HONEY

2021.07.01

SUSTAINABLE

【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.27 地球の回復力は、生物が多様であってこそ

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しばらくのあいだ続けて「生物多様性の喪失」をWEB連載のテーマにしていますが、その理由はすでに臨界点をはるかに超えて、瀕死の生き物たちに心が痛むからというだけではありません。とかく「野生動物と私の暮らしは関係ない」と思われがちなこのテーマですが、私たちの衣食住や健やかな毎日を支えてくれるのは他でもない生物多様性、そして地球がたくましく再生できるかどうかも、生物の「多様性」にかかっているからです。

そもそもなぜ、生物が「多様」でなければならないか……それは、自然界で何かの不具合が生じたときに、力強くしなやかな回復力を発揮して、自ら健全なバランスへ立て直そうとする地球の自己調節システムに関係しています。人間の体に備わる免疫システムや自然治癒力と同じように、地球も「ひとつの生命体」として、動物や植物、大地と海、大気と水など、生物と環境とが相互に影響し合うことで均衡が保たれます。そこでは人間による破壊を抜きにしても、自然現象としての台風や洪水、竜巻や落雷、火事、病気などが発生し、動物も植物もある程度のダメージは避けられません。けれどそうした困難に直面しても、生物種が多様であれば食物網が複雑に絡み合って助け合え、食べ物も隠れ家も十分に確保でき、栄養素の循環や分解も、生き残れる生き物たちも、次の世代へと生命を繋ぐ道筋も多くなり、たくましく復活することができます。つまり、豊かな生物多様性こそが地球のバランスや蘇生力の基盤ということ。逆に、多様性に乏しい生態系は変化やダメージに弱く、衰弱するほど回復が難しくなり、そして今の地球は後者、多様性も回復力も極端に衰えた状態というわけです。



text:Ayako Minato

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