サーフスポットをVANで巡る旅_Vol.1(南西ヨーロッパ編)

ルーフトップにサーフボードを括りつけ、ヨーロッパの海沿いを自由気ままに旅するサーファーたち。彼らの実体験が1冊にまったシリーズ本がある。タイトルは『I LOVE THE SEASIDE』。


今やヨーロピアンサーファーの間で欠かせないサーフトリップガイド本となった『I LOVE THE SEASIDE』。2016年に「南西ヨーロッパ編」が発刊されると、実用性が高く、ガイド本でありながら読み物としても楽しめると瞬く間に話題に。 その後「イギリス & アイルランド編」、「北西ヨーロッパ編」、「モロッコ編」と相次いでリリースされた。
今回は、初版から数えてすでに5回目の改定を迎えた「南西ヨーロッパ編」から、“スペインのカンタブリア”と“フランスのブリタニー”をピックアップし、海岸線沿いのカルチャーを紹介します。
冬が終わり、そろそろ旅立ちの季節。いつの日かヨーロッパをヴァンでロードトリップしてみたい。

©️philip roose / LOVE THE SEASIDE

SPAIN/カンタブリア

そびえ立つ山、連なる丘からなる稜線、崖、そして谷。フラットな場所を見つけるのはかなり苦労するだろう。カンタブリア州には6つの保護された自然地区があるが、認定されていない緑の丘や河口でさえ、自然あふれるダイナミックな遊び場になっている。オススメの季節は初春。水(冷たい!)は透明で、パドルしながら山側を見ると、山頂に雪が残るロス・ピコス山脈の雄大な景色が目に入る。

カンタブリア州は夏を除けばオーバーツーリズムからはほど遠い場所で、牛がのんびりと道路を横断している。
またこのエリアは修道院が多い。中世の時代、多くのキリスト教徒がカンタブリア州とアストゥリアス州に避難し、イベリア半島で唯一イスラム教徒の支配が及ばなかった。修道院が多いのはそれが理由で、周りには集落が生まれた。

17世紀から18世紀にかけて、サンタンデール港が他欧州の港やアメリカに向かう船の経由地となり、カンタブリアの海辺を重要な交易地に変えた。今日、ツーリズム以外の主な産業は酪農、農業、漁業である。

【交通事情】
ソモ(Somo)やSan Vicente de la Baraquera(サン・ヴィチェンテ・デ・ラ・バルケリャ)といった場所を選べばコンスタントに波があり、また食、カルチャーが集まっているので、何マイルも運転する必要はない。

【こんなサーファーにオススメ】
タイプの違うビーチや湾でサーフィンをして、山、谷、丘などの自然に身を置くのが好きな人。牛乳、チーズ、お菓子への食欲をコントロールできる人(美味しすぎて食べ過ぎる危険性が!)。

【エリア:SOMO】
5kmに及ぶビーチを有するソモは旅の出発・帰着地として人気で、ホテルやキャンプ場など施設も充実。北西うねりが入るとエクセレントな波が出現する!  

【サーフショップ:Kun_tiqi_Surfboards】
エコフレンドリーなサーフショップ「Kun_tiqi_Surfboards」。オリジナルのボード「Kun_tiqi」はフォームにバルサ材を使用し、レジンも半分以上が植物由来のものを使用。シェイパーのステファンはリペアも凄腕なので、トリップ中にボードが壊れたら相談を。

住所:Barrio la Cardosa 11, 39160 Loredo
公式サイト

©️I LOVE THE SEASIDE

【ポイント:Langre & Somo】
南西風をかわす崖のおかげで、ラングレは比較的穏やかなポイント。中程度のうねり、ロータイドからあげていく時間帯がベスト。
ソモはビーチが広いので、混雑している日でも探せば空いているポイントが見つかる。初心者に最適なピークもあり、スクールも行われている。ビーチは全体的に雰囲気がよく、小〜中程度の北西うねりに反応。すべての時間帯でサーフ可能。

レベル : 初級〜上級
駐車のしやすさ : ◎
その他:ビーチにシャワーとトイレがあり。周辺にはレストラン、キャンプ場、サーフスクール、サーフショップあり

©️I LOVE THE SEASIDE

【エリア:San Vicente de la Barquera】

多数のサーフスポットが点在するサン・ビチェンテ・デ・バルケーリャ。自然が豊富で、海から眺めるロス・ピコス山脈の景色に心が奪われる。スローな空気が流れる町は昔ながらのお店が並び、とにかくご飯が美味しい。朝はチュロスにホットチョコレートをディップして食べるスペインらしいカフェで朝食を。
町と海の往来時に渡る石造りのマサ橋や、高くそびえるレイ城など、中世初期の面影が残るヒストリックなエリア。

©️I LOVE THE SEASIDE

【宿泊:Casa Ohana】
サーフポイントのすぐそば、丘の上に建つスタイリッシュな建物の「カーサ・オハナ」。オーナーはオランダ出身のロングボーダー。地元食材を使ったベジタリアンフードが人気で、共有ルームと個室があり。またペット連れも歓迎。春と秋に開催されるロングボーダー向けのサーフキャンプ「Single Fin Surf Travel weeks」の宿泊施設でもある。冬になるとコワーキングに特化した宿泊プランもあり。

