【CANVAS ON THE WAVE】HONEYが気になるあの人にQ&A/蘇える、古代アート「Natalie Bessell」

国内外の注目サーファーや新進気鋭のアーティストなど、HONEYが今気になる人たちに質問をぶつけるQ&Aの連載企画。この記事からお気に入りのサーファーを見つけるも良し、推しのアーティストを見つけるも良し。何かのインスピレーションにも役立つかも。第14回目は、オーストラリアで今注目の女性アーティストNatalie Bessellさん。プリミティブ(原始的)なシンプル美を好む彼女は、人間が太古から抱いてきた自然や動物への敬意や畏れの想いを、遺跡の壁画や器のような不思議な魅力のあるテイストで描く。


-アートのキャリアについて教えてください。
私はカリフォルニアのサンディエゴ出身。今はオーストラリアのモーニントン半島に住んでいます。アメリカではNYにあるスクール・オブ・ビジュアル・アーツでファインアートを勉強しました。これまでアメリカとオーストラリアでいろんなグループ展や個展を開催してきて、いくつかのギャラリーの展示でセレクトされたこともあります。それまでは絵画ばかりだったんですが、2021年からは粘土を使って立体的な造形も作るようになりました。

-オーストラリアではどんな生活を送っていますか。
住んでいるモーニントン半島はメルボルンから1時間のところにあります。農場と森、そしてビーチの素晴らしいコンビネーションが楽しめる場所なんです。1週間のうち数日はTedesca Osteriaという美しいバイオダイナミックの自然派レストランで働いています。ここで働いていると土地と人々と直につながっていられる感覚になれるんです。残りの日はサーフィンをしたり作品を作ったりして、自分の世界に入ってますね。

-作品について教えてください。
私のアートでは様々な素材を使います。2Dの作品の場合はウッドパネルにアクリルやオイルパステルで描いて、立体作品のときには粘土を使います。

-作品の一貫したテーマがあれば教えてください。
植物や動物と、人間とのつながりに特にフォーカスしています。育くみ、育くまれるこの関係性。自然の中では、私たち人間は一人ではないと気付くことができます。自分の存在を受け入れやすくなるんです。成長・生産・衰退。この人生における一連のプロセスは、自然にも私たちにも当てはまります。

-HPで過去の作品からすべて見ると、アートのスタイルが本当にさまざまですよね。素材も異なります。その中でも“変わらないひとつのもの”みたいなものはあるのでしょうか。
ここ何年も、アート作品は様々なスタイルで行ってきました。それは若いうちにスタートしているのが理由かな、と。みなさんも、20代と30代では色々と変化しますよね。センス、フォーカスしたいこと、美学とか……。最初はアートで自分を表現しなくちゃと思っていて、自分がどんなことができるのかを証明していた感じだったんです。作品を見てくれる人の多くがリアリスティックな表現を好んだので、私もそういう作品を作っていました。その経験はスキルを磨くにはよかったんですが、そのうち、自分だけのルールを作って決めなくちゃいけない時期が来るものなんです。それが“アート”誕生の瞬間です。答えはどこにもなくて、あるのは経験、積み重ねのみ。正しい道なんてないんです。

-様々な人種、文化を持つ女性を多く描いているのには理由があるんでしょうか。
たしかに作品の中に女性を登場させることが多いです。様々な人種や文化の女性を描くのはなんだか楽しいっていうだけで、特に何か意図があるわけではないんです。以前は女性の画像を参考にして描いていましたが、何年も前にやめました。絵を見た知り合いから、絵の中の女性が私の母親や姉、時には私自身に似ているとも言われたことがあるんですけど、自分でも納得してます。母や姉とはたくさんの時間を共に過ごしたし、ペイントする時には自分の記憶と向き合って引き出しながら描いていることが多いので。

-特に気に入っている作品やシリーズはありますか?
2020年に制作した“Creation: Phase 1-4”が気に入っています(下の作品)。自分自身と、自分が描きたかったストーリーを代表している作品だと感じるんです。色、意味、規模感、総括的な感情とか、すべてが自分らしいと思っています。

-世界中どこでも良いので、好きなギャラリーや美術館があったら教えてください。
NYにあるメトロポリタン美術館。過去も今も素晴らしく影響力があると思います。アート学生だった当時は、少なくとも月に1回は訪れていました。世界中の古代のアートにかなり影響を受け、今も私に根付いています。特にギリシャ、エジプト、メソアメリカ(メキシコや中米)のものですね。壁や器やタイルなどに描かれた「ストーリーを伝える」という原始的な必要性に惹かれたんです。線や色と、主題、つまり人々、動物、植物、日常などにあるシンプルさにインスパイアされています。

-あなたのアートを日本から購入できる方法はありますか?
Webサイトインスタグラムを通じて作品を販売していて、世界中に発送しています。ぜひ見てみてください。

-次のゴールやプロジェクトは?
今年、オーストラリアベースのインテリアデザインショップFenton & Fentonで取り扱われる一握りのアーティストとして選出されたんです。彼らは、オーストラリア全土のアーティストのオリジナル作品を販売しています。そのオンラインストア用と8月に行われるグループ展用に新しいコレクションを作ろうと思っています。同時に、粘土を使った作品ももっと作りたいと考えています。壁にかけられる作品と、立体的な作品。どちらも2023年の1月に行われる個展のために制作予定です。

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