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【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.34 いつまでも残したい「世界遺産」の裏側に

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日本でも富士山や小笠原諸島など、世界遺産として登録された後に観光客が増え、ゴミ問題や汚染、自然資源のオーバーユース、外来種の侵入といった被害が見られています。1993年に日本初の世界自然遺産に登録された屋久島も、人口1万人ほどの島に多いときで年間40万人もの観光客が押し寄せ、ダメージを受けた聖地の一つ。今年は新たに、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が日本で24件目、世界自然遺産としては小笠原諸島に次ぐ5件目として登録されましたが、すでにあちこちで開発が進んでいます。とくに離島エリアはLCCが就航以来、来島客数が増加傾向にあり、護岸工事や森林伐採、土砂の採掘、汚染問題などが広がるとともに、森や沿岸の開発が進むほど動物たちも棲み処を奪われていきます。レンタカーや観光バスも増え、「ロードキル」と呼ばれる車と野生生物の交通事故件数も増加。外来生物の侵入によっても生態系に悪影響が及び、奄美大島・徳之島ではアマミノクロウサギ、沖縄北部ではヤンバルクイナ、西表島のイリオモテヤマネコなど、島ならではの固有種やたくさんの稀少種が絶滅危惧種となっています。世界遺産登録についても地元では賛否両論あり、「嬉しいような嬉しくないような。開発や島外者が増えて、手つかずの自然が荒らされるのは辛い」「唯一無二の自然と、この島らしい雰囲気は消えないでほしい」「ゴミだらけの海になってほしくない」といった声も多く聞こえてきます。


「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」といえばクリスタルブルーの海とここにしかない風景、海洋生物の顔ぶれもとりわけユニークで、西表島の東には「石西礁湖」という日本最大のサンゴ礁群も広がるほど、海を見ても世界に誇れる美しさと生命のゆりかごを擁しています。にもかかわらず、今回世界遺産として登録されたのは陸域のみで、海域は除外されています。その理由は、海洋ゴミの問題が深刻で、サンゴ礁の白化・死滅も広範囲で進んでいるから。そんな事情で対象外だなんて悲しすぎるけれど、個人的には、世界遺産かどうかは単なる人間目線の評価にすぎなくて、確かにそこにも未来にずっと残していきたい海がある……だからこそ海への思いやりを最大限に、これからも島を大切に愛でる旅人でありたいなと。8年くらい前のことですが、小笠原の方が「世界遺産になって観光客は増えたけど、残念なことに『世界遺産』を見に来る人が多くて、『小笠原』を感じに来る人は少ない」とポロッとこぼしたこの言葉を、私はずっと忘れられずにいます。

text:Ayako Minato