切っても切り離せない“クルマとサーフィン”の話/SURFERS VEHICLE

サーファーの絶対的なパートナーであるクルマ。信頼できるボード、可愛いビキニ、バイブスの合う仲間……私たちの大切なものを全部海まで運んでくれる。波乗りにスタイルがあるように、クルマにもそれぞれスタイルがあるほうがかっこいい。きっとあなたも欲しくなる、素敵なサーファーズ・ビークルのストーリー。


カントリーライフに寄り添うタフ&キュートなピックアップ

#01 TRUCK

  • OWNER_TOMMY
  • TYPE_NISSAN TRUCK
  • COUNTRY_HAWAII
  • YEAR_1986

ハワイの大自然で生まれ育ち、太陽のような笑顔を振りまくビーチガール、トミー。ヘルシーな美しさが内面から溢れ出ている彼女は、ノースショア付近でナチュラルライフを送っている。愛犬を連れて毎日のように海でリラックスして過ごすのはもちろんのこと、週末はファーマーズマーケットに必ず出かけ、庭のガーデニングだって手を抜かない。以前はカモフラージュ柄にペイントされた1989年式のトヨタのバン(その響きだけで間違いなくかっこいい車だと想像できる!)に乗っていたのだが、スローライフのリズムによりフィットする、トラックタイプのクルマをずっと探していたそう。あるとき友人がクレイグリスト(アメリカの大手オンライン個人売買サイト)で見つけ出してくれた、条件にぴったりの一台がこのキュートなイエローのニッサントラックだった。

「一目見て恋に落ちたの。カラー、車種、フォルム、どれをとっても完璧だったわ。ガーデニングのときには荷台にたくさんの土を乗せて運べるし、海に行くならそこにロングボードを積み込むだけ。ガーデンカーとしてもサーフカーとしても最高の役割を果たしてくれているのよ」

古いクルマを好んで乗る人には様々な理由がある。見た目がクールだから、歴史を感じるから、スタイルがあるから。しかし彼女にとってはその重要な項目のひとつに“リサイクル”という概念があった。「私は最近“再生する”という行為をとても大切に考えていて、リサイクルグッズの購入も積極的に行っている。その考えはクルマに対しても同じ。古くて美しいクルマがたくさんあるなかで、それをどう活かせるか、輝かせられるかと考えた結果、このトラックのオーナーになることを決めたの。これは、私の自由なライフスタイルを象徴してくれる存在でもあるわ」
そんな発想は、彼女のようにシンプルな日常を送ることで自然と湧き出てくるのかもしれない。

家族の一員でもある愛犬ブルーも、いつも一緒にクルマでお出かけ。彼もトラックの荷台がお気に入りのようだ
ハワイのメローな空気感にとけ込んでいる、控えめなイエローのピックアップトラック。海やファーマーズマーケットに出かけたり、ときには荷台で昼寝をしたり……。トミーにとってクルマとの時間は生活の一部になっている
ノースショア付近に住むトミーの日課はもちろんビーチに行くこと。「サーフィン後に砂だらけのボードをそのまま荷台につっこむだけ。汚れたって全然気にしなくていいところが好きなの」

旅するサーファーが出合った居心地の良い広々キャンパー

#02 VANAGON

  • OWNER_KARINA ROZUNKO
  • TYPE_VOLKSWAGEN VANAGON
  • COUNTRY_USA
  • YEAR_around1990

「サーフィンは、私の人生の中でものすごく大きな部分を占めるもの。一緒にいる周りの人々から、私が生きるライフスタイルまですべてがサーフィンからきている。サーフィンのない生活なんて想像もできない!」

カリフォルニア・サンクレメンテで生まれサーフィン一家のもとで育ち、現在プロロングボーダーとして生きるカリーナ。お馴染みSeeaのアンバサダーとしても活動している、スタイリッシュなサーファーだ。そんな彼女が愛車として選んだのはフォルクスワーゲンのヴァナゴン・ウエストファリア。理由は、旅が好きだから。

「クルマの中で生活が送れるキャンパーは、どこに行くにもすごく便利。海から上がったらドアを全開にしながら昼寝をしたりギターを弾いて過ごして、時間が経ったら波の様子をチェック。ワックスアップしてまた海に入っていく……こんな自由気ままな旅とサーフィンの生活にぴったり」

