HONEY

2020.05.07

SUSTAINABLE

フィリピン・シアルガオ島 広がるエコの輪

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大量のゴミから島を守るには?

最新号(Vol.28)はすでにご覧いただきましたか? 「Hidden Asia」という特集で、スリランカとフィリピンの魅力をお伝えしましたが、 ここでは本誌では書ききれなかったフィリピン・シアルガオ島の とっても刺激的なエコ活動についてシェアします。

「南国」のイメージをそのままカタチにしたようなシアルガオ島。 道路が舗装されず、手付かずの自然がたっぷりだった数年前まではここも環境問題とは無縁でした。

しかしサーフスポットやリゾート地として名が知られるようになり ビジネスが急成長していくと同時に環境問題も浮上。 小さな島には適切な廃棄物処理場、リサイクリングシステムや埋立地がなかったため 観光客が日々排出する大量のゴミに対して、処理が追いつかないという問題が起きたのです。

ビーチはゴミだらけで、溜まったゴミがどんどん森を埋めていく状況に 危機感を持った島の人々が立ち上がり、環境に関する独自の条例が作られました。 そのひとつに、シングルユースプラスティックの廃止があります。 ビニール袋は廃止され、基本的にペットボトルのドリンクも販売していません。 ホテルの部屋には瓶ボトルで水が用意されていたり、町の至るところに水のリフィルステーションが設置されています。 うっかりペットボトルを持ち歩いてしまうと恥ずかしいくらい。



また、この島でビジネスを行う際には、決められたエコルールにのっとって営業することが条件となっています。

ある衝撃的な事件が2020年のはじめにありました。 某大手ホテルチェーンがシアルガオにオープンしたのですが、 ゴミの不法投棄や騒音、マナー違反などが繰り返されたことでローカルが激怒。 ホテルを閉鎖させ、島から追放してしまいました。

でも、どうやって島を守る体制ができたのでしょうか? 島にお金を落としてくれるビジネスに飲まれてしまうことだって簡単だったはず…。

ひとつのキーは、“女性のパワー”ではないかと思っています。 フィリピンはいい意味で女性がとても強い。 島にはたくさんの環境保護団体があるのですが ほとんどのNGOの立ち上げ&運営をしているのが女性だそうです。 思い立ったらすぐ動ける行動力に、周りと手を取り合うあたたかさ、 シリアスになりすぎず、ユーモアもたっぷり。 何より、海を、森を、動物を愛する優しい心を持った女性ばかり。 条例を作るよう島のトップに働きかけたのもこういった団体でした。

島で取材した環境団体SEA Movementの代表、マルジャ・アバッドもそのひとり。 誌面でも彼女のインタビューを掲載していますが、 ビーチクリーンからはじまり、島の条例の提案、エコキャンペーンの実施、 ローカル企業のサポート、子供たちへの教育まで行う、エネルギッシュな女性です。



彼女の印象的な言葉をいくつかご紹介。

「急成長しているシアルガオの発展を止めることはできないけど、 その成長に責任を持って、サステイナブルなかたちで進めることはできるの。 それはコミュニティの努力次第。私みたいにこの場所が気に入って住み着いた移住者と ここで育った人との結託が大切。この島のオーナーは誰でもなく、ローカルたちだから


「市長相手にメールや手紙を書いたって簡単にスルーされちゃう。
だから30分かけて車で直接役場まで行かなきゃいけないの。だから私、いつも時間がないのよ(笑)」


「ついに環境問題の弊害が自分たちに降りかかってきて、 考える機会が増えたからかEco-Anxiety(環境心配性)になる人が増えてるみたい。
私もつらいことがあると、こんなこと始めなきゃよかったのかも、と思う時もある。 でも今ストップしたら、誰がやってくれるの? やっぱり私しかいない、そう考えて前に進むの」


「ビーチクリーンは、最初は子供たちにゲーム感覚でやってもらっていたわ。賞品をあげたりしてね。
海にゴミを捨てるのがなんで悪いかがわかるような自作のビデオを見せたりもしてる。 子供たちへの教育が一番大切。彼らが次の世代の担い手だからね」


「こうやって環境問題について話すこと自体がひとつのステップ。
そこからいろんなことを知って、考えるようになって、何かをスタートするようになるの」

 
なんだか不可能なことはないように思えてきます。 市長への直談判も、ローカルやキッズを巻き込む姿も。
彼女たちも海外の環境団体やフィリピンの他の島(例えばボロカイ島封鎖のお話。ぜひグーグルで調べてみてください)から インスパイアされたり事例を活かして行動しているそう。
環境に関する本や記事を読むこと。それを誰かに話すこと。自分の意見を述べること。 自分をインスパイアし続けることで何をすべきか、見えてくるものがあると思います。
この地球のオーナーは誰でもなく、私たち自身に運命が委ねられているから。



Alice Kazama フリーランスのエディター/ライターとしてHONEY magazineに携わる。 海沿いの町に住み、サーフィンと気ままな田舎暮らしを楽しんでいる。 Instagram

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