HONEY

2021.05.04

SUSTAINABLE

世界の海から、魚たちが消える日|私たちができることはあるか?

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NO EARTH, NO US


「地球全体の生物多様性は今、過去50年間で68%減少したとWWFのレポートで発表しましたが、海の生物もこの50年で半分以下と、急速に減少しています。FAO(国連食糧農業機関)の発表によると、私たちが利用している漁業資源も、その30%以上が獲りすぎの状態、漁獲量をこれ以上増やすと危険な資源も60%近く、まだ十分に余裕があるのはたった6%しか残っていないんです。とはいえスーパーに行けば豊富な魚介類が並ぶ今は、それほど危機感を感じられないと思いますが、海の中を覗くとじつはかなり深刻で、水産資源は危機的状況にあるんです」

そう教えてくれたのは「WWFジャパン」海洋水産グループの滝本麻耶さん。原因はまず漁業の近代化による「乱獲」が背景にあり、大きな網で大量の魚たちを効率よく獲れるようになったこともリスクを高める一つ。そこでは狙った以外の魚やイルカ、ウミガメなども網にかかってしまう「混獲」も問題で、重りのついた網を引きずる底引き網漁などが海底の環境や生態系をむやみに破壊することもある。

今とくに乱獲の被害を受けているのは、海洋食物連鎖網の上位にいるサメ類やマグロ類。IUCN(国際自然保護連合)が絶滅危惧種を評価する「レッドレスト」にも160種を超えるサメが並び、世界最大の魚であるジンベエザメも絶滅危惧種。生態系の頂点に君臨するサメ類は個体数が少なく繁殖率も低く、回復には長い時間がかかるとされるけれど、フカヒレとして高価に取引されることからサメの乱獲が加速し、なかにはヒレだけを切り取って、体は生きたまま無残に海へ投げ捨てる漁も行われる。サメに限らず、こうした違法漁業や管理ルールを守らない漁業(IUU漁業)で獲られた魚介を知らずに食べていることも多い。

意外な原因では、ペット用、またはブラックバスなど釣り用の外来種が輸入されたり、外国船が排出するバラスト水から外来種が持ち込まれたりして、生態系が撹乱された海域も。さらに海水温の上昇によってもサンゴ礁の消滅や海藻林の砂漠化が進み、海流が変わり、本来の回遊域や生息域、産卵場所なども大きく変化。海洋生態系の底辺を支える植物プランクトンも、水温上昇によって減少している海域もある一方では、頂点にいるサメやマグロも多くが絶滅危惧種で、ピラミッドの崩壊は進むばかり。加えて化学物質やプラスチック汚染も生き物を苦しめ、食料や衣服繊維などを大量に栽培する陸地で化学肥料が過剰に使われることから、海のデッドゾーンと生き物の大量死も世界各地で増えている。

photography : Tamaki Ozaki illustration : Etsuko Taguchi composition : Ayako Minato

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