
南の島のサーフシスター〈IKIT AGUDO〉
いまフィリピンでは、昔から世界的に有名な(でもハードコアな印象だった)2つのサーフエリア、ラ・ウニオンとシアルガオ島が再解釈、注目されはじめている。現地にはサーファーガールが増え、コミュニティが生まれている。カルチャーがあるなら、そこにはセットとなるライフストーリーがある。環境活動も、サーフィンも、ビジネスも、子育ても。パワフルにこなす女性たちにインタビュー。
第1回は、プロサーファーであり地元でカフェも経営するイキット・アグドをピックアップ。
島の生活はパラダイス。何もないけど、すべてある
シアルガオではアジアの島としてはやや珍しく、ローカルのガールズ サーファーを多く見かける(例えば サーフィン大国バリでもバリニーズの女性サーファーはあまり目にしない)。みんなキレイに日やけし、健康的な身体とハッピーオーラをまとっているから、見ているこちらも元気になる。そんな中でも一際目立つ女性ロングボーダーがいた。彼女の名前はイキット・アグド。
流れるようなクラッシックなライディングに、時たまアグレッシブな技を決めたと思ったら、波と戯れるやんちゃな姿。一度波をキャッチするとビーチにいるオーディエンスが釘付けになる。「13歳の時に初めてトライしたサーフィンに、完全に恋に落ちたの。海にいる感覚 、波に乗った時の嬉しさ、波待ち中の島を覆い尽くすパームツリーの光景……言い表せないくらい強烈に響いたわ」
イキットはフィリピンナンバーのプロサーファー。地元でカフェを経営しながら、サーフスクールで教え、空いた時間に海に入るのが日課。「私の人生はサーフィンに出会って大きく変わった。90歳のおばあちゃんになってもずっと波に乗ってたい! サーフィンの自由な感覚と幸福感をずっと味わいたいの」。休日には姉妹や親友と一緒にスクーターで波探しに出かけたり、船で周辺の島にトリップへ。シンプルだけどすべて揃っているアイラインドライフだ。
一方で、友人が運営するNGOの非営利団体「シャルガオ・マサヤ(@siargaomasaya)」にも参加し、貧困家庭の子供が学校に行けるようサポートしたり、緊急時の医療費をケアしている。シアルガオではこうした 活動に積極的に取り組む女性も多い。それが、この島をさらに美しく見せる理由なのかもしれない。
掲載:HONEY Vol.28
※内容は掲載当時のものです