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2020.12.03

SUSTAINABLE

【連載】地球の今、海の今を知る |Vol.08 「過剰な窒素・リンが招く、デッドゾーン(2)」

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「死の海」と聞くと、サンゴ礁の消滅や磯焼けによる海の砂漠化など、悲しいくらいさまざまな問題も思い浮かびますが、海が酸欠になり、生き物たちが生存できないデッドゾーンはそれらとはまた別の現象として、世界の海に広がっています。原因のひとつは、(1)でお伝えした窒素・リンの循環異常。窒素もリンももともと自然界にあるもので、それ自体が悪いものではありません。ある程度の許容範囲ならうまく循環していくものですが、地球のさまざまな限界点を教えてくれる「プラネタリー・バウンダリー」の評価では、現在の窒素循環は限界値よりも3倍以上、リン循環は2倍以上も超えて、すでに危険領域に達してしまっています。

過剰に増えた窒素やリンがデッドゾーンにどうつながるのか? その理由のひとつは、私たちが毎日いただく穀物や野菜、果物などを作るために、または家畜の飼料を作るために、食料以外にも衣類のコットンなどを栽培するためにと、さまざまな農地で多く使われている化学肥料です。そもそも窒素もリンも、私たちを含めた生物が生存するために必須の栄養素で、動植物や人間を介しながら自然界でゆっくりと循環しています。とくに植物の成長には重要な役目があり、窒素はタンパク質や光合成に必要な葉緑素などとして、リンは開花や結実を促す栄養分として働きます。そのため、窒素・リン・カリは「肥料の三大要素」として人工的に大量生産され、化学肥料に多く含まれるようになりました。それも安価で即効性があるとして、この50年間で化学肥料の使用が約10倍に増加。窒素は現在、年間1億5000万トン以上が使われ、その半分は川や海へと流れ出ているそうです。

そうして大量の窒素やリンが水域に流れ出るとまず、栄養分が豊富になりすぎる「富栄養化」が起こります。すると、それを餌とする植物プランクトンが異常発生し、赤潮などを招きます。大量発生したプランクトンはそのあと死滅して、たくさんの死骸が海底に沈殿していきます。次に、その大量の死骸を分解しようとする微生物たちが活発に働き、このとき海中の酸素をたくさん使うため、その一帯が「貧酸素水塊」になってしまう……これが過剰な窒素・リンからデッドゾーンの発生につながっていくプロセスです。

text:Ayako Minato

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