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「できるだけフィルムカメラで撮っている」セバスチャン・ザネラが描く静謐な夢の世界

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波に乗り、街を滑る女性たちが放つ、ありのままの美しさを求めてシャッターを切る。フィルムが醸すエモーショナルな質感、光と陰、色が織りなす抽象が、現実よりも真実を語る。セバスチャン・ザネラが描く、静謐な夢の世界。


ジョシー・プレンダーガスト、パナマのどこかで。ジョシーはサーフィンにも生きることに対しても、おだやかかつエレガントにアプローチする。彼女の浮遊感はとても詩的だ

Questions and Answers
with SEBASTIEN ZANELLA

フォトグラファーとしての歩みを教えて


フォトグラファー、または何かひとつの肩書きで自分を呼ぶことに少し違和感を感じる。たとえばフォトグラファーというと、僕よりももっと写実的なものを撮影する人のように思えるから。僕は世界を詩的に描くことにすべてを捧げているんだ。そしていつも、現時点で最高のセバスチャン・ザネラでありたいと願う。僕は6歳から詩を書いている。最初にショートフィルムを作ったのは14歳のときだ。そして16歳で雑誌を作りはじめ、30歳で本格的なカメラを初めて買った。だから僕自身はフォトグラファーというよりは、カメラを使って日々を描く詩人だと思っている。この4年間真剣に撮影をするようになって、写真が僕の人生をより情熱的なものにしてくれていることは確かだ。カメラを持っていればいつでも詩を作れるから、スーパーに行くときでさえワクワクできるんだ。

インスピレーションを受けたアーティストは?


ピカソ、ヘンリー・ウェッセル、イヴァン・アイヴァゾフスキー、ヘンリー・デイヴィッド・ソローなど、たくさんいすぎてすべての名前は挙げきれない。言うなれば、真の自分自身でありつづけるために、あらゆるインスピレーションが枯れ果てるまで表現を続けたすべてのアーティストたち。彼らにとってキャンバスやペン、カメラは自分を掘り下げるためのツールにすぎないのさ。
–{どんなカメラで撮影をしてるの?}–
どんなカメラで撮影をしてるの?


できるだけフィルムカメラで撮っている。なぜフィルムを選ぶのかというと、僕が自分の心と向き合えるように、その瞬間に集中させてくれるから。撮った画像をすぐに確認できてしまうと余計なことまで頭に浮かんで、ナーバスになっちゃうんだ。僕は完璧な写真を求めてはいない。多くの人々が好むような写真もね。写真は僕の魂を語る。僕の感情すべてを表現しているものだよ。


いつサーフィンとスケートボードを始めたの?
たしか14歳のときだったと思う。でもスポーツ的に惹かれたことは一度もない。僕にとって、サーフィンやスケートはライフスタイルであることが魅力。本質は自由であること。だからこそ、サーフィンやスケートの世界にはユニークな人が多いのさ。僕が始めた当時、サーフィンやスケートをすることは社会的に理解されにくいことだった。異端児扱いだったね。

日本から遠い、あなたが暮らすフランスのシーンってどんな感じ?


フランスの美しさなら何時間でも話せるよ。家の前の木々からこぼれる朝の光、パン屋のにおい、午後5時のコーヒーを飲みながら繰り広げる、終わりなき精神論と政治的な討論。僕は毎日地図から目的地の村を選び、2時間ほど歩きながら写真や映像を撮る。グローバル化により、残念ながら独自の文化が失われつつあると感じている。だから、今ある姿を記録するためにやってるんだ。サーフカルチャーについても同じように思う。僕は幻滅したくはない。でも残念だが、かつてあったサーフィンの精神性はもう存在しない。君はサーフィンに対するすばらしいソウルと人間性を持っているかもしれないが、フランスだけじゃなく、ハワイや日本でもそんなサーファーは今やごくわずかだろう。僕はサーフ“ビジネス”ブランドが広告を出すことによって作り上げられる、見せかけのサーフカルチャーを信じていない。まだ一度も行ったことがないけれど、日本を訪れることは僕の夢だ。世界が落ち着いたら必ず行くよ。

いい写真、悪い写真の境界線は?


自分の写真を見るとき、自分の心に尋ねるべき質問だね。本当に自分が見ている世界か、それとも誰かによく思ってもらおうとするための視点なのかがライン。だからこそ、テクニックは本当に重要だ。自分のインスピレーションをしっかりと描き出せる技を身につける必要がある。そうすることによって、自分のフィーリングだけにフォーカスしていられるのさ。

ヴィクトリア・ヴェルガラ、セノッス、フランス。この夏、ホームビーチにて

–{色を使って写真を編集することもある}–

ジョシー・プレンダーガスト、メンタワイ。色を使って写真を編集することもある。「僕は抽象的な表現で現実よりも真実を語らせるゴッホやピカソなどから大きな影響を受けている」


ジョシー・プレンダーガスト、メンタワイ。彼女と撮影をするのはとても簡単だ。いつどこを切りとっても絵になってしまうから。このとき初めて見たジョシーのサーフィンには、力づくな所作はひとつもなかった。すべてにおいて自然体。それは、僕が探していた姿そのものだった


ジェス・ブービエ、セノッス、フランス。僕が初めて女性のサーフィンを撮影したときの1枚。ここは自宅前の海。彼女が海と一体になる姿を見て、僕はその美しさに完全に魅了された


ジョシー・プレンダーガスト、パナマ。海に入るために夜明けの光を待つ



photographer
Sebastien Zanella
セバスチャン・ザネラ
1982年、フランス南東部出身。サーフィンやストリートカルチャーに根づいたディレクター、フィルムメーカー兼フォトグラファー。クライアントにエルメスなどのハイブランドが多数。雑誌『Desillusion Magazine』の創設者、編集長でもある。
公式サイトInstagram