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新・マインドフルネス|思考の問題は「身体感覚」からアプローチできる

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2020年はどんな年でしたか。予期せぬ事態にぐらついた人もいるのでは。まもなくはじまる新しい時代に向けて、ここからは自分自身と向き合い、マインドをリセットする時間。無理やりポジティブにならなくてもいいし、作り笑顔をする必要もない。ただ、あなたがあなたらしく、前を向いて進めたらいい。

自己肯定感、高めないとダメですか?
Stop and think


今話題の「自己肯定感」という言葉。世間では“自分の存在そのものを認める感情”、そしてその感情は高いと良いものと認識されている。だけど、自分の受け入れがたい部分を無理やり認めようと辛い思いをしている人も多いのでは?それって本当に役に立つの? はっきりとした形がないからこそ、わかりづらい概念。では、プロの視点からアプローチし、シンプルな理解の下、自己肯定感を高められるとしたら?自身が体感したメンタルケアの大切さを発信しているダイエット美容家の本島彩帆里さんと、本島さんが10年以上お世話になっているという公認心理師でもあるプロカウンセラーの池内先生にお話しを伺った。

HONEY:私もカウンセリングを体験させていただきましたが、カウンセリングはイメージしていたものと違いました。話しながら泣いたり、怒ったりして感情を発散するものだと思っていましたが、先生は私が涙を流したら「胸とお腹に手を置いてください」とおっしゃっていましたよね。しばらく無言で窓の外の景色を眺めたり、ぬいぐるみを触ったりして、“身体が今どんな感覚か?”に意識を向けました。

池内先生:五感を使ってもらったんです。自己肯定感、そして自己効力感を育んでいくには、自分の存在を感じられるようになることが必要なんです。自分の存在を感じるとは、「物理的な身体が外の環境とは区別されて存在する」という感覚。この感覚は、自分の身体に意識を向けて、自分の身体感覚を感じられるようになることで、より実感することができるようになっていきます。

本島さん:カウンセリングの最初の頃は、この感覚に意識を向ける時間が苦痛でした。でもそれは、身体の微妙な変化や心の声に鈍感になっていて、自分自身のことを感じることをおさえていたからかもしれません。今では身体のどの箇所がどんな風に反応しているか、気がつけて、じわじわと感じられるようになりました。
–{人の主観的な「感情」の気づき}–
池内先生:様々な研究から、人の主観的な「感情」の気づき(自己意識)は、外受容感覚(五感)※1からの情報と、内受容感覚(自律神経の反応を含めた身体内部(内臓)の状態の知覚)※3に由来する情報が統合される過程が深くかかわっていると考えられています。

HONEY:感情って、喜怒哀楽のことですか?

池内先生:感情は大きくわけると「Emotion(情動)」と、「Feeling(感じ・気持ち)」の二つに分けられます。Emotionは環境や人間関係などでストレスを感じると、心拍数の上昇や体温の上昇や下降など、意識的に制御できない自律神経系による身体内部の生理状態の変化に伴って生じる感情です。喜怒哀楽はEmotionの方になりますね。一方、Feelingは、生理反応が生じた原因を主観的に推定する意識的体験です。このFeelingが、自己肯定感や、自己効力感を育むのです。

本島さん:以前はどうせ自分には無理だと頭ばかりで考えていました。感じたくないEmotionを感じてしまいそうなことは、自分にできない言い訳を並べて、保険をかけてチャレンジしようとしなかったんです。それが、Feelingで感じる練習をしたことで、ワクワクやモチベーションが自然と湧いてくるようになったし、そのモチベーションが上がっても下がっても、自然と受け入れられるようになりました。情動(Emotion)を感じても衝動的にならず、ワンテンポ置いて身体反応とセットで反応するようになりました。

池内先生:自己肯定感や自己効力感は、社会的関係や人間関係の中で自分ができることや、無条件に肯定される体験を積み重ねていくことで育まれるものです。そこでは喜びや楽しさなどEmotionを、主観的にも良いFeelingとして感じられる体験をすることで育まれていきます。また、喜びや楽しさを他者に否定されると、良い Feelingを感じられないので、一緒に喜んでくれる人、受け入れてくれる人と分かち合うことが大切になります。また、怒りや怖れなどを感じても、人の協力を得ることも含めて主体的に対処して、安心感を感じる体験を積み重ねていくことでも育まれていきますよ。
–{感情を出さず淡々としていることは理想ではない}–
HONEY:どんな出来事に遭遇しても、怒ったり、悲しんだりせず、我慢して淡々としていることが理想的な状態だと思っていました。

