【上原かいコラム】#2_I LOVE Myself Tenderly

今日は誕生日。前回のコラムでhappy New Meとお祝いした、新しく自分を生きる、新しい年の始まりだ。新しい環境に変わったのも、そのためだ。この記念すべき日を、どうして過ごそう。生来の寂しがり屋で、過去には、派手な誕生日パーテイを繰り返してきた。ハワイに移り住んでからは、ビーチで友人たちを招いて、ポットラックパーテイをするのがお決まりだった。けれども、今はそんな気分でもない。引っ越してから、一向に片付かない家に、親しい友人を招くのも躊躇われた。どう過ごしたいのか、頭で考えるのではなく、自分の心からの答えを待った。わいわい賑やかにするよりも、ひとり静かに過ごしたい。大切な始まりの日は、新たに自分と向き合いたい。初めて、ひとりで過ごす誕生日を選んだ。先ずは、自分で自分を、祝福しよう。ありのままの自分で、今のままの自分を、優しく愛おしむように。I love myself tenderly. この年の目標は、自分で、自分を、愛すること。
先月の引っ越しによって、肉体的だけでなく、精神的にも、相当なダメージを負った。元来、引っ越しは好きではない。なぜなら、片付けも、整理整頓も、断捨離も苦手だから。そして、何より変化に弱い。身体は丈夫だけど、精神的に脆い。革新的と言われる水瓶座なのに。弱い自分を知られたくなくて、ずっと強い自分を演じてきた。いつの間にか自分を、自分の望み通りに誤解して、ポジテイブの塊だと自負してきた。けれども、大切な人を失って、その悲しみから、一気にネガテイブに転じた。もう誰も、私を愛してくれる人はいない。希望を失い、そんな自分に失望した。まさかの自暴自棄。でも、命の大切さは分かっていたから、その長い暗闇の中で、息を鎮めて生きてきた。そのうちに、ただの自分に気付いていった。自分の期待に叶う自分ではない、ただの自分。本当の自分だ。いつしかそんな自分もいいな、と思えるようになった。今まで、本当の自分を愛していなかった。そしていつも、誰かに愛されることを求めていた。だから今は、自分で、自分を、愛することから始めたい。
引っ越し当初は、大切な思い出が詰まった家を、手放した喪失感にも見舞われた。大切な人を失った喪失感から立ち直って、新しく生きるために引っ越したのに。どんなに失いたくないものも、全ては時と共に変化して、姿を消してゆく。大切な人も、いつか自分も。変化を受け入れないと、生きるのが苦しくなる。ハワイに住む以前は、得る事ばかりを考えて、忙しく生きてきた。手放すことなんか、考える余地もなかった。時が経って、自分の心境も変化した。古くなった大切なものを、抱え込み過ぎて、身動きが取れなくなっている自分に気がついた。ようやく前に進む勇気を持てるようになったのに、なかなか一歩を踏み出せなかった。古い思い出や感情、過去よりも、今生きている自分を大切にして、変化を受け入れて生きていこうと決めた。それには、先ず、本当の自分を、真に愛することだと思った。自分大好きだった幼少時代からの自分は、本当の自分に出会って、自分を嫌いになって、新しく、本当の自分を好きになりたいと思った。本来の自分のままで、在るが儘の自分を愛して生きたい。I love myself tenderly.
ハワイでは今、11月の新月から始まった、マカヒキという収穫と休息のシーズン中だ。新しい年の始まりとも云われている。ハワイ語では“新年おめでとう”を“Hau’ oli Makahiki Hou”と言う。戦いの神クーに代わって、農耕や豊穣、平和、愛や癒しの神、ロノに支配される時だ。神や収穫に感謝し、海や大地に休息を与え、人々は戦いや仕事から開放されて、のんびりと寛ぐ。古代ハワイでは、1年の1/3をこうして過ごし、自然も人間も英気を養う、もっとも大切な時期とされた。ゲームやスポーツ、サーフィンにも興じていたようだ。新しい始まりに、愛と休息を自らに与えよう。時が来るまで、波と戯れよう。優しく、自分で、自分を、愛しながら。

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