島尻裕子プロに聞いた、女性におすすめの“エレガント”なサーフボード5選

初めてボードを手にする人や次のボードを探している人へ。持っているだけで素敵、乗ってなおエレガントなボードはどんなスタイルか、女性サーフシーンを牽引するプロロングボーダーの島尻裕子プロに聞いた。気分の上がる美しいボードで海に向かおう!


サーフィンの質を高める3つの要素

1. 全身の力を抜いて、波と一体になる
2. 理想のサーファー像を想い描く
3. イメージの湧くボード選びをする

「エレガントなサーフスタイル」って何だろう? 答えは余裕と自信。地球のリズムと海の息づかいを感じながら、波と調和するサーフィン。全身の力を抜き、リラックスして波に乗る姿こそかっこ良く、美しく見える。そしてボトムに降りるスピードを利用してカットバックしたり、波の動きに合わせてローラーコースターしたり……。

サーフィンをしている人、もしくはこれから始めたいと思っている人も、こころに響く映像や写真を目にしたことがあると思う。それはきっとあなたが“こうなりたい”と憧れるサーファーやスタイルに違いない。そこを目指すにはどうすればいいのか? じっくり考えていくと、必然と見えてくるものがある。もちろん願ってすぐに叶うわけじゃないし、サーフィンはある程度やり込まなければ上達しない。でも意識し続けることで、どんどん身体に染み込んでいくはず。

では、ボードはどんなタイプを選べばいいのか? 究極を言えば、見た目が可愛くて、シェイプ(デザイン)が美しくて、愛着の湧くボードならなんでもいい。いくらテイクオフが早くても、持ち運びが楽でも、なんとなくしっくりこないボードだったら、自分が目指すサーフィンをイメージしにくい。サーフボードとライディングはトータルコーディネイトみたいなもの。見た目でピンと来て、これに乗ってみたい! そう感じるボードに出合ったら思い切って手に入れてしまおう。乗りこなせるようになったときの喜びとエレガントなスタイルは、努力をすれば後から必ずついてくるから。


CLASSIC LOG


サーフボード CLASSIC NOSERIDER 9’5″/Hawaiian Pro Designs(私物)、ハット¥24.000/Greenpacha、かごバックに入ったスイムウエア¥23.000/ソリッド アンド ストライプド(ともにピルグリム サーフ+サプライ)

何もせず、波に身体を委ねる。乗りやすくて奥深いログの世界

初期のクラシックなロングボードを指す「ログ」は、ずっしり重いボディと大きなシングルフィンが特徴。9フィート以上あり、レール(側面)が太く、ノーエッジ(角張っていない)。重くて動かすことが困難なため波の動きに任せるしかなく、自然との一体感を感じやすい。技を決めるためではなく、波との調和を楽しむために作られたボード。安定感があるので、ビギナーでもすぐに乗れるのが嬉しい。必死にならなくても波に乗れる分、おしゃれに、エレガントに見えるのだ。でも実はとっても奥深く、歴史あるログの世界に魅了される人は多い。ショートボーダーもぜひログに乗ってみてほしい。クイックなコントロールができず、“乗らされている感”とグライドする気持ち良さにやみつきになるはず。


VINTAGE BOARD


右_サーフボード 7’4″/Liddle、左_サーフボード 6’4″/Yater(ともに私物)

先人の技術とスイルを受け継ぐ、ヴィンテージボードのロマン

クルマ、洋服、家具にヴィンテージがあってマニアがいるように、サーフィンの世界にもヴィンテージボードが存在する。歴史を乗り継いでいくというカルチャーのロマンがそこにある。’60年代、’70年代のボードは、現代のボードに乗り慣れたサーファーにとってみれば決して乗りやすいとは言えないものばかり。でもその乗りづらさをあえて楽しむのがヴィンテージのおもしろさ。新しい発見があったり、クラシックなライディングスタイルも表現できるかもしれない。また、古いのものを使い続けるのが何よりエコだということもお忘れなく。少々マニアックではあるけれど、陽に焼けて少し黄ばんだヴィンテージボードを抱えながら海に向かう女の子がいたら、おおっ、と振り返られること間違いなし。


FISH


サーフボード FISH 5’8″ ¥185.000/Michael Miller(ボンズ カーサ デ ヴェラーノ)、エスパドリーユ¥9.000/LA MANUAL ALPARGA(ピルグリム サーフ+サプライ)

お魚のような可愛いフォルム。長年愛されるクラシックボードのひとつ

ポテッとした見た目が愛くるしく、抱えているだけで絵になるフィッシュ。洗練されたコンパクトなシェイプが美しい。その名の通り魚のようなフォルムをしているのだが、テール(お尻の部分)がヒレのようにカットされているのは回転性を良くするため。’60年代にサンディエゴで生み出されたフィッシュボードは様々な形に進化を遂げているが、もっともベーシックで黄金比とされているのは写真のような5フィート台後半のもの。力を抜いて乗れるから、短いボードでもサーフィンが優雅に見える。ビギナー向きではないけれど、いつの日か乗れるように目指してみたい。歴史が深くてアカデミックなフィッシュをより詳しく知るには、映画『Fish:Surfboard design documentary』がオススメ。


MID LENGTH


サーフボード SWISH 7’10” ¥199.000/Michael Miller(ボンズ カーサ デ ヴェラーノ)

あらゆる波に適応しトリップでも大活躍。1本は持っていたい万能の中間ボード

一番オールマイティで、持っていると便利なのがこのミッドレングスかもしれない。長さはロングとショートの中間、7~8フィート台。よく“ファンボード”と呼ばれるのは、まさに手軽に楽しめる“ファン”なボードだから。テイクオフも滑走も楽で、波に合わせやすく、無理な力が掛からないからライディングも上品に見える。以前はビギナー向けのボードと揶揄されていたが、今は玄人サーファーの間で空前のミッドレングスブームが起こっている。フィンが1本でも4本でもミッドレングスだし、ボードの形状も様々。自由度が高いから永遠に選べるのが魅力。中間の長さのミッドレングスからサーフィンをスタートしたら、その後ロングにもショートにも転向しやすく、スタイル問わず長く愛用できる。


ECO / NATURAL


サーフボード FISH KRC Japan series5’7″ ¥130.000/Lasca WoodWorks(ラスカ ウッドワークス) ※桐とコルクを表面に使用

ボードもエコフレンドリーなものを。選択が変えていく、サーフィン未来

サステイナブルに生きるサーファーには、エコフレンドリーなボードも提案したい。事実を言うと、多くのボードに使われている素材や、作る工程は決して環境に良いとは言えない。要らなくなったボードは産業廃棄物となり、100%リサイクルはほぼ不可能。究極、土に還るウッドボードが一番エコなのだが、ものすごく重く、作ることも難しいため普段使いとして現実的ではない。そんな中、まだまだ数は少ないけれど、環境に配慮した素材やリサイクル素材、桐などの自然由来の素材を使用し、人や環境に優しい工程を推進するボードメーカーも存在する。さらに使い終わったボードのリフォームを請け負うシェイパーも。自分に合ったエコボードを探すのも、エレガントな選択のひとつと言える。

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