不思議と『美』と『健康』を分けて考えてしまう私たち|腸活を始める前に知っておきたいこと

最近スタンダードになってきた腸活。なぜこれが必要なのかを徹底解説。「第二の脳」と呼ばれるほど神経が集結する腸を整えることで、心も身体も健康に。

教えてくれたのは……
Dr.菌ケア
下川 穣
株式会社KINS代表取締役。福岡県出身。都内医療法人理事長を経て、菌をケアし日常生活をサポートするサービス「KINS」を2018年にスタート。公式サイト

身体や肌の不調。実は“腸が漏れている”のかも!?
肌荒れ、アレルギー、睡眠不足、だるさ、生理痛……女性の身体の悩みはつきない。何かしら不調を感じるのは、もしかしたら腸が原因かも知れないと疑ってみよう。一見腸とは関係なさそうなことでも実はがっちりつながっていたりするから、腸はおもしろくて怖い。

「“免疫を高める”という言葉をよく耳にしますが、免疫も理想はど真ん中の、中庸を維持することが大事。例えばアレルギーって免疫が過剰な状態に起こる身体の反応だったりするので。高める、よりも“免疫を調整する”と言ったほうがいいかもしれません。そしてこの免疫のバランスのほとんどをつかさどっているのが腸にある『腸管免疫』。だから、腸内細菌のバランスが崩れると免疫が崩れてしまうんです」と下川さん。特に問題視されているのが『腸漏れ(リーキーガット症候群)』だと言う。文字通り、腸から必要な栄養素や身体に良くない毒素が血液などを通って体内の別の場所に漏れてしまうこと。腸に穴が開くというわけではなく、腸の粘膜が薄くなって漏れ出してしまう症状だ。

本来はお腹の中にいなければならない悪者たちも染み出しているわけで、最初に挙げた肌荒れやアレルギーなど不調の原因が、腸から漏れ出した毒素の可能性があるということ。なんと恐ろしいのだろう。しかも簡単な検査でわからないから、永遠に気づかない場合もある。知れば知るほど怖くなる腸漏れだが、何が腸漏れを引き起こすのかはわかっている。だからそれと逆の生活習慣、食生活にするだけである程度は防げるのだ。それでも、常に腸の状態を専門的にチェックするわけにはいかないので、毎日100点満点のケアは不可能。サプリメントなどで補うことを下川さんもおすすめしている。

「みなさん美に対する意識はすごい。でもほとんどの人が『美』と『健康』を分けて考えているんですよね。美はインナーとアウターがありますが、実際に影響する配分としてはインナーのほうが圧倒的に高い。高価な美容液を使っていても、腸が漏れていたら肌は荒れます。インナーのほうにもっと目を向けてケアしていれば、アウターにかけるコストが減るので、コスパとしてもいいんですよね。そして腸活のいいところは、予期せぬメリットがたくさんあること。肌荒れを治したくて腸活していたけど、気づいたらよく眠れるようになっていたとか、生理痛が改善したとか、結局すべてに働いてくるんです」。美と健康はイコールということを忘れてはいけない。今後はインナーケアへシフトしていくのが得策のようだ。


Are you OK?
腸内環境Check Point


あなたの腸内環境は大丈夫? セルフチェックで自分の腸の危険度を知ろう。普段の生活習慣や食生活が、腸にとっては大ダメージの可能性も。

01.高脂肪食、ウエスタン食(ハンバーガーやステーキなど)をよく食べる。
ファストフードなどの“西洋食”はもともと高脂肪で身体に良くないイメージがあるけれど、腸の菌の栄養となる水溶性食物繊維がほとんどないというデメリットも。腸の菌たちは栄養が不足すると腸の粘膜の重要な物質「ムチン」を代わりに食べてしまう。つまり、粘膜が薄くなり、腸漏れを引き起こしやすくなるという仕組み。

02.甘い清涼飲料水やジュースをよく飲んでいる。
まだまだ残暑が続く中、冷えたジュースやスポーツ飲料を飲む機会が多いかもしれない。ぐびぐびっと飲む前にストップ! もう一度パッケージの裏の表記をよく見てほしい。「果糖ブドウ糖液糖」という糖類の記載があったときは要注意。この果糖を多量摂取すると腸が漏れやすくなるという研究結果が発表されているそう。

03.小麦の製品が大好き。
小麦のグルテンはダイレクトに腸にダメージを与える。グルテンを構成する成分「グリアジン」が一番の悪役で、腸に辿り着くまでに完璧に分解されず腸漏れの原因に。品種改良の末、特に現代の小麦にはこのグリアジンが多く含まれてしまっているそう。グリアジンの少ない古代小麦にシフトしたり、グルテンレスな生活を心がけて。

04.アルコールをよく飲む。
アルコールは、腸に良い乳酸菌の餌となる「長鎖脂肪酸」を作る菌を殺してしまう。摂取しないのが一番だけど……諦められない人は、発泡酒などに含まれる人工甘味料や、ワインの酸化防腐剤として使われる亜硫酸塩など添加物が入っていないものを選ぼう。生きた乳酸菌が入っている一部の日本酒や生マッコリもおすすめ。

05.痛み止めの薬を常用している。
痛み止めは解熱、鎮痛の作用がある=血管が収縮するということで、そもそも身体に良いものとは言えない。加えて、定期的に飲む人は腸漏れを起こしやすいという研究結果が出ている。また抗生物質も菌を殺すために作られた薬なので、もちろん腸の菌にも影響が。数日程度の短期的な服用ならいいけれど、長期的な服用は避けるべき。

06.歯茎から血が出たり、口臭がひどい。
歯のグラつき、出血、口臭が認められる場合は歯周病の可能性があるから要注意。歯周病の人は唾液を飲み込む時、一緒に歯周病菌も飲み込んでしまっているそう。ほとんどの場合は胃酸で殺せるけど、年齢と共に、または体調が良くないときには胃酸の濃度が薄まることも。そうすると、なんと生きた状態で腸に届いてしまう。

07.日常的にストレスを感じている
腸には脳と同じように神経がものすごくたくさん集まっていることから「第二の脳」とも呼ばれる。例えば、緊張するとお腹の調子が悪くなる……なんて人がいるけれど、これは明らかにストレスからくるもの。精神的なストレスは軽い電気ショックよりも腸漏れを引き起こすと言われているほど。やっぱりストレスは大敵だった!

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