
長い海外生活を経て奄美大島へと辿り着いた熊崎さんは、独創的なアーティスト。光を帯びて変化する彼のインドグラスは、まるで自然の姿を見ているかのよう。無限、そして自由。それぞれの人生のようにキラキラを輝く姿は多くの人を魅了する。
自然と共存する。その理想がこの島だと叶う
パーマカルチャー。いわゆる人と自然がともに豊かになるような関係を築く暮らしを、熊崎さんはずっと目指していた。
「昔はオーストラリアに住んでいたんです。僕が目指す暮らしをしている人も多かったので。でも途中から文化が変わり始めて、あ、もうここじゃないかなと。そんな時に出会ったのが奄美大島でした」
当時は飛行機もほとんど運行してなく、いわば陸の孤島だった奄美大島。当然便利なものは少なく、自然と共存しなければ過ごすのが難しい場所だった。自分らしく生きていきたいと思い、オーストラリアで学んだインドグラスの技術を活かしつつ、試行錯誤しながら自宅やアトリエを自身で作り上げる。
「当時は誰もがみんな自分ですべてを作っていて。得意分野をシェアしながら、お互いに助け合っていました。自給自足のような生活を求めていたので、庭にはレモンやマンゴーなど、たくさんの果実を植えました。雑草も多いから草刈り担当としてヤギも一緒に暮らしています」
広大な庭の先には海が見える。サーファーでもある彼は、この島の海の豊かさにも魅せられている。SUPや古代から海人に伝わるアウトリガーカヌーにも積極的だ。
「インドグラスのデザインは何故か自然と浮かんでくる。僕が見ている世界を、そのまま表現しているのかもしれないです」






インドグラスで使うガラスにもたくさんの種類があるようで、その番号も多く記憶している熊崎さん。作りたい作品のイメージはおのずと決まっているかのよう。自身でゆっくりと作り上げた自宅と理想の庭、その横にはアトリエがある。色彩豊かな奄美大島の自然を表現しているかのように自由でハッピーで明るい彼の作品たち。アトリエを訪れれば、購入することも可能。最近では扉や窓に設置するインドグラス製作など、大きな案件も多いようで、仕事は順風。生まれ育った静岡にも作業場を構え、忙しい時はそこで集中して作業をする。愛娘が幼い頃描いたイラストをステンドグラスで表現した作品は、今も大のお気に入り。アトリエにある大きな窓にそっとぶら下げてあり、彼のアーティストとしての長い歴史を感じさせる。「なんとなくこの場所へ辿り着いたのですが、奄美大島は理想の場所に近いのかもしれない」
(HONEY#33 より一部抜粋)
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