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【CANVAS ON THE WAVE】HONEYが気になるあの人にQ&A/どこか奇妙なサーフアート「Alexandra Siebert」

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国内外の注目サーファーや新進気鋭のアーティストなど、HONEYが今気になる人たちに質問を投げかけるQ&Aの新連載。ここからお気に入りのサーファーを見つけるも良し、推しのアーティストを見つけるも良し。何かのインスピレーションに役立つはず。
第5回目はドイツ人アーティストのAlexandra Siebertさん。フランスに住み、夏はサーフインストラクター、冬はアート作品制作に没頭する。彼女が生み出すのはサーフィンや海をテーマに、シュルレアリスム風の不思議な世界観を持つデジタルアート。どの作品にも共通する波打つラインが、鑑賞するわたしたちの頭までぐにゃぐにゃと柔軟にしてくれる。


-あなたのことを教えてください。
名前はアレクサンドラ・シーバート。ドイツの南方の町で生まれ育ちました。物心ついた時から絵を描くことやデザインすることが好きだったから、かなり早い段階でイラストを主としたグラフィックデザインを勉強しようと決めました。
サーフィンとの出会いは15年前、フランス南西部にある海岸を訪れたとき。私はすぐ海と波の虜になってサーフィンのない生活が考えられないほどまでに。22歳になると夏のフランスでサーフインストラクターとして働くようになりました。冬の間はドイツで勉強をする日々。学校を卒業した後すぐ海沿いに移住しました。ここフランスに来る前にはポルトガルとスペインに住んでいました。今も夏はサーフインストラクター、冬はアートの制作活動にフォーカスするライフスタイルを続けています。自然の中で遊ぶことと仕事の両立がうまくできてるから、自分的にはパーフェクトバランスです。

-どうやってキャリアを切り開いたんですか?
小さい頃からデザインすることやクリエイティブなことに興味がありました。これまでいろんなアートを試してみたけど、結局イラストレーションが一番好きな主題でした。ポルトガルに住んでいたとき、大きな転機があったんです。リスボンでとあるイラストレーターに自分のアートを見せたら(今までやったことのないようなもの)、彼は才能とポテンシャルを私の中に見出してくれました。イラストにフォーカスしていいんだ、自分の好きなことを続けていいんだって思えるようになった瞬間でした。24歳のときのことです。

-あなたのアートについて教えてください。
最初はペンを使ってパソコンで着色していました。でも頻繁に旅をするようになってからはアイパッドに切り替えました。
主題はその時々で変わるんですが、私が経験したり感じたすごく個人的な内容が多いです。他には歌や歌詞からインスパイアされたものだったりただ楽しいから描いているものもあるし、私の頭にランダムに浮かんで来るへんてこな空想だったり。
一番好きなのは「Wet Dream」というシリーズです(下記作品を参照)。ちょっと性的な描写を可愛らしく子供っぽく、パステルカラーを使って描き上げたイラストなんですが、サーフィンで感じることのある渇望感、愛、誘惑、中毒性 ―性的な感情にも通づるようなことーを表しているんです。セクシュアリティとサーフィンを掛け合わせた、他にないアートというところが好き。見てくれた人からのいいフィードバックもたくさんもらいました。これを作ったのはポルトガルにいたとき。毎日大好きな友達と海に入ってクリエイティブなことをしていた最高の日々でした。

-他の絵もこれまで見たことのない雰囲気です。自分のスタイルをどうやって確立したんですか?
これまで試して来た、他と違う考えをどうやって絵やアイデアで表現するかというようなクリエイティブな練習のおかげかなと。やればやっただけ自分のものになる。昔からシュルレアリスム(超現実主義)、そしてそれを操るルネ・マグリットなどの画家が好きでした。だから最初見たときにはなんだかわからないような“奇妙さ”を絵の中に入れるのが好きなんです。いびつなカタチの身体や物体、色味でそれを表現することが多いかな。古いギリシャや古代エジプトのアート、いろんなモダンアーティストに影響されることもあります。すべてのミックスが私らしさなのかも。言うなれば「ギリシャやエジプトに影響を受けたシュルレアリスムに、ナイーブさと子供っぽいスタイルが加わった、海やサーフィンモチーフのアート」ってところかな(笑)。

