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2021.05.05

LIFESTYLE

【ハワイ人気コラム】Ocean Life of HAWAII |「To Live True to Myself」 words by Kai Uehara

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Ola Kai no Hawai'i Ocean Life of HAWAII #027

To Live True to Myself



眩しい陽射しが照りつける冬の青空のもと、愛犬マンゴーと散歩の途中、突然足が痛くて歩けなくなった。右のかかとを地面につけようとすると、足の裏に激痛が走った。怪我をしたわけでもないし、いったい何だろう。経験したことのない、差し込むような痛みだった。その場で立ち止まっていると次第に痛みは和らいで、少しすると何もなかったように歩けた。不可思議だった。それから、痛みは歩く度に現れるようになった。身体の痛みが、まさか自分自身からのメッセージだとは、まだ思いも知る由もなかった。

ハワイ島プナのジャングル生まれのマンゴーは、子供の頃からエネルギッシュなハイパードッグだ。野ブタを射止めるために、狩猟犬を好んで飼うハワイアン達にも可愛がられてきた。そんな彼も、9才になって少し落ち着いたけれど、相変わらず笑われてしまうくらいスーパーエナジテイックだ。そんな彼との毎日の散歩は、約10キロ、4時間はかかる。彼は自分の行きたい方へ、興味のある方へと、気の済むまで歩き続ける。とても素直で頭のいい犬だけれど、強固な意志のもと、本意でない方へは一歩たりとも足を向けない。本心で生きる彼から学ぶことは多い。人間の私は、時に心と身体が離れてしまい、頭でっかちになってしまうから。

ハワイに暮らす前から、車好きの私はどこに行くにも車で出かけていた。何よりいつも急いでいたから、歩くのは好きではなかった。いざ歩いてみると自然が近くなって、いつもと同じ景色がより鮮やかに感じられて、すっかり楽しくなってしまった。朝日や夕陽、月や星の光を浴びながら、刻一刻と変わっていく広い空は、感動するほど美しい。咲き誇る花々や、生い茂る緑の放つ香りを嗅いで、色とりどりの野鳥のさえずりを聞いて深い呼吸をすると、様々な生命を身近に感じた。海の中にいる時の浮遊感とは違って、大地に足の裏をつけて歩くことで、また違った自然との一体感を味わえた。大地を感じて歩くことができなくなった足の痛みは、不安感とともに日に日に強まっていった。ある日、ふとスニーカーの右の紐がきつく結ばれていることに気がついた。靴紐を緩めた瞬間に右足が解放されて、足首が自由を取り戻して歓喜しているのを感じた。初めて痛みに目を向けると、知る限りのセルフケアを始めた。痛みは軽くなったけれど、まだ続いていた。もしかして、この靴?2か月前に下ろしたスニーカーは、スタイリスト時代の頂き物だ。当時、余りにたくさんの靴を持っていたので、履かずじまいのまま忘れてしまっていた。足を入れると明らかにソールが硬く感じられた。でも、まずこれを履かなくちゃ。サステイナブルなライフスタイルにシフトして、あるものを無駄にしない生活を心がけてきた。そうして身体の感覚を封印してしまった。でも、消えない足の痛みに、不安はマックスになった。ついに、前から気になっていたトレッキングシューズをオーダーした。足を入れてみるとすぐに、右足から“YES!”という声が聞こえた。足全体を包み込むフィット感が、足の裏までしっかりとサポートしてくれた。痛みはだいぶ軽減された。でも消えることはなかった。右足は私にとって、身体を支える軸足だ。ヨガで組む蓮華座は左足が上、ボールを蹴るのは左足。利き足の左足を一歩踏み出しても、軸足で身体を支えられない。歩き過ぎだろうと整体師に言われた。そう思う。でもきっと、痛みは何かのメッセージだ。

text:Kai Uehara

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