【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.32 それって誰にとってのサステイナブル?

一方で、環境にも動物にも人権にも、あらゆる配慮をストイックに追求する作り手さん、消費する側も「自分が楽しく美しく健康でいたいからって、大好きな海を犠牲にするのはイヤ」とまっすぐな気持ちで取り組みながら、たとえば「オーガニックなものは好き、でもプラスチックの容器包装は海のためにやめてほしい」という感覚を広めている、そんな純粋な思いやりに触れることもたくさん増えました。もちろん本気で取り組む人、ゆるくやりたい人、どちらの意見もあっていい。いっきにすべてを変えられるわけでもなく、消費者としても完璧にできなくて当然だと思います。ただ、どんなペースで何をするにしても、やっぱり「人間だけが満足すればいい」という姿勢を変えないかぎり、またどこかで別の環境問題を生み、また別の生き物たちを傷つけ、結局は延々とそうしたイタチごっこが繰り返されるだけだろうなと感じています。

地球上に何千万種ともいわれる生物の、たった一種にすぎない人類が、それもここ数世代で圧倒的な破壊力を持って、自然環境と生態系を壊し、世界中の海はプラスチックまみれに、「地球の呼吸」まで乱すほど、CO2と酸素のバランスも崩れた今。世の中は「もっとサステイナブルなものを増やそう」という気風が流行りではあるけれど、私はむしろ、自然の摂理や生態系はそんなに単純な仕組みではないと感じるからこそ、一度失ってしまったものはそう簡単に、人間の力では元の姿に戻せないと知ることのほうが、大切じゃないかなと思っています。たくさんのダメージを見れば分かるように、現代人は自然と人との間に静かに引かれていた、守るべき境界線をはるかに超えてしまった、そのことをどう感じて、どんな地球を後世に引き継ぎたいか。そう考えたとき、私の結論はいつもここに行き着くのですが、足し算ではなく引き算で、とにかくTOO MUCHをやめること。海とそこに暮らす生き物たちを溺愛するあまり、私の場合は偏屈なほどのこだわりに自分で笑ってしまうときもありますが、ゆるくいきたい人、ストイックにいきたい人、いろんな人がいる中で、なかには私のように極端な変わり者がいてもいいのかなと思っているところです。

text:Ayako Minato

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