【上原かいコラム】#9_Life is Just a Journey

⻑い間、原稿が書けなかった。書きたくなかったのではない。書こうと思っても、どうにも書けなかったのだ。その原因は分かっている。⼤変な事が起きてしまったからだ。⾃らのミスが、思いもよらないトラブルに発展し、途⽅にくれた。噂も⼀気に広まった。安らぎの場所が、⼀瞬にして暗転し、針の筵となった。⼈々の好奇の⽬に晒されることが怖くて、家に閉じ籠った。何故あんなことが、なぜ、と考えれば考えるほど苦しくて、⾃分を責めた。そうして、ネガティブスパイラルに陥った。けれども、時が経つと、その⼤部分が、⾃らの思い込みや疑念であるように感じ始めた。当初の⼩さな視野から、その出来事を俯瞰して⾒られるようになってからだ。変わらずそばにいて、信じ、励ましてくれる友⼈たちもいた。困難を克服することは、勇気、⾃尊⼼、⾃分を知ることにつながった。苦悩の末に、⼤きなギフトを受け取った。それは、サンクスギビングのブラックフライデーセールのような、ワクワクするようなプレゼントとは違う。けれど、とても⼤切なものだ。Life is just a journey. ⼈⽣という旅の、ミッションとも⾔えるものだ。

ある⽇、愛読書である哲学本を読み耽っていると、⽬に⾶び込んできた⾔葉があった。なんら変わりの無い書体なのに、その⽂章だけが、スポットライトを浴びたように、浮かび上がって⾒えた。“他者は敵でない、他者は仲間である” うん? 私はどう? すぐに、他者を敵かもしれないと、恐れている⾃分に気が付いた。衝撃だった。⾃分で敵を作っていたのだ。なんて悲しい事だろう。その思考は、幼少期の家庭環境による影響が⼤きいという。いつも兄弟で争っていたから。きっとこの思考を変えられない限り、同じ事が繰り返されてしまうだろう。それでは、決して幸せにはなれない。カウンセリングや、アンデスのシャーマンに由来する浄化の儀式を受けたりした。ネガティブなエナジーを断ち切ってもらった。でも、思考を変えられるのは、他でもない私しかいない。じっくりと⾃分と向き合うように、本と共に旅に出た。“他者と関われば、必ずそこには摩擦が⽣まれる。嫌われたり、裏切られたり。そうなって傷つくのが怖い。だから他者と関わりを持たないようにしようと考える。そのために、他者を敵と見做さなければならない”とあった。まさにその通り。知らない⼟地での、知らない⼈々との関わりでは、その⼈の良いところを⾒るように⼼掛けた。旅を楽しむために、その⼟地や⼈々を好きになりたくて。またこの旅では、より⼤きな共同体の視点を持つことが出来た。“対⼈関係の中で困難にぶつかり、出⼝が⾒えなくなってしまった時、まず考えるべきは、より⼤きな共同体の声を聞けというのが原則”とその哲学書にあった。“⼩さな共同体の中の権威は、⼤きな⼈間社会では通⽤しない。皆平等な⼈間なのだから”、常に誰とでも対等でいたいと、幼い頃から思ってきた。その思考は、⼩さな共同体で、しばしば物議を醸してきた。でも、他者の期待を満たすために⽣きていては、本当に幸せにはなれない。“⾃由とは、他者から嫌われることである”。⾃由を求めて⽣きる私にとって、極めつきの名言だ。それは、他者を全く無視して、⾃⼰本位に⽣きるということではない。むしろ、著者は、⼈が幸せを感じるための3つの条件を、“⾃⼰受容、他者信頼、他者貢献”と⾔っている。“他者から嫌われることを気にしていたら、⾃分を⽣きることは出来ない。幸せを感じて⽣きるためには、そのままの⾃⼰を受け⼊れ、他者を無条件に信頼して、⾒返りを求めず他者に貢献すること”。それは、共同体感覚を⾝に付けること。すると共同体の中に⾃分の居場所が⾒出せるという。つまり、社会と調和して⽣きること、他者を仲間だと感じることだという。私にとっては、⼤きな課題だ。すでに気付かれた⽅も多いと思うが、愛読書とは、アドラー⼼理学による『嫌われる勇気』だ。まるで、私のために書かれたのではと思ってしまうほど、⼼に響く⾔葉ばかりだ。ずっと原稿を書けなかったのは、読者の皆さんにネガティブな思いを届けたくなかったから。このコラムは、⾃分の⼼を整理するために書いている。でも、読者の皆さんを少しでもハッピーに出来たらと、切に願っている。他者貢献の気持ちかな、とポジティブに捉えながら、そんな⾃分も受け⼊れよう。きっと、このコラムを楽しみにしてくれている⼈がいる、と無条件に信頼して。⾃分に向き合わざるを得なくなって、旅に出た。それはまさに、魂の甦りの旅だった。

失敗したことを、いつまで悔やんでいても、物事は好転しない。誰かが代わりに解決してくれる訳もない。挫折に⽴ち向かって、前に進むことは、⾃分にしか出来ない。⼤切なのは、その勇気を持つこと。そして、⾃分をそのまま受け⼊れること。何よりも、⾃分を知ること。“過去は、その意味づけによって変えることが出来る”という。失敗から⼤きな気付きがあって、多くの学びを得ることが出来た。⾃らを⽣きる、そのライフスタイルを、改めて確信させてくれた。Life is Just a Journey〜⼈⽣って、まさに旅ね”と茶⽬っ気たっぷりに、かつてのダイアナ妃が⾔ったそうだ。

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