新生活がスタートする不安定な今こそ、自分の軸を育むメンタルケアを |guest ダイエット美容家・本島彩帆里さん、プロカウンセラー池内秀行先生

新しい季節のはじまり。新たな環境でこれまでと違う生活がはじまった方も多いのではないでしょうか。また、環境が変わらずとも”気持ちを新たに頑張ろう!”と意気込んでいる方もいるのでは。なにかと変化が多く、気が張っている新シーズンには、期待とともに不安もつきもの。不安定になりがちな新生活シーズンですが、視点を変えると、ぶれない自分軸を育んでいく絶好の機会です!

4月は「マインドフルネス」をテーマに、自分軸も一緒に育んでいく今すぐできるメンタルケアを特集していきます。まずは最近注目されているキーワード、「自己肯定感」について。HONEYvol31でも紹介しましたが、改めてご紹介していきます!


自己肯定感、高めないとダメですか?
立ち止まって考えてみよう

自己肯定感。世間では“自分の存在そのものを認める感情”、そしてその感情は高いと良いものと認識されている。だけど、自分の受け入れがたい部分を無理やり認めようと辛い思いをしている人も多いのでは?それって本当に役に立つの? はっきりとした形がないからこそ、わかりづらい概念。

では、プロの視点からアプローチし、シンプルな理解の下、自己肯定感を高められるとしたら?
自身が体感したメンタルケアの大切さを発信しているダイエット美容家の本島彩帆里さんと、本島さんが10年以上お世話になっているという公認心理師でもあるプロカウンセラーの池内先生をゲストに迎え、お話しをお聞きしました。


自己肯定感が低い=
他人ファーストの思考



HONEY
読者の方々に自己肯定感についてアンケートをとったんですが、約85%もの人が「自己肯定感が低い」と感じていることがわかりました!
かくいう私もそのひとりで、人と比べて落ち込むことも多いです。ただ、自己肯定感を高めるコツを読んでもピンと来なくて……。


本島さん
そういうコツって自己肯定感は高くなくてはいけないもの、ということがベースにありますよね。「(思っていないけど)自分のことを綺麗だと言いましょう」「(感じていないけど)ハッピーだと感じましょう」。そう思えないし、感じられないから困っているのに……。私は、よく違和感を覚えることがあります。それは、そもそも自己肯定感が低いことって悪いことという前提があると感じるときです。そう感じると、私の中では「不安やネガティブに感じることって、とても自然なことだし、不安に感じるから構えたり様々なことに気がつけたりするんだよ」って心の中で叫びたくなってしまいます。


池内先生
そうですね。現実的には自己肯定感は、高い、低い、だけで語れるものではないと思っています。自己肯定感は専門用語としても様々な定義があって、共通しているのは「自分を肯定的に捉える感覚」ということ。世間で浸透している自己肯定感は「自尊心」(自分の存在を認められる感覚)と同じ意味合いで使われることが多いと思います。


HONEY
自己肯定感と自尊心はほぼ同じ意味合いで使われることが多いんですね。


池内先生
自尊心は大きく「基本的自尊感情(Being)」と「社会的自尊感情(Doing)」の2つに分けられます。Beingとは、ありのままの自分の存在そのものに価値があると思える感覚。他者と比較せず、無条件で永続性のあるもの。Doingとは、社会との関係性で他者と比較して、人より優れている、と思えることで高まる感覚で、求めると際限がないです。BeingはDoingを支える土台になるもので、自己肯定感が低いと思っている人たちにとって、育む必要があるのは、Beingのほう。例えば仕事で失敗が続くとDoingが感じられなくなりますよね。そうなった時、Beingが育まれていないと自分自身の存在価値を感じるのが難しく、より自分に厳しくなり、自分だけでなく他人にも辛く当たってしまったり、自分を否定してしまいます。


※2つの自尊心
社会的自尊感情:Doing
基本的自尊感情:Being

HONEYなるほど、思い当たることがあるなぁ……

池内先生自己肯定感が低い、と言う人の多くは、 Doingにだけ注意が向いていて、自分自身の存在を他人の基準、他人ファーストで見ている人が多いのではと思います。自分の外見の見方を例に考えてみましょう。

「あの子より目が小さい」「あの子より肌が汚い」と比較して辛くなっている時、基準は「あの子」という外側の基準です。
それが目標として助けになっていればOKですが、思うようにならず自分を責めてそこから抜け出せないのでは辛いですよね。
こういう時は、自分の基準はほぼ0%で、「自分が受け入れかねている外側の他人基準をほぼ100%優先」という他人ファーストで自分自身のことをジャッジしています。
こうした他人ファーストが原因で悩んでいる人のことを世間では、自己肯定感が低いと言っているのではと思うことがよくあります。

本島さんカウンセリングに通う前の私はBeingを育む大切さを知りませんでした。育った環境が影響していると思うのですが、父がとても厳しかったことや長女として我慢しなくてはいけないこともたくさんあったので、BeingよりDoingが育つような環境でした。「〇〇を頑張らなきゃ認めてもらえない」という気持ちが強くて、人に認めてもらうことをベースに生活していました。こんな感じだから人間関係も他人ファーストで、以前は特に男女関係では彼ファーストになってしまうパターンがありました(笑)。

お互いBeingを大切にできない関係で、ありのままの存在を大切にできませんでした。カウンセリングでも最初の頃は泣いてばかりで、頭でこの関係性がだめなのはわかっているけれど、「何をどうしたらいいのかわからない〜!」って、八方塞がりの状態だったのですが、先生はできることからちょっとずつやって
いきましょう、と「プロセス」に焦点を当ててくれました。私は、小さなできることを積み重ねて、確認していくことで、自分を尊重するってこういうことか、とわかるようになっていき、少しずつ自分ファーストで人間関係を育めるようになったと思います。

池内先生自己肯定感・自尊心と同じく大切なのが、「自己効力感」です。自分の可能性を認識して、自分の力でうまくやれている、自分はここまでできる、なんとかできるなど、自信と自分の可能性を認識できることです。

本島さん今振り返ると、私はカウンセリングで自己効力感を高めてきましたよね。

池内先生毎回、プロセスの進み具合に応じて、宿題を出していたのを覚えていますか?例えば「今週はAさんに本島さんが抱えている思いを話してみましょう」とか。

本島さんそれに対して私は「そんなことできるわけない!」「言ったら嫌われる!」って感じでした(笑)。

池内先生次のカウンセリングのときに「できませんでした… …」と本島さんから報告を受けるんですが、よくよく話を聞くとできているんです。本島さんは、自分の思いが伝わっていない=できていない、と考えていましたが、ここで大切なのは相手の反応ではなく、自分は思いを伝えられたという事実、そしてここまではできた、という確認作業です。これを積み重ねていく作業が大切なんです。自己効力感が高まってくると、結果はどうあれ、とりあえずやってみよう、という意欲も湧いてきます。そして、できたことを確認していく。その積み重ねで、自己肯定感も高まっていきます。


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