HONEY

2020.11.05

CULTURE

アナログカメラをとおし、被写体に向けるピュアな視線 | Female Artists #04 コリーナ・ローズ・バーニック

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自然が見せてくれる一瞬を、心の赴くままに切りとる

そのころオレンジカウンティでは、彼女がかつてトーマス・キャンベルの作品で見たようなレトロなムーブメントが盛り上がりをみせていた。コスタメサに住んだコリーナも縁あって地元で人気のサーフボード・レーベル、ダノーのライダーになれた。そしてRVCAでの仕事も得ることができた。いまはデジタルマーケティング部門でRVCAのメインアカウントとRVCAウィメンズのソーシャルメディアを担当。彼女のフィアンセで元プロ・スケーターのオースティンも、同じくRVCAスケートボードのインスタグラムを担当している。

「オースティンもすでにカメラのコレクションをもっていた。彼はエド・テンプルトンとディアナ・テンプルトンといったアーティスト・フォトグラファーととても親しくて、私も彼らからフォトグラフィやアートに対して意見やアドバイスをもらえるようになったのですごくラッキー。彼らが自分たちの作品をファインアートの域に押し上げていることにとても触発されている。私は楽しむために撮っているだけなんだけど、それでももっと上達したいって思う」

コリーナが写真に興味をもったきっかけは母親だった。いつも5人の子供たちの写真を撮っていたという。高校で写真の基礎を学ぶクラスを選んだコリーナは、授業でオートミールの缶に穴を開けてピンホール・カメラを自作。カメラの基本的な構造と、写真のシンプルな仕組みを理解する。母から愛用のフィルムカメラを譲り受けると、写真への興味はどんどん膨らんでいく。さらにアンティーク・カメラを集めている叔父からも古いカメラをいくつか譲り受ける。それらはいまも彼女の写真に対するモチベーションであり、大切なコレクションだ。



いま彼女のお気に入りは中古で手に入れたニコンFE2。旅に出るときは必ずもっていく愛機だ。ときにはモデルのひとりとして、またガールズサーファーとしてRVCAの他のライダーたちとトリップする機会も多い。バリや日本、メキシコ、ハワイ。その旅先でたくさんの写真を撮ってきた。

「興味があるのは自然。ストリート・フォトグラフィーやポートレイトも高く評価するけど、いま私は植物や風景とかを撮影するのに夢中になっている。ピュアな自然とか。ニコノス(防水フィルムカメラ)で水中でも撮影しはじめた。サーフアクションに興味はない。海のなかで、太陽が低いときに水がどう流れているかを見たりして、水面のテキスチャーを撮ったりする」

他にもコリーナにはさまざまな才能がある。コミュニティ・カレッジでアートを学んでいたこともあり、数年前にはRVCAのためにいくつかロゴも手がけた。ハンドレタリングを好み、手刷りの印刷にも興味がある。手描きならではの温みのあるシンプルさや先人が生み出した印刷技術に敬意を払っているという。さらに文章を書くのも大好き。コスタメサ発のビーチガールズスタイル誌「Herewith」でも何度かアーティクルを書いたことがあった。ウェブサイトでも自分の旅の記憶を情緒的に綴っている。



「いつかギャラリーで写真展をやりたいし、写真集を作れたらとも思っている。もしプリントが売れたら売上の一部をエコフレンドリーな団体に寄付したい。海や自然からたくさんのものを与えてもらったから、その恩返しとして。もし写真集を作れるならそのタイトル文字を自分で描くのもいいわね。いま漠然とそんなことを考えている」

どれも中途半端だと謙遜するが、写真と文章と手描きのタイポグラフィーの才能をあわせれば、確かに本が作れそう。それはきっと、コリーナがこれまで培ってきた創造性と感性の豊かな結晶になるだろう。


photo by Corina Rose Barnick



コリーナ・ローズ・バーニック

カリフォルニアのセントラルコースト出身。フォトグラフィやアート、デザイン、ライティングなど、クリエイティブなセンスを活かし、RVCAでデジタルマーケティングを担当。高校のころからフィルムカメラの魅力にはまり、アナログなアプローチで撮影し続ける。



掲載:HONEY vol. 28

photography & text : Takashi Tomita

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