特にアレンジはしていないけれど、サーフィンが心地よくできる環境づくりは完璧に整っている。キャンパーならではの広々とした車内には、お気に入りのボードが2、3本必ず入っているし、カメラやギター、ウェットスーツ、ビキニも常にそこにある。ショートトリップなら今すぐにでも出かけられそうなグッズで溢れていた。

穏やかなカリフォルニアンの空気が流れる彼女の周りには同じようなマインドを持った人々が集まってくる。このバンに乗って仲間のサーフガールとトリップに行くこともしばしば。

「旅のプランを立てるのは好き。でもその後は流れに身を任せることにしてるの。冒険らしくて楽しいから! 唯一旅のルールがあるとすれば、新しいものを見ること、新しい人と出会うこと、そして新しい波でサーフィンをして良い時間を過ごすこと。このバンと一緒ならトリップがより一層輝いて見えるの」

カリーナは今日もウエストコーストのどこかのブレイクでこのバンと共にメローな時を過ごしている。

カリーナのように旅するサーファーにとって、キャンパーのヴァナゴンはグッドチョイス。ボードは何本も積めるし、長旅でも快適に過ごせる装備が揃っている
大好きなアフターサーフのチルタイム。ギターを弾くのが、サーフィン以外の趣味でもあるそうだ
端と端にロープを結べば、濡れた水着も干せてしまう。サーファーなら一度は憧れる光景かもしれない

フラワーパワーに包まれたラヴ&ピースなバン

#03 CHEVY VAN

  • OWNER_RACHEL DEJOHN
  • COUNTRY_USA
  • TYPE_CHEVY VAN G10
  • YEAR_1994

サーフアーティスト“Surfy Birdy”として活躍するロングボーダー、レイチェル。レトロなフラワーやカラフルな波など彼女の生み出す作品はどれも女性らしい柔らかさとあたたかさに包まれている。ピースなマインドから溢れ出る愛はもちろん大好きなシェヴィーバンにもたっぷり注がれていた

「このクルマには毎日たくさんの愛を与え、歌を作って歌ってあげているの。そうすればこの子も自分がスペシャルな存在なんだと感じられるら」

クルマとこんなにキュートな向き合い方をしている人が、他にいるだろうか。購入してからまだ5ヶ月だが、さすがはアーティスト、アイデアが沸いたらすぐにカスタムを行い、毎日のように外装や内装が変化していく。

「とにかく思いついたらなんでもやってみることにしてる。もともとブラックとグレーというつまらない色だったから、私のスタイルにフィットするようにペイントしたの。全体をファンでビーチィなカラーに塗り変えるだけで元気になれるでしょ? あとはハンモックを取り付けたり、内装を好きなアイテムで飾ったり、とにかく居心地の良い空間に仕上げようと遊び半分でカスタマイズしてるときがすごく楽しいの」

サーフィンが大好きなレイチェルは「いつ波があるかわからないから」と、常にロングボードを乗せた状態で自慢の愛車を走らせている。彼女にとって波乗りはクリエイションのインスピレーションソースであり、幸せの根源だという。「このクルマが私をファンウェイブのスポットに導いてくれたときには、本当にハッピーになれる。その時間を共有できる友人がいることも大切よね」。

“毎日が冒険であれ”を人生のモットーとして生きている彼女は、自分の愛車のことを“アドベンチャーモービル”と呼んでいる。一緒に冒険ができる最高の仲間、きっとそんな意味がこもった愛称なのだろう。

“サーフナップ”のために取り付けたハンモックでリラックス。椅子を置いたり、レトロなファブリックを飾ったり、家のリビングにいるような居心地の良さ
ピースマークのアクセサリーが物語るように、レイチェルは優しさと愛情に満ちた女性
好きな物ばかり積め込んだおもちゃ箱のような車内。ルーフには“seize the day(=今を生きろ)”を“sea”で文字ったペイントが

スタイルが随所に溢れ出るヒストリカルな愛車

#04 FALCON WAGON

  • OWNER_ALEXANDRA
  • COUNTRY_HAWAII
  • TYPE_FALCON STATION WAGON
  • YEAR_1965

ハワイ・ノースショアでガーデニングの講師をしているアレックスが乗るのは1965年のフォード、ファルコン・ステーションワゴン。ひとたび街に繰り出せば、たちまちオーディエンスが集まり写真撮影が始まってしまう程マニアックなクラシックカーだ。オアフ島を離れることになった友人にしつこいくらいに頼みこんだ結果、譲ってもらうことができたという。アレックスは古いクルマに乗るときの条件として、動くこと、ブレーキが利くこと、安くフィックスできるもの、と決めている。

