
オーストラリア・シドニーを拠点に活動するアーティストのOndine Seabrookさん。目の前に広がるビーチや砂地の風景を、彼女なりに解釈して作品に落とし込む。大胆な筆づかいと色彩をフローに任せてキャンバスにぶつけることで、誰もが持っている“懐かしさ”を引き出す風景画が完成した。ときどき登場する引っ掻き跡やシェルの飾りなど、アートの自由さを再認識させてくれるディテールにも注目。

-あなたのアーティストとしてのキャリアを教えてください。
2017年にシドニーのナショナルアートスクールを卒業後、今はダーリングハーストという街で働きながら絵を描いています。アーティストとしてChina Heights Galleryに所属してます。ニューサウスウェールズ州では5回個展を開き、これまでシドニーとオーストラリア全土で様々なグループ展にも出展してきました。
-作品について教えてください。
自分なりに解釈した“風景画”を描いてます。普段は海とか砂漠を描くことが多いかな。大胆な色と模様を使いながらも、繊細さも共存させています。見る人を、夢のようなノスタルジックな世界へと誘えたらいいなと思って。

-多くのアーティストがするように、何千枚ものスケッチからキャリアをスタートさせたのでしょうか? それともインスピレーションに任せて描いてきましたか?
私にとってドローイングとペインティングは別物です。私の場合、絵のプロセスは流れに任せているし、自分のキャリアも流れに任せています。絵を描くときはまず、“色”から始めなきゃいけない。それが一番大事な要素だからです。だから絵の具を絞ることから始めて、計画を一切立てずにただひたすら描くんですす。そうすることで最高の作品が生まれます。
-海や大地、木々や花々を題材にする理由は?
自然が大好きで、海は私にとっての故郷のようなもの。海とは強いつながりを感じていて、海に入るといつも気持ちが晴れやかになります。海の動きも好きなんです。そして花の色や形は、まさに自然界の美の象徴。どうしたって描きたくなりますよね。

-個人的には、パステルカラーのビーチの作品(写真下)が特に好きです。絵の周りの色枠や貝殻が作品に物語を与えているようで、引き込まれます。この装飾はどんな効果を期待して加えたんですか?
ありがとうございます。アート自体は私のホームタウンだったり、遠い昔の島や海での思い出の風景を描いてるんです。見ている人に、ノスタルジックでドリーミーな気分になってもらいたくて。昔の夏休みを振り返っているみたいに、ロマンチックな気分に浸れるような。良い時代を振り返りながらその時代を懐かしく思う。そして私は貝殻を集めるのが好きで。少女の頃に戻ったような気分になるんですよね。描いた場所のリアルな一部を作品に反映させることもできるので、絵の周りにあえて付けているんです。

-普段、絵を描くときは屋外ですか?
はい、外で描き始めるのが好きです。見た風景をそのまま小さな絵にして、それをスタジオで大きな絵に描き替えるんです。外で描き始めるのは、私にとってすごく重要なこと。そこにある色彩をすべて吸収して、風景に完全に没頭することができるから。風景は目の前で、常に変化しているんです。
-一部の作品に見られる、引っ掻いたような模様がユニークですよね。
スタジオで実験したり遊んだりしているうちにこの手法を発見しました。まず、ケーキにアイシングするように油絵具を厚く塗ります。その直後に、道具を使って引っ掻くんです。テクスチャが生まれて、満足感もあるから好きなんですよね。


-インスピレーションを受けたアーティストはいますか?
自分のスタイルを保つために、他のアーティストから直接インスピレーションを受けることはしないようにしています。
-最近制作したお気に入りの作品とその理由を教えてください。
『Fitzroy Island and made up Flowers』(写真下)という作品です。これはロックダウン中、コロナ前の良い日常を思い出しながら作りました。それが作品に柔らかな優しさを加えていると思います。

-あなたのアートを日本から購入できる方法はありますか?
Instagramにメッセージを送るか、直接メールをください。もしくは、所属しているChina Heights Galleryからも購入できますよ。
-次のエキシビジョンなどがあれば教えてください。
今ちょうど、ニューサウスウェールズ州の奥地にあるBroken Hill City Art Galleryで展覧会を開催しています。ぜひチェックしてみてください。

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