フランス・ゲタリーで花開く、2人の移住クリエイター | 女性の神秘をアートで描きたい<後半>

Nouvelle Vague by Brazilian & Sweden Girls

ブラジルとスウェーデン。キャラクターの異なる国で育った同じ年のサーフガールが惹かれたのは、同じ波と景色だった。フランス・ビアリッツとゲタリーにおけるクリエイティブ・アートシーンでは、今この若き移住者の活躍が目立っている。それは偶然なのか? 海のそばで暮らすことを決めた2人を紹介。


ゲタリーは小さな港町だが、そこはコンディションが合うと絵に描いたようなパーフェクトウェイブが出現する、サーファーにとって憧れのポイント。町の規模は小さいが、駅、カフェ、学校、ホテル、住宅、小さな商店があり、生活するには何ひとつ不自由はない。海だけでなく山と緑に囲まれたバランスのいい環境から、ゲタリーに住むことはある種ステイタスとなっている。住人は外国人の割合が高く、フランス人でも国外で仕事をしている人が多い。

クリエイティブ関係の職に携わる人も多いが、その中でも一際目立っているのが、ウィメンズブランド「キャプテン・クチュリエ」を立ち上げたサーフガール、カロリーナ・フランゾイ。そしてもう1人 、キャプテン・クチュリエのイメージカットを撮影しているスウェーデン人のフィリッパも、ブランドが知られていくにつれ、アートセンスの認知度を急激に高めている。

カロリーナとフィリッパはともに1991年生まれ。それぞれのクリエイションは唯一無二の個性を発揮し、それを巧みに表現しつつコラボレーションすることで刺激し合っている。2人に共通するのはサーファーであり、ここ数年以内にフランスへ移住してきたということ。 注目の2人のクリエイティブな作品と、それぞれのバックグラウンドを探ってみた。後半はフィリッパをクローズアップ。 


〈Filippa Jean Edghill〉女性が持つ「柔らかさ」と「力」。そのバランス

見惚れるほどの美しい金髪に、吸い込まれそうになる透明な青い瞳。 小柄で声が高く、まるで人形のように可愛らしいフィリッパ。その彼女が描くアートは緩やかな曲線やモチーフが多く、見方によっては官能的にもとれる。ビアリッツにアトリエを構え、ワークショップや創作活動を行っている。

HONEY(以下、H):先日のヌードデッサンのワークショップは、月曜にも関わらず20名近くが参加。プロのイラストレーターもいたりと盛況でした。
Filippa Jean Edghill(以下、F):「2回目の開催だけど、とてもいい雰囲気だったと思う。新しいアトリエは天井が高くて開放的。絵を描くという行為は、童心に戻れるの。リラックスしながら、うまい下手より描くこと自体を楽しんでもらえてよかった」

H:先生役が板についていました。これまでサンフランシスコで働いたり、かたやバルバドス諸島からフランスまで大西洋を船で縦断したりと、経験豊富ですね。
F:「バルバドスは父の故郷なんです。 私も住んでいた時期があって、サーフィンはそこで覚えた。行動力があるというより、色んな人と知り合うのが好きなの。スウェーデンは小さな国で、スウェーデン語しか話せないと行動が限られてしまう。語学を学ぶのは簡単ではないけれど、人生を豊かにしてくれる」

H:フィリッパの作品からは、色づかいやモチーフなど、その時によって変化を感じます。特に何を表現していますか?
F:「私にとって重要なのは力 、柔らかさ、そして女性性の神秘」


H:自国と比べ、フランスは女性が活躍しやすいと思いますか?
F:「スウェーデンは男女平等という点においては、非常に進んでいる。だから私の男女同権を普通とする意識はとても高い。逆に性差別への許容範囲はとても低い。フランスではそれについて、もっとディスカッションが必要かも。私は男性性、女性性について急進的なアイデアの持ち主とされているけど、スウェーデンでは常識。国による違い、意識の違いは外国暮らしで気づけたこと。 そしてそれは私のアートのテーマになった。どこへ行っても常に表現していきたいと思っている」

H:色々な土地を知るフィリッパ。 海の側への移住に憧れる読者もいます。何かアドバイスはありますか?
F:「自分の気持ちを素直に受け止め、行動に移すこと。怖がることはない、それだけ。ただし、理想の部屋や仕事を見つけるのは大変。ネットにある情報と実際に暮らすのは違うから。最初は寝泊まりできるバンを借りて、それからコネクションを作っていくのもスタートアップの助けになると思う」

H:今後の活動予定を教えてください。
F:「 展示会やワークショップもする予定。インスタで情報をアップデートしていくのでチェックしてみて」

SHARE