
“ナチョス”というメキシカンフードのようなニックネームが可愛いフォトグラファー、直子さん。日本のサーフシーンでは女性のウォーターフォトグラファーが少ないから、彼女が海で写真を撮り始めるとすぐに話題となった。フットワーク軽く海外を飛び回り、世界中のサーファーガールと仲良くなって素顔を引き出す。
直子さんが写真を始めたのは36歳のとき。ここであえて年齢を公表するのは、新しく何かを始めるのは、いつだって遅くないことを伝えたかったから。それは彼女が身を持って証明してくれている。
インタビューはHONEY vol.29「Be Positive, Be Myself」で掲載中。ここでは直子さんの素敵な写真とともに、誌面では書ききれなかったいくつかの言葉をお届けしたい。



―――写真へのこだわりをお教えてください。
「シークエンス(連写。サーフフォトでは定番となっている)にはあまり魅力を感じないし、不得意。数打って当てる、みたいなのじゃ意味がないから、一呼吸おいて考えてから撮るようにしています。私はサーフフォトグラファーじゃない。サーフィンは物語の一部で、その背後にある女性の生き方やライフスタイルを伝えて行きたいんです。見る人にもストーリーを感じ取ってもらえたらと思ってます」
―――新しい世界に飛び込んで、大変なことはありましたか?
「はじめはわからないことだらけでした。写真の知識もない、カメラの機能もわからない。失敗は数えきれないほど。同じ場所で撮っているフォトグラファーさんに怒られたこともあるし、誰かにもっとああしろ、こうしろと指示されることもあります。今までの友達が離れてしまったり、否定的にものを言う人もいたりして。でも、写真がなかったら出会わなかったたくさんの人に出会えたし、別の世界が大きく広がりました。いろんな人の意見があるけど、私は私でいたいなと思っています。独立した女性でありたいっていう想いはカメラを始めてから一層強くなりました」



―――印象に残っている出来事はありますか?
「ある時、バリで一緒になったことがある海外のウォーターフォトグラファーの子が、インスタグラムで私をタグづけしてくれたんです。そこには『海の中が混んでいてちょっとナーバスになっていた時に、彼女が大きな笑顔を向けてくれて元気になれた』ってコメントが添えられていて。この子みたいな写真が撮りたいって憧れていた相手だったので、すごく嬉しかったです」
―――しばらくコロナの影響で旅ができなそうですが、何かプランはありますか?
「9月に、初めて作品集としてZINEを発刊しました。写真はもちろん、デザイン、製本、出版まで自作の自費出版です(笑)。今年は第二弾、第三弾ともっと積極的に作っていけたらいいなと。特にアジアのサーフシーンにフォーカスしていきたいと思っています」
SEA FLOWERS
NACHOSがこれまで撮りためた作品をまとめたZINE。表紙はドルフィンをした時の水中の写真で、ここから彼女の海の物語がスタートする。購入はこちらから。