カリフォルニアでナチュラルなライフスタイルを送るMillie Nene_Vol.2

人との繋がりや出会いを大切にしながら、食やアートを通じて環境問題や居心地のいいライフスタイルをみんなとシェアしたいと始めた、Kimama Cafe。始めたきっかけや胸の内を聞いてみた。


アメリカでは大小に関わらず、至るところでファーマーズマーケットが開催されている。Kimama Cafeを始めたネネは妹のルルと一緒に、人気のファーマーズマーケットに週に2、3回出店。プラントベース中心のお弁当を販売している。

「海外の人に、“kimama(キママ)”っていう言葉の意味を伝えるのは難しいんだよね。だってそんな単語は英語にないから。でも使い続けてたら最近浸透してきたみたいで、みんなが“kimama〜”って言ってくれるようになったの。なんだかそれが嬉しくって」

カリフォルニアに戻り、前からカフェをやりたいと思っていたがなかなか行動に移せなかったとき、突然パンデミックが襲った。ちょうど妹のルルとロングビーチに住んでいる時で、街はロックダウン状態。家から出れなくなったふたりは、毎日料理ばかりしていたそうだ。

自分自身を見直し、これからのことを考えていたある日 「やりたいならやってみようと」とルルが背中を押してくれた。それから自宅でお弁当のピックデリバリーを始め、これがkimama Cafeの小さな一歩となった。

「友達や口コミだけで始めたんだけど意外と好評で。時間がたっぷりあったから、しっかりメニューを考えられたのがよかったのかも。あと国からも補助金が支給されたから、焦ることなく、クリエイティブな時間をもてたことが大きかったと思う」

ファーマーズマーケットはロックダウン中でもスーパーと同様に生活に必要な場所と認定され、閉鎖されることがなかった。ここでなら店舗を持たなくてもお店が持てると思い始めたポップアップが、次へのステップに繋がった。

ジャパニーズテイストのオーガニック・ベジを中心とした、地球にも体にも優しいお弁当はいつの間にか人気を博し、リピーターも増加。現在ネネはベイビーがいるためあまりお店に立てないが、ルルとスタッフがしっかりとお店を守っている。

「Kimama Cafeが軌道に乗ってきたとき、本当はLAにお店を出そうとしていたの。契約のサインまでいったんだけど、なぜか最後に話がまとまらず結局ダメになって。その時はお店を持ちたくてたまらなかったけど、いま考えると契約しなくてよかったと思っている。じゃなきゃ、きっと週6とかでお店に行って、忙しくしていたと思う。私はそんな感じで働きたくないし、もしかしたらあと1、2年はLAに住まなきゃいけなかったから。想像するだけでも恐ろしいわ 笑。
いま住んでいる場所、環境じゃなきゃこのマインドになっていなかったし、神様が絶対それじゃないよって教えてくれたんだと思う」

2人の理想とするライフスタイルには、現在の週2、3回のファーマーズマーケット出店がベストで、ほかの出店者と商品のトレードをするのが楽しいと語る。

「食材はすべて自分で作ったものを使いたいけれど、それを実現するには限界があるしコストもかかるから、今はできるだけ地元産やファーマーズのものを使用するようにしている。食のビジネスは理想と現実に大きなギャップがあるんだよね。ビジネス的にはもっと広げられる自信があるけれど、それをやったら自分の理想とどんどんかけ離れていく気がするから。私がやりたいのはお金儲じゃないからね」

また、アメリカには日本の野菜の種類が少ないから、ゆくゆくはジャパニーズ・ファームをやりたいと言うネネ。ちょうど引っ越した隣町が、アメリカでも有数な良質な土壌とのこと。ネネが思い描く理想のお弁当が食べられる日は、そうと遠くはなさそうだ。

SHARE