キッチンから見直す食の在り方。食品ロスって何だろう?

FOOD LOSS & WASTE REDUCATION

毎日訪れる、食事という瞬間。日常すぎて見過ごしがちだけど、命の恵みや、大地の力をいただいているかけがえのない時間。世界の食料危機に、私たちにできること。それはキッチンから始められる。

今回、食品ロスについて教えてくれたのは、食品ロス問題ジャーナリストとして数々の著書を発表している井出留美さん。令和元年10月に施行された、食品ロス削減推進法成立にも協力。政府、企業、国際機関などのリーダーとして活躍し、講演や執筆に奔走する日々。食品ロス認知を高める活動を積極的に行なっている。

フードウェイストとフードロスの違いとは

最近よく耳にするフードロス、フードウェイスト、食品ロス。それぞれどういう意味で使い分けられているのでしょうか? まずフードロスは生産、運搬、保管、加工などを作る過程で発生するもの。フードウェイストは小売、外食、家庭などで発生するものを指します。この全てを含むものが日本では食品ロスと呼ばれ、英語ではフードロス&ウェイストと言われています。まずこの意味を理解することで、ニュースなどで何が問題になっているのか、クリアに見えてくるはず。


ご飯があるのは当たり前? 食料危機に向き合ってみる

食料危機の問題を知ることから始めてみましょう。まずは飢餓について。2022年3月の時点で8億1100万人が苦しい思いでいることを知っていますか? 紛争で食料の流通がストップしたり、貧困で買えない、気候変動により作物が育たないなどが原因。飢餓は発展途上国だけの問題ではなく、日本にも給食だけで過ごさなければならない子供たちがいることを知ることが大切。

食料を求めている人がいることを知った上で、目を向けて欲しいのが廃棄問題。食べられるのに捨てられる“食品ロス”。なんと世界の3分の1の食料が、日本では570万トンの食料が捨てられてしまっています。それは生産段階で美しくないと規格外で排除され、加工過程で食べられるのに不必要な部分は廃棄、お店に並べられた在庫の販売期限切れ、家庭での賞味期限切れや食べ残しなど。まだ食べられるのにもかかわらず、捨てられるという現実。でも「賞味期限切れだと仕方ないのでは?」と思う人もいるはず。賞味期限切れの食材は本当に食べられないのでしょうか?

賞味期限は、おいしさのめやす。しかも、実際より短い日付けが表記されています。気をつけるべきはサンドイッチやケーキなどに記載されている消費期限。時間とともに品質が急激に劣化する食品に表示されています。これを知っておけば賞味期限が切れてすぐに捨てるのではなく、ちょっと食べてみて大丈夫かジャッジすることができる。食品ロスの約半分は家庭から出ていると言われているので、この小さい心掛けが環境を変える大きなアクションに繋がります。


たった一つの地球、このままでは足りなくなる⁉︎

食料危機を知った今、もし改善しなければ、どういう未来を迎えるのかも見ておきましょう。このまま突き進んでいくと、海の汚れや水温上昇などにより、26年後には現在の10分の1しか魚を獲れなくなります。また森林伐採や気候変動により穀物の収穫量が減り、その少ない穀物を食べられるのは豊かな人と、豊かな
人が食べるための家畜に限られ、飢餓はさらに深刻化すると予想されています。そんな絶望的な未来を次の世代に繋がないためにも、私たちにできることを考えていこう。


食品ロスの見える化が削減へ心を動かす

では一体、どんなところから変えていったらいいのか。それはまず、自分を知るところから始まります。あなたは、どれくらいの食品をごみとして出しているのか知っていますか? 毎週捨てているごみを紐解くことで、何が改善策かが自然と見えてきます。捨てているモノをノートに書くのもいいし、重さを図ってみるのもおすすめ。食品ロスの見える化をすると、少しでも量を減らそうと、野菜の可食部分はできる限り食べるように調理するし、捨てないように冷凍保存など工夫しようと思う心が育つから。

その中身を見返してみて、野菜や果物が使いきれないようであれば、まとめ売りを買うのではなく、一つずつ買う方が合っているはず。また、食べきれずに捨ててしまっているなら、気合を入れて作くるのではなく、少量を丁寧に作る方が良いことが分かる。

他にも実際にやっている食品ごみを減らす工夫は、ベジブロスを作ること。料理の際に出る野菜の端や皮やヘタを煮出し、野菜のお出汁にします。一週間ほど貯めて、煮出し、その後のかすはコンポストの肥料にします。そうすることで、ごみを出さない料理が可能になるから。食事は毎日のことだから、小さいことをコツコツとが一番効果的。

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