住所:Barrio Rioturbio 13, 39528 Comillas
公式サイト

©️I LOVE THE SEASIDE

【ポイント:Meron, Gerra & Oyambre】
強いうねりが必要なポイント。メロン、ヘリャがオーバーサイズとなったら、西〜北西〜北のスウェルに反応するオイアンブレへ移動。すべてのタイドでサーフ可能だが、ベストの時間帯はハイタイド前後。

レベル : 初級〜上級
駐車のしやすさ : ◯
その他:ビーチにシャワーあり、トイレは夏の期間だけ使用可。周辺にはレストラン、キャンプ場、サーフスクールあり

©️I LOVE THE SEASIDE

FRANCE/ブリタニー

どこに行っても嵐。気が滅入りそうになるのがブリタニーで、特に顕著なのが北西部エリア。しかし晴れた無風の日は景色が一変し、海の色は熱帯地方のような彩りを放ち、魅力的な場所に昇華する。荒天、強風、重たい灰色の空から差し込む太陽の光、花崗岩の崖、入り江、岩だらけの湾は、見方によっては未開拓の美しさといえる。メンヒル、ドルモンと呼ばれる先史時代の巨石はケルト文化を表す静かな証人で、今も至るところで見ることができる。またブルトンのルーツであるケルト語も、西部地方を中心に現在も使われている。
ブリタニーはヨーロッパで最もコンスタントに波があり、北、西、南の3方向からの大西洋のうねりをキャッチ。全長1500 kmを越す入り組んだ海岸線のどこかで、極上の波に出合うことができるだろう。

©️I LOVE THE SEASIDE

【交通事情】
ヴァンでロードトリップしやすいエリア。キャンプ場はどこも安く、一部はオフシーズンになると無料で利用可能。無料のキャンプ場を使用する際はトイレを持参し、排水も出さないよう注意したい。

【こんなサーファーにオススメ】
ロングハイキング、絶景、タイド、うねりと風向きの相性、冷水、リーフ、岩と石が混ざったボトム、パーティ、ローカルなお祭りが好きな人。そしてPlouescat、Plougoulm、Plouxane、または Plouhinec (プルイネック)というケルト語からなる地名を混同、聞き違えても慌てない人。

©️Marinus Joris / I LOVE THE SEASIDE

【エリア:Penhors】
Plozevet (プロゼヴェ)から海沿いを南下していくと、数々のサーフポイントが出現。南西から西向きに湾曲した地形のおかげで、わずか数キロ移動しただけで全く違うタイプの波を楽しむことができる。モデルコースとしてはPoulhan(プラン) 港から出発し(※ラジオをMFM (ノンストップのフランス・ミュージックに合わせるのをお忘れなく!)、Plouhinec(ブルイネック)のビーチを通過してPlovan(プロヴァン)へ。Penhors(ぺノー)で小休止したらそこから少し内陸に入り、何百もの鳥が住むTréguennec(トレゲンネック)自然保護区を通って最終地点のPointe de la Torche(ポワント・ドゥ・ラ・トーシュ)に到着。そこはブリタニーで最も人気あるサーフポイント。

【RVパーク:Cote et Reve】
地元出身のマリーンとオランダ人のジョーが、何年もキャンピングカーで旅した後に作ったRVパーク「コート・エ・レーヴ」。海のすぐそばでキャンピングカーも停泊できるということで、たちまち人気に。共有ルームと個室があり、夏はグループでの大型テント泊も可能。施設の規模は大きくないので、一人旅や家族旅行が最適。

住所:17 Ter, Rue du Rol Gradlon, 29780 Plouhinec
公式サイト

©️I LOVE THE SEASIDE

【サーフショップ:Plume d’Avion】
フィッシュ、ミニロング、ノーズライダーといったオルタナ系のボードがラインナップする「プルーム・ダヴィオン」。アートや写真、グラフィックデザインが好きというシェイパーのローホンが削るボードにはすべて、アーティスティックなデザインが施されている。

住所:80 Chemin de la Corniche, Scantourec, 29710 Plozevet
公式サイト

©️I LOVE THE SEASIDE

【ポイント:Pointe de la Torche, Tronoen & Pors Carn】
ポワント・ドゥ・ラ・トーシュから北は、ブリタニーの中で最も有名なエリアの一つ。コンディションが整うと、岬からマシンウェイブが出現する。サイズが大きい場合も、通称“エレベーター”と呼ばれる岩沿いのカレントを利用して簡単にラインナップに出れる。トーシュが混雑している場合は北にあるトロノエンへ。 小~中程度の西うねりを広範囲に拾い、タイドはミドル〜ハイタイドがベスト。初心者や子供連れの場合は、ラ・トーシュの南にあるポー・カーンへ。人が少なくて波も穏やか。

駐車のしやすさ : ◎
その他:トイレ、サーフスクールあり

©️I LOVE THE SEASIDE

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