「使い勝手が悪い、そう考えてしまえば早いけど、このクルマには移動手段以上の価値がある。私たちのライフスタイルそのものなの」

そんなレトロなクルマを出来るだけ長持ちさせるコツを彼女に聞くと、お気に入りの専属修理屋さんがいる、と答えてくれた。

「ハンディマンのフィルは、私たちの愛車に何かあったときにいつでも駆けつけてくれるの。長いヒゲがチャームポイントで、いつもバイクに大きなツールボックスを1つだけ乗せてノースショア周辺を駆け回っている。前のクルマのときからずっと彼に見てもらってるんだけど、修理しにくると何かしらの道具を忘れていってしまうおドジさんなの(笑)」。

クルマを通して人と人との繋がりが生まれていることを、フィルのことを楽しげに話す彼女から感じることができた。「私がこのクルマに乗っていて幸せを感じるのは、ボードをめいっぱい積んでハイウェイを走っているとき。窓を開けて風を感じながら、家族やボーイフレンドと楽しい話をしていると充実感でいっぱいになる」と語る彼女。

今後はルーフトップを2トーンのホワイトに塗装して、もっとオリジナリティを出す予定だとか。アレックス自身も、念願の愛車がこれから彼女の海や緑のある生活にますます馴染み、溶け込んでいく姿を見るのが楽しみで仕方がないという様子だった。

幅広の四角くどっしりとしたフォルムが、クラシックカーらしさを感じさせる
運転席の装備のひとつひとつがレトロで渋さ抜群
’70年代にハワイ、カリフォルニア、日本で爆発的なブームとなったサーフボードキャリア、通称“アロハキャリア”がルーフに。今では貴重なオリジナル版が装着されている。さりげないステッカー使いも上手
「休日に車内にもキャリアにもボードをパンパンに積み込んで家族とサーフィンに出かけるのが好き」とアレックス。ロングボードも車内にすっぽり収まってしまうサイズ

サーファーズ・ビークルの上手な使い方

THE TYPE/どんな車が適している?

海に行くことを前提にクルマを選ぶなら、使い勝手がいいのはマストの条件。それに加えて見た目が好みだったり、スタイルがあったり……。古いほうがいいというのは少し偏った考えかもしれないけれど、やっぱり年期の入ったクラシックなデザインが一番かっこいいかも。

スタイルのあるクルマ=時代背景やサーフカルチャーが映し出されるクルマ。’70年代のイメージが強いワーゲンビートルやバスは定番の車種で、ポップなボディは女の子が乗っているととってもチャーミング。ウッドパネルが象徴的なジープのグランドワゴニアも、アメリカのレトロなサーフカルチャーを彷彿とさせるクールな一台。ボードはルーフトップに積んで、もろサーファーっぽいのが可愛い。

自然を相手にするサーフィンは、もちろんどこのスポットも舗装された道があるわけではない。四駆なら砂地だけでなく、砂利や水たまり、獣道を通らなければならないコアなスポットでもなんのその! 大きいクルマが苦手な人は、コンパクトな軽自動車のジムニーがオススメ。

快適なサーフィンライフを送るためにはサイズも重要。ボードやギアなどがすべて荷台に積めるエルカミーノや、ロングボードが中積みできる広さとクラシックなフェイスがクールなシボレーのシェベルワゴン。アウトドア好きなサーフガールだったら、キャンピングカーもアリ。

HOW TO PUT SURFBOARS/サーフボードはどう積む?

サーフガールならボードはスマートに積みたい。一番のポイントはボードに傷をつけないこと、そして運転の邪魔にならないこと。

【IN A CAR】天井に市販のキャリアを付けて積む派と、縦に突っ込む派に分かれる。ケースに入れておくとワックスが座席に付かず、ボードの保護にも。間にタオルを挟むのも手
【ROOFTOP】キャリアにベルトで取り付ける外積みは、テール側を前にしてボトムを上にすると風の抵抗を受けにくい。複数枚積むときはフィンを外して、間にタオルを挟もう

※HONEY Vol.12より抜粋

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