
サーフィンがもっとうまくなりたいけど、仕事や子育てが忙しかったり、車がない、コロナ禍で外出を控えたいといった理由でなかなか海に行けない人も多いのでは? そんなもどかしい気持ちが募る日々に、一筋の光を差すのがサーフィン動画。
「サーフィン上達のコツは?」という質問をこれまでの取材の中で多くのサーファーに投げかけてきた。答えはもちろん「海に行ってひたすら波に乗ること」が圧倒的だったけど、その次に多かったのが「サーフィンの映像を観ること」だった。いろんなサーフィンのスタイルを見て研究し、ライディングのイメージを強く持つことが大切なのだ。海に入れない時にはサーフィン動画が助けになってくれる。自然のままにゆらめく波や優雅に波に乗るサーファーの姿を映した映像は疲れを癒し、気持ちに余裕を与えてくれることも。出勤時のリフレッシュに、仕事の合間に、夜お酒を飲みながら、心はすぐにでも海の中へ……。
動画をピックアップしてくれたのは、先日YouTubeでノーズライドについて解説してくれたロングボーダー、島尻祐子プロ。世界中のサーファーと交流があり、「人を魅了するライディングとは何か」をよく知る彼女が厳選した8本の作品を、前編と後編に分けて紹介。今回はその後編です。
#5 Lola Mignot Gypsy Princess of Sayulita
“ジプシープリンセス”のローラ・ミニョー。ヒッピーの母が放浪の末に辿り着いたメキシコ海沿いの小さな町サユリタで生まれ、その圧倒的なサーフィンのうまさとスタイルで瞬く間に世界へと羽ばたいた。この動画ではサユリタのカラフルな日常と、ローラの美しいサーフィン姿が楽しめる。「6年も前の動画なんですけど、この子可愛いなあって衝撃だった思い出の作品。サユリタの町の雰囲気もわかるからトリップ感も味わえるし、ローラがジュエリーを作ったり、アートを描いてたりするのも可愛い。ライディングもちゃんと観られるから参考にもなります。今のローラと比べるのも面白いかも」と島尻さん。
#6 Seea Spring Collection 2013 by Tiffany Campbell
砂だらけの汚れた足、きちんとペディキュアを塗られた足、スケートシューズを履いたままの足……ベッドから飛び出た、タイプの違ういろんな女の子の足から動画がスタートする。サーファーでアーティストのトーマス・キャンベルの妻、ティファニーがSeeaのために制作した2013年の作品で、レトロな音楽とスタイリングがとってもキュート。メレ・サリなどが出演するもサーフィンしすぎず、かと言ってスイムウエアを全面にプッシュいるわけでもない独特のゆるさがいい。2022年のコレクションではブランドの10周年を記念して、ここに登場するスイムウエアが再販売される予定とか♡
#7 Down at the Bu
夏のカリフォルニア・マリブ。サウススウェルが届き、ミッドレングスやロガーにとって最高のコンディションが訪れる。激混みのラインナップには、ジョエル・チューダーや息子のトッシュ、ジャレッド・メル、ネイザン・ストローム、カリーナ・ロズンコやリア・ドーソンなど名だたるサーファーが集結。フィルムを回すのは奇才、ジャック・コールマン。この世代を超えた貴重な大セッションは、映像でもなかなかお目にかかれない。タイミングよくボードを交差させたり一緒の波に乗るなど、みんなが本当に楽しそうなのが印象的。もちろん技術がないと危険な行為なので、よいサーファーはマネしないで(笑)。
#8 Mollusk Surf Shop Golden State | Kassia Meador
ロングボーダーの女王、カシア・ミドーの、ある日のマリブセッション。こちらもジャック・コールマンのショートムービーで、技術を勉強するためにしっかり観るというよりもプロジェクターなどで流しっぱなしが心地良いフィルム。センスの良い映像と音楽でちょっとリッチな気分に浸れる1本だ。ボードを身体の一部のように使いこなし、ノーズライドやチーターファイブをいとも簡単にやってのけるカシア。その力の抜けたライディングは、ぜひお手本にしたい。カシアで検索するとこれまでの彼女のキャリアの長さと比例するかのようにたくさんの動画が出てくるので、お気に入りを探してみて。
もっと楽しみたい人にはこちらも!
クールなカリフォルニアスタイル>>> Mollusk Surf Shop
女性の優雅なサーフィン&エンパワーメント>>>Seea
ニッチなサーフィン映像>>>>KORDUROY TV
お気に入りのサーフィン動画を日常に取り入れてみよう!
adviser
島尻祐子
日本で唯一、ドナルド・タカヤマからスポンサードを受ける。千葉県大網白里にあるサーフスタイルショップBONS casa de veranoのオーナー。日本の女性ロングボードシーンを牽引する存在。
text:Alice Kazama