連載コラム「Endless Waves」#07_ぼーっとする時間

フォトグラファー、コラムニスト、モデル、コーディネーター、翻訳・通訳など、様々な分野で精力的に活動する深田美佑の新連載コラム。第7回目のタイトルは「ぼーっとする時間」。


写真展の前は決まって頭がいっぱいになってしまう。今現在7月末に控えている写真展の準備の真っ只中。今回の写真はその展示する作品の中の一枚。毎回のことながら、頭がいっぱいいっぱいになってしまった。

決めないといけないこと、選択の連続でパンクしそうになったのでなんとなく夏の北海道に行ってみることにした。忙しくなると私は決まって何もしない時間を作ろうと心がける。家にいれば朝海に泳ぎに行ったり潜りに行ったり、波があればサーフィンに行くというのが私の何もしない時間だったりする。つまりは今の現実に集中していて未来のあれこれを考えない時間ということ。海に潜りながら、サーフィンをしながら、展示のことは考えていない。

私にとって「ぼーっとする時間」というのは今に意識が向いていて、なおかつ心地が良い時間のこと。本州より湿気も少ない夏の北海道は外にいても心地が良い。海がすぐ近くにあるわけではないけれど、大自然の中で大きな空を見ながらぼーっとできる。

最近気がついたことなのだけれど、展示の準備は旅している時とどこか似ている。旅では、朝起きてから夜寝るまで、今日は何を食べるか、どこへ行くか、行かないか、明日はどうするか、旅先で出会った人に声をかけるかどうかなど、自問自答しながら旅が進んでいく。旅の途中で出発しようと思っていたけど、もう一日同じところでゆっくりしようと予定を変更したり、私の場合はサーフィンをしたくなるのでサーフィンができる場所までわざわざ行ったりして、知らぬ間に自分のバランスを整えている気がする。

展示の準備も選択の連続で、まずはテーマをどうするか、それが決まったらどの写真を展示するか、写真の大きさをどうするか、どんな額装にするか、値段はどうするか、展示のレイアウトをどうするかなど、事細かに一つひとつ自分で決め、やっと当日を迎えることができる。

旅も展示をするのも大好きだ。でも旅の後も展示の後も、何もできなくなるくらいやり切った感を感じる。自分が好きなことをしているから楽しいんだけど、どうやら相当エネルギーを使うようだ。なので、あえて何もしない「ぼーっとする時間」を自分のために作ってあげて一度リセットだったり、バランスを保つようにしている。

今、目の前には羊蹄山が広がっていてそよ風が私の腕を撫でていく。音楽でも聞いて、展示のことは一旦忘れてぼーっとすることにしよう。

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