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長谷川潤が「コロナ禍」で得た新たな気づきとは?「今のこの時間は停滞じゃない」

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今ここにある“静けさ”を感じて
突如現れ、世界を一変させた脅威のウィルス。それは例外なく本誌にも影響をもたらした。ただ、夏号は休刊となったものの悪いことばかりでもなく、色々な場面で新たな展開を迎えるチャンスともなった。今回のカバーストーリーは、モデルの長谷川潤が自らスタイリング、そして撮影&編集ディレクションまでを行ない、ハワイ島の神秘的なロケーションのなか、いろんな感情を纏いながらリアルな今を見せてくれた。凛と見据えた、その目線の先に映る景色とは? コロナ禍の流れから得た新たな気づきを語る。

「コロナ禍にある今の時間は、それぞれに与えられた準備期間。
不安でいっぱいだった心を救ってくれたのは親友がくれた、あたたかくも明快な言葉だった。」

「ほんとに大変なことになっちゃったよね。チームとしていつも一緒に動いている日本のスタッフも今はハワイに来ることができないし、私が日本へ行くこともできない。そこで『どうしよう?』と考えて今号は……」

世界中を脅かすウィルスの出現で国をまたぐ行動が制限されるなか、ハワイから編集部に届いたメールは、美しい大自然に囲まれ、いつも以上にヌーディな表情を見せる長谷川潤の写真だった。今回のカバーストーリーは長谷川潤自らがディレクションを行ない、友人でありハワイ島在住のフォトグラファーTaraによって撮影されたもの。そして、タイトルに選んだのは“Still”という言葉だった。

「Stillには英語でいくつかの使い方があって、たとえば『still I stand』なら『それでも立ち上がる』、『still I love』だったら『それでも愛する』みたいに、少し逆説的なニュアンスを含ませて“それでも”と使うの。そして他にもう1つ“静けさ”という意味も。ジタバタしないで、穏やかに、ジッとしている状態・状況を指す表現で、どちらの意味においてもこの“Still”という言葉が、まさに今のこの時期にピタっとしっくりきて。
2月の終わりLAで行なわれたロケを最後に、ハワイへ戻ってきてからあれよあれよという間に街がロックダウン。2~3週間に1度飛行機に乗っていた生活が一変して、こんなにもstay at homeな毎日は、ほんとに初めての経験。今はレストランも開いてはいるけど、たまにテイクアウトするぐらいで、ほぼ行ってない。スーパーも2週間に1度行くぐらいかな」

–{しばらく精神的アップダウンが続いた}–
家にジッと居ることで、嫌でも自分の全てと向き合わざるを得なくなり、しばらく精神的アップダウンが続いたという。
「最初は『これどうなるの?』って心がザワついてサバイバルモードにスイッチが入り『闘わなきゃ、ストレスから守らなきゃ』と変なチカラが働いていたんだけど、次第に『あ、これ長引くな』と気づいてからは『仕事どうなっちゃうんだろう?』って、リアルな現実として不安や焦燥感が押し寄せてきた。でもその一方で、あの複雑なスケジュールから離れてホッとしている自分もいた。家を空けることが多くて育てられなかったハーブを植えてみたり、庭の植物を切って花瓶に生けてみたり、冷蔵庫の中も色々ストックしておけるようになったからレシピの幅も広がっていった。人生に大きな変化があった数年前、ゴハンが全く美味しく感じられず、キッチンに立つのもツラい、そんな時期もあっただけに、今、こんなにも楽しく料理をして、こんなにもゴハンを『美味し~い』って感動できる自分に感動してる(笑)。そして何より子供たちとの時間が圧倒的に増えた今、“のんびり子育て”もかけがえのない幸せ時間☆ ここ数ヶ月とにかく毎日を“丁寧に生きてる”そんなことを実感してる。

今まで常に動いていて『何かをやらなきゃいけない。どこかに行かなきゃいけない』と、自分で自分を追い込むことがクセになっていた。そう、目標に向かって頑張る自分、何かを達成した自分……、とにかく“動いている自分”に大きく価値を置く傾向があって、止まることをポジティブに考えられないところがあった。でも今、私の中でその価値観が少しずつ変わってきている。時々ゆっくりしたり、力を抜くことも、動くことと同じように大切なんだって。休むことに後ろめたさを感じるのって、実はすごく危ないこと。脳も心も休ませないと、いいアイデアやクリエイションは生まれないし健康的なメンタルは育たない」

–{ある言葉が長谷川潤の心をクリアにした}–
それは、思いがけない人生の余白で得られた重要な気づきだった。もちろん、フルスピードで進む生活リズムが出来上がっていただけに、そのループから抜け出すのは容易なことではなかったようだ。でも、ある言葉が長谷川潤の心をクリアにした。
「ポッドキャストの最新エピソード“In Times of Uncertainty”の収録時、私の不安症はまさにピークに達していたのね。特に何がという具体的な背景があったわけでもないんだけど、この不穏なムードに、ただただ心のザワつきが止まらなかった。そんなとき、対談ゲストの吉川めいさんが言ってくれたのは『今はみんながそれぞれの土壌を柔らかく、ふわふわに耕して種をまくとき。大切なのはそこに自分がまだ持ってないもの、次に必要なもの、つまりは何の種を植えたいのか考えることなの』という明快な例えだった。それを聞いた瞬間、たちまち目の前に美しい情景が広がって、心にかかっていたモヤがすっと消えた。今のこの時間は停滞じゃなくて、次なるステージへの準備期間。だから今は自分の中の“still”をしっかり感じとって、必要以上に無理なことはしないで、自分にやさしくしようと思う」

無駄なものが見直され、新しい生活様式になり、色んなことが世界規模で変わろうとしている今、ひとりひとりが自分のため、周りの人たちのため、地球のために出来ることを考えて、より良い未来へと繋げていけたら。アフターコロナに私たちがどんな花を咲かせ実を収穫できるのか、楽しみに待ちたい。