HONEY

2020.08.23

SURF

海と夢を遊牧した12年間 Liz Clark Nomadic Ocean Lifestyle Vol .03

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‟いまこの瞬間から、自分に何ができるか考えて欲しい”

航海した距離2万マイル、訪れた国12ヶ国、115 諸島。遭遇した嵐の数18、ビキニ8セットにサーフボ ード9本。太平洋をまたにかけ12年間海を放浪した、1人の女性と勇敢な猫。環境問題に取り組み、無人 のパーフェクトウェイブを追い求めたアドベンチャーストーリー。



12年間にわたって世界をセーリングしたキャプテン・リズ。カリフォルニア・サンディエゴで育った 彼女は、セーリングしながらサーフィンをして世界をまわり、多くの問題から地球を守るという夢を 幼少期からもっていた。22歳のときにメンター(師)となるバリーに出会い、世界一周の旅を託され 大海原へ出発した。

シンプルに暮らすことへの挑戦、海の生き物との交流、巨大ストームとの遭遇、孤独との闘いなど、 数々の稀有な体験をした長いヴォヤージュで彼女が得たものとは。




かけがえのない地球、愛する海に何ができる?

現在リズが最も関心を寄せているのは、プラスティック問題と食である。過去に日本を訪れたとき、過 剰なプラスティック包装に大きなショックを受けたという。「バナナが1本ずつラップに包まれていた り、包装の上に包装を重ねていたり、買い物客全員にビニールバッグを手渡していたり……。驚いたと いうより、ショックの方が大きかった」。

プラスティック問題への意識が高まってきた昨今、ビニールバッグの有料化や紙バッグへの切り替え、 ショッピングバッグの持参を促す店舗も増えてきているが、すべてに行き届いているわけではない。意 識があったとしても、行動に移せていない人も多いだろう。

そしてプラスティック問題の代表とも言えるペットボトルに対して、リズは持論を唱える。「自然を愛 する人の間ではマイボトルを持ち歩くことが習慣化し始めているが、まだまだほんの一部。リサイクル するのは当然のことだし、リユースすることで再利用するエネルギーを削減できる。そして使用数を減 らしていけば、いずれはノーユースに辿り着くことができる」。






一方食に関してはこうだ。「食生活に意識を向けて変化をもたらすことで、私達は地球に大きなインパ クトを与えることが出来る。例えば、私は6年前にビーガンになったが、そうすることでCO2の排出量 を抑えることができた。何よりも肉や乳製品などの産業は非人道的なことが多く、その活動を減らす一 助を担うことができた」。CO2の排出量と同じく、保存料、ホルモン剤、抗生物質の投与、ひいては農 場を作るために伐採される森林など問題は山積みである。地球は1つしかなく、使い捨ては出来ない。 環境家の間でよく言われる、″プランBはあっても、プラネットBは存在しない″。食は生命の源であり毎 日のこと。だからこそ高い意識を持ち、環境への負荷を考えた選択が必要ではないだろうか?

長い年月を海の上で過ごしたからこそ、今度は陸の上で生活しバランスを取り戻したいというリズ。ポ リネシア諸島に家を構え、陸と海とのハイブリッドな生活を送っていく。そして、環境問題に積極的に 取り組んでいくそうだ。世界の人々が持続可能且つハーモニーのある生活が送れるよう手助けすること が、現在の夢である。







旅で得た最大のギフトは、ありのままの自分を愛すること

自身の中にある女性らしさ、フェミニンな部分があまり好きではなかったというリズ。〝男性のように 強くならなければならない、弱音を吐くと負けになる″、そんな風にずっと考えていた。そんなリズが この旅で得た最大の贈り物が、ありのままの自分を愛し、受け入れることが出来るようになったこと。 諦めたりハードルを下げたりするのではなく、そのままを享受する。ここに辿り着くために瞑想する人 もいれば、旅に出る人もいる。もちろん何も努力することなく、自然に自分を受け入れることが出来る 人もいるだろう。

12年という長い年月の大半が孤独とチャレンジの繰り返しだった船上では、向き合って意見交換ができ るのは自身のみだった。チャレンジの後に待っているご褒美は、自分への信頼と自信なのだ。リズはそ れを繰り返すことで、自分を信頼できるようになり、すべてを愛することを学んだ。「自分のフェミニ ンな部分を認め、受け入れ愛したときに、物事は驚くほどスムーズに流れ始めた」。自分への愛が溢れ ている人は、他人に対しても愛を注ぐことができる。そうやってこの地球は愛に溢れ、平和に包まれる。 私たちもリズのように心を開き、自他ともに愛し、美しく生きていきたい。






Liz Clark リズ・クラーク サーファー、キャプテン、環境活動家、ブロガー、パタゴニアのアンバサダー。カリフォルニア・サン ディエゴ出身。サーフフィルム『Dear and Yonder』(2009年)でフィーチャーされた後、2015年に ナショナル・ジオグラフィックで“アドベンチャー・オフ・ザ・イヤー”にノミネートされる。2018年初 となる旅行記『Swell -A Sailing Surfer’s Voyage of Awakenin』を上梓。 www.swellvoyage.com @captainlizclark



掲載:HONEY(ハニー)Vol.25

photography : Jianca Lazarus text : Maki Mukaeda (3 little spirals)

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