島の美しさを保つため、エコの輪が広がってゆく | ISLAND SISTERHOOD the Philippines #05

南の島のサーフシスター〈MARJA ABAD〉

いまフィリピンでは、昔から世界的に有名な(でもハードコアな印象だった)2つのサーフエリア、ラ・ウニオンとシアルガオ島が再解釈、注目されはじめている。現地にはサーファーガールが増え、コミュニティが生まれている。カルチャーがあるなら、そこにはセットとなるライフストーリーがある。環境活動も、サーフィンも、ビジネスも、子育ても。パワフルにこなす女性たちにインタビュー。

第5回は、非営利の環境団体をスタートしたマルジャ・アバッドをピックアップ。


小さな努力の積み重ねで、島にエコ条例を導入

マルジャ・アバッドは初め、バックパッカーとしてシアルガオを訪れた。ここの波、人、自然に魅了されそのまま住みついた彼女が非営利の環境団体「シー・ムーブメント」をスタートしたのは2015年のこと。理由はすごくシンプルだった。「当時島にはゴミがそこら中にあってとても放っておけない状態だったから、ビーチクリーンから始めてみたの。でも数年間活動を続けてもまだ、次の日には海にプラスチックゴミが浮いている現実を目の当たりにした。それはそうよね、フィリピンはプラスチック大国だから。もっと根本から解決しなきゃと思ったわ」 

現在シアルガオにはプラスチックに関する条例ができて、島のお店では基本的に使い捨てプラスチックやプラスチックストローの使用を廃止している。実はそれもマルジャが市長に直談判し、時間をかけて実現したこと。ローカルたちに浸透するよう地道に働きかけたのも彼女だった。

「私はサーファーだから、自然とつながっている感覚がすごくある。自然が私に語りかけているように感じることも。だから何かしなきゃ、守らなきゃって突き動かされるの。けど時々大きな責任に押し潰されそうになったり、理解してもらえない時には落ち込んだり悲しくなったりもする。始めるんじゃなかったとさえ思う時も。でも、これをやめてしまったら誰がやるの?って自分を奮い立たせるの」。努力は着実に実っている。今彼女が教育している子供たちの中から次のリーダーが生まれるのもそう遠い未来ではないはずだ。

SEA MOVEMENT
2015年に創立。Siargao Environmental Awa reness Movementの略で、ビーチクリーン、リフィルステーション設置の支援や地元キッズへの教育など環境問題に取り組む。公式サイト


掲載:HONEY Vol.28
※内容は掲載当時のものです

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