-あなたのアートから読み取れるメッセージは?
それはアートワークによって異なるから、ひとつずつ説明するのは難しいですね。ざっくり全体的な話をすると、サーフィンや海への愛がたくさん表現されていて、いいバイブスを広げたいっていうことだと思います。メランコリックな作品があったり、可愛いくておもしろい作品があったり、ただそこにあるだけで人を心地良くさせる作品があったり。ときには作品との繋がりを感じられることもあると思います。

-たしかにあなたの作品は見ていて楽しくなるし、見る度に新しい発見があるように感じます。どんなトリックがあるのでしょうか?
私があんまり真面目に考えすぎるタイプじゃなくて、ひとつのテーマに縛られすぎないせいかもしれないですね。いつもサーフィンや海について描いてるわけじゃないとか。アイデアが生まれたらすぐに行動するし、自分のスタイルやテーマに合ってるかとかを考えない。それを自分のスタイルやテーマにしちゃう。だからいつも新しい発見があるんだと思います。

-最近の作品でお気に入りはありますか?
一番と言うのは難しいけど、「“LET IT GROW”」とタイトルを付けたスピリチュアルな作品はすごく、すごく好きです。2つの顔を持つ女性が植物と繋がっている絵(下記作品を参照)なんですが、自然との繋がりを通して、女性が新しい生き方を創り出すというテーマのもの。いいことも悪いこともすべての経験が自分たちを強く育ててくれる。1年半前、コロナ真っ只中の頃に描きました。世界がどうしようもない状態のとき、人はカフェやレストラン、ショッピングモールなどではなく自然の中で過ごすようになり、人間が自然と再び繋がろうとしてることを強く感じました。

-あなたのインスピレーションソースを教えてください。
私の周りにあるものすべて。ビーチ、海、波、音楽、アート、旅行、文化の違いや人々、自分の体験、もちろん友人たちも。

-サーフィンや海がどうあなたのアートに影響をもたらしていますか?
サーフィンが私の人生の一部になってから、一番のインスピレーションソースになっていると思います。サーフィンそのものやそれに付随するもの。例えば自然の中で波の上を滑る気持ち良さや水中のパワフルでマジカルな感覚、恐怖心の克服、興奮や満たされていく感情みたいな。サーフィンのあるライフスタイルも影響していると思います。

-幸せを感じる瞬間は?
外でアクティブに身体を動かしてるとき、いい波でのサーフィン、いい天気、家族や友達が健康であること、誰かをインスパイアしたり愛すること、絵を描いているとき、大好きな人や物に囲まれているとき。

-ホームブレイクはどこですか?
フランスの西南部です。私が海やビーチを好きだと気づけて、サーフィンを学んだ場所。ビーチブレイクなんだけど、たまにものすごく地形が決まるときがあるんです。300kmも続く、ヨーロッパでもっとも長いビーチとされています。

-あなたのサーフスタイルを教えてください。
難しい質問ですね(笑)。前はシングルフィンのロングボードをよく使ってたけど、ここ数年は波に合わせていろんな長さのいろんなボードを試しています。サーフィンは多様性に富んでるから。個人的にはアグレッシブなサーフィンよりもチルでクルーズするようなサーフィンのほうが好きです。オールドスクールな9’6”のBing Gold Standardや、9’1”のLUFIのノーズライダーモデル、6’10”のMark PhippsのOne Bad Egg、6’0”のシングルフィン、5’9”のツインピンと5’9”のボンザー。どのボードも大好き!

-日本であなたのアート作品を購入できますか? 
はい、海外にも発送しています。アメリカ、オーストラリアからの注文が特に多いですけど、日本も大丈夫です。インスタグラムにあるほとんどのイラストはプリントでも販売してます。DIN A3の300g、テクスチャのある紙に印刷しています。作品を置いていただけるショップもウェルカムです!

-最後に、今後の目標を聞かせてください。
クリエイティブであり続けること。私の作品を描いたTシャツやパーカをもっと作ることです。いま製作中の絵本も早く終わらせなくっちゃ。

photography:Simon Fitz text: Alice Kazama