Her Wave 海のそばで暮らす彼女の物語#14/Tarni Sanewski

オーストラリアの東海岸沿い、全長約2.000kmの長さにわたって続く世界最大の珊瑚礁、グレートバリアリーフ。そのユニークで美しい野生生物や水中世界をカメラに収めるターニ・サネウィスキ。自ら環境問題を提起し、地球を守る活動を続ける彼女のライフストーリーや夢について紹介します。インスタグラム


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生まれと育ちはオーストラリア・サンシャインコーストのナンボー(Nambour)という海に近い小さな街。子供の頃は、休みになると家族で1日中ビーチで過ごしたりバーベキューをしたり、オーストラリアと聞いたらみんなが想像するような、自然の中でゆっくり過ごす時間がほとんどだった。高校卒業後、やりたいことや興味のあることがたくさんあって……それと同時に大学へ進学しなきゃいけないっていう周りからのプレッシャーもあった。結局大学では栄養学を勉強して栄養士として数年間働いていた。すごく面白かったし為になったんだけど、これが本当に自分のやりたいことか分からなくて、停滞していた時期があった。何か新しいことを始めたかったし、自分の中に秘めている情熱が何か知りたかった。だから去年、パートナーとウィツサンデイ(Whitsundays)というグレートバリアリーフ近くの島に引っ越してボートの上で働き始めたの。世界遺産にも登録されている世界最大のグレートバリアリーフが目の前に広がっている生活! この景色をカメラに収めたくて写真を始めた。その後ドローン撮影や水中撮影をはじめたら、嬉しいことに観光局やブランドからオファーがくるようになったの。そんな経験を通してもっと海や海洋生物について知りたいと思い、そしてこの美しい自然をこの先もずっと残していきたいという想いから、今は大学に戻って海洋学を学んでいる。

今まで撮った写真の中で一番のお気に入りは?

ビーチからそう遠くないところまで泳いでいた時に出会ったマンタの写真。7、8匹が一気に私の周りで泳ぎ出して、すごく神秘的な光景だった。それと、グレートバリアリーフ南部のヘレン島で撮ったサンゴの上で寝ているカメの写真(写真下)。午後の静かな海の中でサンゴに寄り添いながら寝ているカメに、太陽の光が差し込んだ美しい水中世界。こんな瞬間をたくさんの人に見てほしいという思いも写真を撮り続けている理由。

オーストラリア国内で、ガイドブックには載っていないけどオススメの場所はある?

ケアンズやグレートバリアリーフはすでに有名だけど、私のオススメは比較的マイナーな南部のグレートバリアリーフ。サンゴの白化現象(サンゴと共生している藻類・褐虫藻の放出によりサンゴが白く見える現象)もメインスポットより影響が少なく、ワニやクラゲなど危険な生物がいないから安心して楽しめる。それにアドベンチャー好きなら格安でキャンプが出来たり、本当のオーストラリアが体験できる場所。

では、行きたい場所はある?

今一番行きたいのは、フランス領ポリネシア。クジラの活動が盛んにになる9月に行ければと思っている。もう1つはインドネシアのラジャアンパットという場所。「地球最後の楽園」と呼ばれていて、他とは比べ物にならないほどたくさんの海洋生物が生息している。ダイバーの間ではここの海に入ると世界が変わると言われているほど! 他にはフィリピンの島々やアマゾンの熱帯雨林なんかにも興味があるわ。

ターニにとって海とは?

海は、様々な感情が湧き上がる場所。ワクワクだったり、好奇心だったり……、それと同時に汚染されたり死んでいくサンゴを見るとすごく悲しくなり、それで何かしたいという原動力にも変えてくれる。もし海の近くに住んでいなかったら、海をこんなにも愛していなかっただろうし、海が私の人生の道筋をくれたと言っても過言じゃない。

現在、サンゴ礁の死滅や汚染問題が深刻になっているけど、それについて考えていることはある?

私が生まれた頃に比べるとサンゴの数は圧倒的に減っていて、このままでは海が安全な場所ではなくなるかもしれない。それはすごく悲しいし、危機的だと思っている。でもそれと同時に再生可能エネルギーが研究されたり、多くの海洋保護団体が海を守るために活動したりと、ポジティブな変化も起こっている。海だけじゃなく、オーストラリアでは森林火災が頻繁に起こり、絶滅に瀕している野生動物もたくさんいる。自然災害はある意味仕方がないけど、そのほとんどは人間が招いた結果であり、電気や水の使いすぎ、過度の森林伐採、魚や動物製品の過剰消費が原因。保護団体やボランティアだけが動いても、小さな変化しか生まれない。私たち一人ひとりが出来ることを今始めていかないと、後から取り返しのつかない状態になっていく。

今後の夢や目標は?

まずは大学の学位を取って、将来的には大学院で研究を続けたいと思っている。それから保護団体や活動家の人々と一緒に、海の環境を守るために地域や国に働きかける役割を担っていきたい。

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