内山理名が「ヨガ」から学んだこと|他人と比べるよりも「自分の心」と向き合うには?

ひとは、生きているとあらゆる環境変化や予期せぬ事態に遭遇する。そんなとき、味方してくれるのは、他の誰でもなくあなた自身だ。振り回されず、自分らしく生きていこう。ここで紹介するのは、自分らしさを表現できることと出逢えた女性たち。彼女たちは自分の思いを素直に出せるものに打ち込んでいる。そこに他人の目や評価は関係ない。あなたも、あなた自身の心が本当に求めるもの出逢えますように。


ヨガとの出合いがぶれない身体と心を作る

人生は、理想通りに物事が運ぶことばかりではない。この記事を読んでいるあなたも、今まで生きてきた中で予期せぬ出来事に遭遇した経験があるだろう。とくに今年はそれが顕著で、憤りを強く感じている人もいるかもしれない。目に見えないものが私たちを揺さぶる。そんなとき大切にしたいのは、外の変化に惑わされないこと。自分の軸をしっかり持つこと。それを体現しているのが、女優の内山理名さん。10代の頃からテレビに映画、舞台にと多くの作品に出演し、多忙な生活を送っていたが、ふとしたきっかけでヨガと出合う。理名さんにとってヨガは単なるフィットネスとしてではなく、心を整えるために必要なものだ。プライベートでもよく訪れるという鎌倉で、話を聞いた。
「友人からプレゼントしてもらったヨガのDVDとマットがはじまりでした。撮影の合間に家で気軽にできるのも自分のライフスタイルにあっていましたね。ヨガを始めてからかれこれ16年ですが、本格的にスクールに通いだしたのは5年前。今まではひとりの先生からしか教わっていなかったのですが、何十人もの先生に学んでいると教えに違いがありました。でもどちらが正解ということではなく、それぞれの教えに理由がある。人生と一緒で、同じ物事でも様々な側面があり、あらゆる正解があるのと同じですよね。先生たちから教えを受け、ようやくヨガを自分に落とし込めたと実感できるようになってきました」。
「どんなことを教わったかというと、例えば解剖学では筋肉の付き方、骨や内臓の位置、座ったとき内臓はどんな状態になるか、関節の可動域はどれくらいか、など身体の基本的な仕組みを勉強します。人って、他人に目がいきがちですよね。あの人はスタイルがいいとか、悪いとか。それでつい自分と比べてしまいます。だけど、他人よりもまずは自分に意識を向ける。自分の身体のことって知っているようで、知らなかったんです。解剖学で自分の身体、そしてひとりひとりの身体は違うということに改めて気づき、自分の中に判断基準を持つことができました。それは心も同じ。あらゆる悩みの原因は他人に意識がいっていることが多い。ヨガ哲学でしっかり自分の心と向き合いました」。

ヨガの授業で出された「宿題」

「授業の宿題で、その日なにを感じたかをノートに書くんです。今日はなにで怒った? なにが楽しいと思った? から始まり、どんどん具体的に感情を分析していきます。“コーヒーが美味しくてHappyだった”に対して、それはなぜか? コーヒーの香りが好きだから? シチュエーションがよかったから? 言葉にすると理屈っぽいけど紙に書くと、自分のことがわかって面白い。なにが好きなのか、人といるのが好きなのか、どんな環境が好きなのか。今の心が求めているものや、心の微妙な変化にも気がつけるようになりました」。





理名さんの解剖学の師でもあり、“音YOGA”の第一人者でもある野村賢吾さんとのセッション。残念ながら中止になったが、今年の春2人はイベントを開催する予定だった。堅吾さんがクリスタルボウルを演奏し、理名さんが参加者にハタヨガをベースに瞑想までを手引きする、という内容。「クリスタルボウルの音色の中でシャバーサナをしたら、とても心地良くて感動したんです。いつかその心地よさを皆さんにも伝えたいと思っています」

日常、女優、あらゆる場面で助けてくれた学び

ヨガで得た知識は、自身が先生を務めるクラスや日常の場面でも役に立っているそう。では、心が不安定になる場面でも役立っているのだろうか。
「38歳の経験値でしか語れないのですが、トラウマや思い出したくない感情って解決せず、蓋をしていると、また結局同じ壁にぶつかってしまいます。蓋を開けてみたら、大したことなかったってことも多いんですけどね(笑)。お芝居をしていると、普段はないのですが、数年に一度無理やり蓋を開けるときがあります。役へ気持ちをもっていくために、どうしても開かなきゃ、辿り着けない感情の部分。役者によって違うと思いますが、私の場合、役作りのときは何も考えません。こういうと変ですが、台本を読んで湧き出た感情に嘘はつかない。この無防備な役づくりは少し怖くて、監督も誰もこじ開けた蓋を閉めてくれません。ヨガの学びってそこで生きてくる。辛い感情を理解し、向き合った自分をちゃんとハグできる自分でいたいです」
会話の途中、それでも女優が面白いと思えるのって、私はまだまだ浅いのかな、と話す理名さんが印象的だった。実直で、学ぶ姿勢を忘れない彼女はヨガも学びの途中だと言う。
「あるときインド人の先生に『生きている間に学び終えられるかな?』って言われたのが今でも印象に残っています。私は30代半ばでヨガの学びと出合い、学ぶことの面白さを知りました。学びにゴールはないかもしれないけれど、これからの人生、たくさんの学びに出合えることを楽しみにしています」

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