HONEYが気になるあの人にQ&A_#22/人間と自然の関係性を追求する、アブストラクトアート「Kelly Knaga」


シカゴを拠点にマルチなアート活動を行うKelly Knagaさん。2人の子供を育てながら自宅をDIYでリノベートしたり、畑で野菜を育て、そのうえアートに関する多くのプロジェクトをこなしているヘルシーでエネルギッシュな女性。柔らかいシェイプとカラーで散りばめられたエレメントが私たちの童心をくすぐるのか、彼女の作品は妙に心地良い。話を聞いてみると、とても研究熱心な人。リサーチを重ね、ディープな思考のもと生まれているアートだった。

-まず、あなた自身のことを教えてください。
私の作品の多くは、自然とアートの交わりを讃え、母なる自然や大地と人間の複雑な関係を探求することに重きを置いています。幼少期の体験や、祖父母の農場で育った、まるで冒険のような経験が影響していると思うんです。形、イメージ、色、物語を重ねることによって、植物、風景、そして環境と私たちの関係を、作品を通してリサーチしています。色彩に関しては、人類学的研究、地図、ストーリーテリング(物語を語ること)を通じて、歴史的だったり時にはフィクション的な文献を参照したりもします。

-アーティストとしてのキャリアはどのようにスタートしたのですか?
小さい頃から作品を作ってきたんですが、カリフォルニアに住んでデザイナーやアーティストとして働くようになるまでは、自分のことをアーティストだと思ってませんでした。西海岸には、尽きることのないインスピレーションと空間があって、そのおかげで自分自身の一部とつながることができました。

-あなたの作品にはたくさんの色が使われています。明るく陽気だけど派手すぎず、落ち着きと安らぎを与えてくれる印象です。
嬉しいですね、ありがとうございます。私は長い間、人間が環境にもたらす影響とその複雑な関係について調べていたので、明るい色を使うことに躊躇していたんです。この世界には“破壊”があまりにも多すぎる。多くの悲しみもあります。でも、自然の中には尽きることのない喜びや平和があることにも気づきました。もしかしたら、その喜びや平和が様々な問題を解決するための別の道筋になるのかも、と思って色を使うことにしたんです。

-あなたの作品にはそれぞれストーリーがあるのですか?
すべてのもの、すべての瞬間にストーリーがあると思います。誰もがそのストーリーを自分自身で解釈することができるんです。

-写真と手描きを組み合わせたシリーズについて聞かせてください。この写真もあなたが撮ったのですか?
ここ1年くらい、写真とドローイングを組み合わせた新しい作品を模索しています。実は長い間写真から遠ざかっていたんですけど、こうやって写真を再開できて、今すごく楽しい。写真とドローイングを組み合わせることでより分かりやすい表現が可能になるのに、とても刺激的でもあるんです。写真は私の日課の“ウォーキング・メディテーション”から生まれたもの。瞑想は、今いる環境と空間に目を向けるきっかけを与えてくれるんです。ドローイングは、私たちの会話やストーリーに新たなレイヤーをもたらしてくれます。

-シカゴのご自宅では菜園も楽しんでいるようですね。
そうです。菜園は自分で作り上げた美しいストーリーのようなもの。家族、祖父母、彼らの農場、子供時代を過ごした場所に敬意を表すための一種の方法だと思っています。子供たちと一緒にガーデンにいると、昔家族で畑作業をしたり、祖父とトラクターに乗った記憶がよみがえってくるんです。食べ物がどこから来るのか、土地に敬意を払って大切にすることを子供たちに教えられますよね。しかも、その日収穫したおいしい食材を夕食に食べることもできるのが最高に幸せ!

-作品は海外でも販売されていますか? 日本にいる私たちが購入できる方法があれば教えてください。
作品は家やホテル、会社などを設計しているバイヤーやインテリアデザイナーに販売することが多いですが、Webサイトでも一部を販売してます。また、個人の方にコミッションで作ることもあります。ぜひのぞいてみてください。

-次の展覧会などの予定があれば教えてください。
数週間後にシカゴのSoho Houseの壁画を描くことになってます。あとバスケットボールチームのシカゴ・ブルズとシカゴのアートギャラリーAll Star PressのコラボイベントThe Art of the Gameに参加する予定です。

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