、薬を
変えたりしながら治療をしていましたが、あまりよくはならず、他の方法を探していたのです。

 

そんな時に仕事で行ったスリランカでふと、「あ、この国にはアーユルヴェーダがあった」と気づき、
思いきって1ヶ月の休みをとって、現地のアーユルヴェーダ施設に滞在しました。

 

西洋医療が対症療法とよばれ、「熱があれば解熱剤を出す」医療とすれば、アーユルヴェーダはそもそ
も「なぜ熱が出たのか?」にさかのぼり、その根底から治そうとする医療です。日本の病院と全く違う
アプローチに惹かれました。

 

施設ではどんな過ごし方でしたか?

 

基本的には施設から出ることなく、中で1日を過ごしました。

 

朝はヨガや瞑想から始まり、食事は3食、その人の体質や症状に合わせたものが薬とともに提供され、
昼間はドクターの診断で決められたマッサージを3−4回ほど受けて体を癒す。夜は早いと9時には寝る、
そんな1日です。私の場合は長期滞在したので、さらに「パンチャカルマ」という、体の毒素をより深
くデトックスする、特別な施術も受けました。

 

自由時間もたっぷりあったので、本をたくさん読み、未来のことも考えました。長い時間、そんな風に
1ヶ所でのんびりするなんてあまりないですから、多くの人にとっても、これまでの人生を振り返った
り、これから先のことをじっくり考える、そんな機会になるのではと思います。

 

 

具体的にどんな症状がよくなった、など改善した点を教えてください。

 

私の症状は体の“しびれ”でした。それが滞在後半に少しずつ和らぎ、帰国する頃には6-7割ほど改善し
たことに、とても驚いたのをよく覚えています。もちろん治療としての個人差があることは大前提です
が、自分のこれまでの生活や習慣を省みて、体というのはごまかしのきかない、生きた生命体なんだと
いうことを実感しました。

 

そしてもうひとつ、大きなことに気づきました。時間がたつにつれ、体の奥からこんこんと湧き水が湧
くような、やさしいエネルギーがあふれてくるような感覚になったのです。忙しい東京での生活では、
決して味わったことのない感覚でした。

 

この体験を通じて心底感動しまして。アーユルヴェーダがより多くの人に知られ、活かされるようにな
ってほしいと思い、伝統を守ることを中心に据えながらも今の時代にあった、新しいアーユルヴェーダ
の長期滞在施設を、自らつくろうと決めました。

 

 

今回スリランカ特集をするにあたり、HONEY読者におすすめの施設をピックアップして
くださいました。改めてピックアップした理由や、おすすめポイントを教えてください。

 

今回の特集で紹介したのは、長期滞在を前提としたアーユルヴェーダ専門の宿泊型施設でした。施設に
は、大きく分けると2つのタイプがあります。

 

ひとつは50~70室ほどあるような、大型の施設。リゾートホテルに滞在するような感覚で、大きな施設
でゆっくりできます。運営元は大企業が多く、どこも一定以上のサービスを提供していて、「安心感」
をもって滞在できることが特徴です。その例として、リゾートの代表としてヘリタンス・アーユルヴェ
ーダ、老舗の代表としてバーベリン・リーフを紹介しました。

 

もうひとつは、10~30室ほどの小型・中型施設。大型のような華美さはなく施設も小さいですが、ドク
ターやスタッフとの距離が近く、また客数も少ないので、ひとりひとりがより大切にされてるような感
覚で過ごせます。一方で、細かなサービスは行き届かない時があるかもしれませんので、好みで選ぶの
が良いと思います。今回はジェットウィング・パビリオンと、ヒルヴィラをあげさせていただきました。

 

 

伊藤さん自身がプロデュースしている施設について教えてください。

 

そもそも今の時代になぜ、古いアーユルヴェーダが必要なのでしょうか。

 

それはアーユルヴェーダが「生き物としての感覚を取り戻す」ことに直結してるからだと思います。心
身ともに健康で、体の内からエネルギーが湧く状態。そんな生き物として原点に立ち返り、生命力が戻
ってくるような場所を、この時代に、ゼロから長い時間をかけて作りたいと思いました。そんな想いを
「Tagiru. (たぎる)」という名前に込めました。

 

これまで色々な施設に滞在し学ぶ中で、もっとこうだったらいいな……ということがたくさんありました。
それを私の施設では反映していくのですが、最も大切にしたいことが「この時間が、その後の人生にど
んな影響を及ぼすか」です。

 

貴重な時間を使って来たのだから、ただサービスとして受けるだけでなく、「学びたい」と思う人は多
いのではと思います。Tagiru.は、ゆったりした時間をすごしながらも、より深く自分の体の個性を知
ったり、帰国してからもできることを学ぶ体験の場になります。東京での生活が長かったからこそ、今
の日本とアーユルヴェーダを結ぶ橋渡しができればと思います。

 

今回のコロナ禍で、自分が心身ともに健やかであることの大切さに、多くの人が気づいたのではないで
しょうか。そんな「生命力」にあふれた状態で、瞬間瞬間を楽しんで生きているというプロセスそれ自
体が、とても大切な価値に変わっていくと思います。

 

 

今、新型コロナウイルス感染拡大対策で自宅で過ごす時間が増えました。どんな過ごし方
がおすすめですか? アーユルヴェーダでおすすめの食べ物などもあれば教えてください。

 

自粛の日々が長く続き、不安も大きくなりますよね。あらためて「健康とはなんだろう」と、本質的に
考える人が増えていると思います。それに対してアーユルヴェーダは色々なヒントを与えてくれます。

 

まず、現代人の私たちが考えがちな「特効薬」のようなものはないと、理解するのが最初だと思います。
人の体は複雑な仕組みで動いていて、「何かさえすればOK」というようなことは(残念ながら……)あり
ません。貯金箱に入れるお金のように、健康は日々の小さな良い行動の積み重ねでできていると考えら
れています。

 

その日々の行動を「ディナチャリヤ」と言って、朝起きてから夜寝るまで様々なことが勧められていま
す。例えば朝は、歯磨きだけでなく舌を掃除することや、排泄を促すために白湯を飲むこと。HONEYの
読者さんは多くの人がヨガをされてると思いますが、アーユルヴェーダとヨガは仲良しの姉妹のような
もので、ディナチャリヤでも奨励されています。

 

そして自宅ですごす時間の長い、今に特有のことで言うと、やはり「食」が一番気遣うべきところです。
お取り寄せをしたりZoom飲み会をするなどライフスタイルが変わる一方、運動の量は確実に減っていま
すから、自身の体調・体重の変化を感じ取りながら、腹八分めを心がけるとよいです。当たり前のこと
ですが、きっと気分を変えてくれるはずです。そして、できるだけ新鮮な生きている感じのする食べ物
を食べること、ゆっくりゆったり食べること。総じてより自分を「地に足をつけて、今をしっかり生き
ている感じ」にしてくれるものを感じながら選んでいくことが、アーユルヴェーダで大切なことです。

 


 

お話を伺ったのは……
伊藤修司さん

Tagiru.代表。国立大医学部中退、慶應義塾大経済学部卒業。自身の持病「多発性硬化症」を、スリラ
ンカのアーユルヴェーダ施設への滞在で大きく改善させた経験をきっかけに、Tagiru.を立ち上げる。
2021年後半のオープンをめざし、現地に新しいアーユルヴェーダ長期滞在施設を準備中。

Web http://tagiru.com/  Instagram Twitter

photo by  Nozomu Tomita(Top image), Akiko Ishino

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