池内先生:多くの人がそう思っていますが、それは誤解です。子供が転んだときに、大人が「いたいの、いたいの、飛んでいけ〜」って言いますよね?あれはちゃんと痛いことを感じていることに共感し、ケアできる言葉。「痛くないでしょ!」だと「痛い」というFeelingが感じられません。大切なのは思考だけで肯定することや対処するのではなく、身体感覚を伴う実感のある体験を積み重ねていくことが大切なのです。生活の中で、五感を意識的に使い、内臓感覚にも意識を向けて、心地よい身体感覚を見つけて、意識的に良いFeelingを感じる経験を一つ一つ無理のない範囲で積み重ねていくことが役立ちます。経験的に言えることは、現在のような目まぐるしいストレス社会では、慢性的ストレスを感じている人が多く、身体感覚に気づけなくなっている人が増えているように思います。なかでも内臓感覚は、生活の中で意識的に注意を向ける人は意外と少ないので、意識を向けていく練習をすることで感じられるようになってくると、様々な内的気づきをもたらし、心理的ストレスを低減していく助けにもなります。

自分の気持ちや体調の波を感じて今できることに取り組む
HONEY:思考の問題を、ポジティブな思考をもって解決しようとするから、何度も同じところでつまずいていたのかもしれません。でも心を変えることってなかなか難しいから、身体感覚からアプローチできるなら安心しました。

本島さん:そう考えると、美容やセルフケアってまさに身体からアプローチして心を整えることにも繋がりますよね。身体を整えることは、心を整えることですね。

HONEY:本島さんは数々の雑誌やSNSでセルフケアの情報を発信されていますが、特に意識して伝えていることはなんですか?

本島さん:方法も大切ですが、それ以前に、毎日違う自分の今に合わせてできることを確認しながらやっていくということ。今日は1万歩を目標に歩こうと思っていたけど、疲れていたから4000歩しか歩けなかった。でも「できていない」じゃなくて、4000歩を歩けた、ここまでできたという事実に目を向ける。1万歩を歩いていないからって、今日の4000歩をリセットしない。私は先生に自己効力感を教わりに行っていたわけではなかったのですが、小さなできることを積み重ねたことで、プロセスの大切さを感じられるようになりました。今日4000歩歩けたことが、1万歩歩くことへのプロセスになります。いきなり高くジャンプしようとするんじゃなく、今のモチベーションでできることをシンプルに取り組み、それを確認する。自分の状況も波があって、できることも日々変わってきます。波が沈んでいるときはその沈みを感じていればいい。コーヒーを飲んで一息つけたら、その沈みへのケアができたなと思う。そんな小さなことでも、できた、ということを確認していくと、できることがどんどん積み重なって、増えていきます。

池内先生:よく自分を褒めると自己肯定感があがると聞きますが、褒めることももちろん大事ですが、結果だけ褒められると、その瞬間で完結してしまいますよね。本島さんが行っているように、できたことを確認して、できることが増えていることを認識するプロセスがとても大切です。自己肯定感も、自己効力感も、自分自身の目標達成の度に、そして自分自身と他人のために責任をもって何かを成し遂げていく中で育まれるものです。高めることがゴールではなく、自分自身が大切にしたいこと、チャレンジしたいこと、その時のベストで積み重ねて、生活の質が豊かになっていくことが大切だと思います。


–{2つの自尊心と3種類の身体感覚}–
2つの自尊心


社会的自尊感情:Doing
基本的自尊感情:Being

3種類の身体感覚


1~3の感覚が身体内部で統合されて、物事へ適応していく能力や知性を創発・発達させていくと理解されており、こうした考え方を身体性と言う。

1.外受容感覚
環境からの情報を、目・耳・皮膚・鼻・舌といった感覚器で知覚する感覚、五外受容感覚感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)のこと

2.自己受容感覚
身体を動かすことで感じる、筋・骨格、関節から生じる運動感覚。前庭器自己受容感覚官により生じる平衡感覚。身体と環境の相互作用によって知覚される

3.内受容感覚
お腹いっぱい、胃が痛い、トイレに行きたいという感覚など、自律神経内受容感覚の反応を含めた身体内部(内臓)の状態の知覚。こうした感覚は、内臓から自律神経を通して脳に信号が伝わるので、内臓感覚とも言う

Saori Motojima
本島彩帆里
ダイエット美容家
産後マイナス20kgのダイエットに成功した経験を活かし、美容家に転身。数々の雑誌やIG、YouTube、イベントでは身体と心の波に寄り添う美容法を発信し、これまで発売した著書は累計38万部を超え、『やせる #ほめぐせやせるがんばれない私を180度変える』(ワニブックス刊行)では自身が体験した自己効力感をあげながら痩せるヒントを綴っている。また、ビューティブランド「eume(イウミー)」では、使う人自身が自分のできたことを増やすような体験ができるような高機能のセルフケアアイテムをプロデュース。
https://saorimotojima.com/

Hideyuki Ikeuchi
池内 秀行
プロカウンセラー
Heart and Holistic Consulting代表取締役
01年からカウンセラーとして仕事を始め、現在は東京・恵比寿を拠点に個人の癒しと人間的成長、様々な人間関係の悩みや問題の解決と癒し、各種トラウマの癒しと回復のためのカウンセリングを提供している。経営者・管理職向けのリーダーとしての癒しと成長、組織のマネジメントや人間関係の課題・問題の解決とリスク管理等のコンサルテーションを行うエグゼクティブセッションも提供している。取得資格:公認心理師・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
https://www.ikeuchihideyuki.com/