HONEY

2021.01.12

CULTURE

海を感じるジャズギタリスト・小沼ようすけ|自分の表現を出し切ったときに始めたサーフィンの存在

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小沼ようすけ

音を紡ぎ、波に乗る。演奏するのも、波に乗るのも“即興”、そして、海は自分と対峙し、リセットしてくれる場所だという。大切な海の存在について語ってもらった。


第1回ゲスト
小沼ようすけ


HONEY(以下、H):2001年にデビューして、現在では「海を感じる」ジャズギタリストとして活躍中の小沼さん。「音楽とサーフィンとの関係性」や、ジャズギタリストになったきっかけ、サーフィンを始めたきっかけは?

小沼ようすけ(以下、O):
プロミュージシャンを目指して音楽専門学校に通っていたとき、ジャズの授業で全く弾けなくてショックを受けたんです。落ち込んで夏休みに帰省した際、父親がたまたまジャズのアルバムを車の中でかけたんです。自然な流れで反応して、僕が目指すものは「ジャズだ!」と、18歳の夏休みの一日で人生が変わったんです。

H:2006年にサーフィンを始めたんですよね?

O:
アルバムを5枚リリースして、ちょうど自分の表現できることを出し切ったときでした。僕は日本海育ちなのですが太平洋に憧れていて、葉山に移住する3年くらい前、ビッグウェーバーの佐久間洋之介くん(2006年不慮の事故で他界)に出会ったんです。彼が醸し出す空気感が特別で、それでサーフィンに興味を持ったんです。音楽を演奏するだけでなく、自分らしさ、景色がほしかったのかもしれません。サーフィンを始めて10年ぐらい経ったとき、ライフスタイルが音に表れるんだと知りました。僕の演奏から「海を感じた」と言われると、いまの人生を選んでよかったと思います。

H:海のある暮らしが、小沼さんの音楽に影響を与えたということですね。

O:
サーフィンを通じて、その時、その場所でしか起こらないことを楽しむという経験をし、即興演奏に通じると感じたんです。毎日見る夕陽の色が違ったり、波が違ったり……それは演奏する会場やお客さんを見て変えるのと同じ、そのときだけの表現と同じだなって。サーフィンで得た経験は、自分を核心へと導いてくれる原動力になりました。湘南出身ではない僕は、今でも海に入るとき“おじゃましている”という感覚になります。それはツアーのときも同じで、音楽もサーフィンもローカルリスペクトが大切だと、その考え方をサーフィンから学んだように思います。

H:音楽自体も変わりましたか?

O:
葉山に住んでみて気づいたことは、よく晴れた日の静かな海もあれば、大荒れの海もあり、それらすべて同じ海として受け止めるということ。様々な風景にフィットできる音を表現できるようになりました。また海の近くで生まれた音楽にも興味を持つようになりました。その土地に実際に足を運び、体感できたら最高だなって、思うようになったんです。その夢を叶えたのが、フレンチ・カリビアンのミュージシャンとのコラボレーションでした。NYのジャズアーティストのコンテンポラリーアルバムで、グアドループ島(カリブ海のフランス海外県の一部)のトラディショナルリズムGwoka(グォカ)、独自の民族音楽を知ったんです。“グアドループ”ってネットで検索したらサーフィンができると知って、このリズムと一緒に音楽をやろう!と。パリでレコーディングした後8時間かけて行き、念願のカリブ海で波乗りをしました。

H:まさに旅して、サーフィンして、音楽をつくる、ですね。ところで、HONEYのオリジナル映像で届けるYouTube作品の音楽制作を担当してくれましたね?

O:
映像を見ながら演奏するのは、今までと違ったアプローチでいい経験でした。自分のギターと向き合って意識を浮遊させていく、みたいな感覚です。即興で演奏しているとフレーズやアイデアなどいろんなものが流れてくるんですが、集中しているときって宝物がわかるんです。マンハッタンビーチの映像、すごくよかったです。ぜひたくさんの人に聴いてもらいたいです。

photography : Makoto Ebi, Yasuma Miura composition : Makiko Fukuzawa

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