
先日のグリーンルームフェスティバルで映画上映のMCを務めさせてもらった。
初日の土曜日はハワイのシンボル、Duke Kahanamokuのドキュメンタリー映画『Waterman』の上映があった。
当日は監督も登壇し、上映後にはトークショーがあった。
今回はその中で特に印象に残っていること、その後に感じたことを綴りたいと思う。
「Duke」という名前は、2019年に宮崎で行われたISA World Surfing Gamesの会場で初めて聞いた。
ISA会長のフェルナンデスさんがその名を口にしたことをうっすらと覚えている。
でもさらに印象に残っているのは昨年のオリンピックで、Dukeの夢が叶ったと色んな人が話していたことだった。
優勝したカリッサも彼の名前を口にしていた。
DukeのイラストTシャツもあったりして、サーフィンの歴史の中で重要な人物なんだろうなぁということは分かっていたけれど、ハワイと、サーフィンと、彼の接点が頭の中でまだ繋がっていなかった。
そんな中、グリーンルームフェスティバルでそれまでの点と点が繋がった。
ドキュメンタリー映画はぜひ見て欲しいけれど、監督がトークショーで話していた内容がとても印象的だった。
それは彼は「Aloha」の象徴だということ。
HONEYの読者の皆さんはハワイが大好きだと思う。そして「Aloha」という言葉を聞いたことがない人はいないと断言しても良いかもしれない。
私がそのトークショーと、映画を見た限りで理解したのは、「Aloha」とは誰に対しても愛と思いやりをもち、シェアする心そのままに行動するということ。
Dukeが生きていた時代はアメリカでは黒人、有色人種に対して差別が激しい時代であり、ネイティブハワイアンのDukeは肌の色が黒かったため差別されていた。
けれども白人とも仲がよかったし、海で遭難した人たちをアライア(ウッドできたサーフボード)の原型の板で助けたり、とにかく人柄から行動まで全てが愛、「Aloha」そのものだった。
しかも、Dukeが遭難事故の人たちを助けたことがきっかけでライフセーバーの原型が出来たということや、サーフィンという波に乗る遊びをオーストラリアやニュージーランドへ伝えに行ったことで、世界中にサーフィンが広まるきっかけを作った。
ここまでハワイが世界的な観光地、特に日本人が大好きな観光地になったのも彼なしではあり得なかったことなのだ。
映画で特に印象深かったのは、ワイキキの海で彼がたくさんの人たちと波をシェアしている映像だった。
サーフィンのあるべき姿を見た気がする。当時は「前乗り」や「Drop in」という言葉はなかったとことが伺えるシーンだった。
昨今の海では怒鳴り声が聞こえたり、「退場!」と叫んで追い出しているローカルを見かける。
ローカルルールがあるのももちろんだし、人の乗っている波を邪魔するのは危険だけれど、知らない人とでも楽しく、みんなで波をシェアできるくらい「Aloha」な精神があればいいなぁと。
自然が創り出す波に乗せてもらい、楽しませてもらっているのだから、私は海の中でも陸でもサーファーとして、1人の人間として「Aloha」を持ち合わせる心、行動を心がけたい。
大好きなサーフィンをしているのだから、もっと海の中がハッピーなオーラで溢れたら、サーフィンがもっと気持ちよくなるだろうと思う。