HONEYが気になるあの人にQ&A_#10/大自然をインスピレーションに「Diana Potakh Casey」


大型の足踏み織り機を使ってタペストリー作品を作るDiana Potakh Caseyさん。大都会NYから自然の多いニューメキシコ州サンタフェに移住した彼女は、壮大な自然から得た感覚をアート作品として落とし込む。地平線から昇る柔らかな朝陽、光に照らされた大地。そんな情景が彼女の作品の中に見える。

-あなた自身について教えてください。
私は旧ソビエト連邦、今のウクライナのオデッサという街で生まれました。私が小さい頃両親がアメリカに移住したんです。NYのブルックリンで育ち、30代前半でニューメキシコ州のサンタフェへ移り住みました。変化を求め、もっと自然のある場所に行きたかったのと、砂漠が大好きで! 学生時代はファインアートを志してNYにあるスクール・オブ・ビジュアル・アーツに通いました。この学校に通えたことは本当によかったです。今となっては私の人生にはアートが欠かせない存在だから!

-クラフトアートをスタートしたきっかけは?
大学を卒業していくつかの仕事に就いたあと、アートに対するインスピレーションが湧かなくなっていることを感じて。ある日何気なくインスタを眺めていたら美しい織物のポストを見つけたんです。するとすっかりその世界から抜け出せなくなってしまって、このアート&クラフトの世界をもっと知りたいと思いました。

-あなたの作品について教えてください。
私のアートは完全に自然や自然の中で過ごした記憶からインスパイアされています。野外で過ごした時の安らぎ、生き物や大地のエネルギーが鳴動するあの感じをずっと心に留めておきたいんです。これまで自然に関するたくさんの本も読んできました。そこで得たことも作品中で表現する私自身の考えに結びついているんです。

-あなたの作品からは太陽や大地、エネルギーや平和を感じます。
まさにその通り。それが私が表現したいことなんです。

-作品はとても柔らかな印象ですが、どんな素材を使用していますか?
コットン、ウール、リネンに加えて、ヴィンテージの毛糸を購入したときは、ときどき合成繊維も使っています。基本的にはできる限り生分解性の高い素材を使用することにしています。いつか私の作品が大地に還ることができるように。

-“Astral Weaves”というブランド名が気になったのですが。
自分のアートを通して呼び起こそうとした、感じ方や考え方を言葉で表現してみたかったんです。それには「Astral」がすごくしっくりきました。「Astral」には「星からの」とか「星の世界の」という意味がありますが、他の定義で“未知のエネルギーとの関わり”という意味がありました。これがまさに私が表現したいことだったんです(「Weaves」は「織物」という意味)。

-ひとつの作品を作り上げるのにどれくらいの時間がかかるんですか? そのプロセスも教えていただきです。
数時間から数日まで、作りたいものがどれくらい複雑かによってかかる時間は様々。織り機の設定自体に数日費やすこともあります。私はこの数年間、足踏み式の大きな織り機を使っています。まずは縦糸用の糸の量を測ることから始めて、そのあと綜絖(そうこう)に糸を通します。綜絖(そうこう)は簡単に言うと糸の束を正しい位置にキープするもの。実は技術的なことばっかりなんです! それも楽しいんですけどね。全部セットできたらやっと織り始められます。織り始める前に自分の考えをスケッチにしてみたり書き出したりします。色の組み合わせで遊ぶのもすごく好き。隣同士になった色たちがどういう風な見え方になるのかを観察するのが楽しいんです。

-作品を製作中、何を感じていますか? 
瞑想みたいな感覚。音楽を聴きながら織ったりすると、すぐ時間を忘れちゃいます。

-あなたのアートを日本から購入できる方法はありますか?
今はアメリカのショップ以外では販売していませんが、オンラインで日本までお届けできます。少し時間はかかりますけど、オーダーも受け付けていますよ。Webサイトをぜひ覗いてみてください。

-今後したいことはありますか?
今後はさらにサステイナブルな糸を使いたいと思っています。それと今は、自然に関する新しいフィロソフィを作品に取り込み始めているところです。

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