
ビアリッツに住むHONEYのライターMichikoが、初のブルターニュ地方へサーフトリップ。ブルターニュと言われてもピンとこない人も多いと思うが、フランス北西部の英仏海峡と大西洋に突き出た半島に位置し、豊かな自然と、独特の文化を擁している場所。エメラルドに輝く海岸、花崗岩によるピンク色のビーチ、断崖が連なる海岸線が訪れる人々を魅了している。寒くて冷たいのにファンが多いブルターニュ。後半の今回は、現地ローカルから聞いたサーフィン事情をお届けします。
インタビューに答えてくれたのはフィニステール北部にアトリエ、Maison Rivages (メゾン・リヴァージュ)を構えるカミーユさん。メイド・イン・ブルターニュのオーガニックワックスを少量生産する、フランスのサーフ&オーガニック界注目の人物。

-はじめましてカミーユさん。今回フィニステールにお邪魔させてもらったのですが、とても広くて驚きました。時間の関係で南部しかいられなかったのですが、フィニステール全体について教えてください。今回はサン・チュジョンというポイントで入ったのですが、ロングボード、ミッドレングスに乗る女性向けのポイントで、おすすめはどこでしょうか?
フィニステールの広さを体感してもらえましたか! フィニステールの海岸線は直線に換算すると1,250kmになります。あなたのいるペイバスクは、隣のランド県オセゴーまで入れても50kmの距離で、色々なポイントが点在していますね。想像してみてください、フィニステールにはどれだけのサーフポイントがあるか! さて質問の答えですが、男性でも女性でもオススメのポイントは同じです。その中で比較的入りやすいのが、南部なら「la Torche(ラ・トーシュ)」。’80年代はウィンドサーフィンで有名だったのが今ではサーフィンで有名になり、すべてのレベルのサーファーに対応するビーチです。


トーシュはビーチと岬があり、そのトーシュ岬からAudierne (オーディエルヌ)という港町にかけての海岸沿いにもいくつかポイントがあり、分かりやすいと思います。もし波が小さ過ぎたらBaie des Trepasses (ベ・デ・トレパッセ)をチェック。他が波がないときも、ここだけブレイクしていることが多いです。


南部はそんなところ。(フィニステール)中部だとPen Hat(ペン・アット)がいい。他にGoulien(グリオン)はアクセスが簡単。ビーチには岩もなく、波も大きくならないので、アウトまで危険な思いをせずゲットできる。初心者なら迷わずそこへ!

そして北部Roscoff(ロスコフ)周辺だと「Le dossen (ル・ドーセン)」へ。ここが一番入りやすい。一般的にフィニステールは北よりも南の方に波がある。でも行ったら行ったで、それぞれ楽しめますよ!
-貴重なポイント情報をありがとうございます! ところで今回、初めてフィニステールの海に入って驚いたのですが、タイドの上げ下げの変化が大きかったです。ペイバスクもタイドで変化しますが、それ以上だと感じました。時間の経過によってピークの位置がすぐ変わるので、そこは注意しないと、と思ったのですが。

それは慣れもあるかな? ちなみに地中海サーファーの人もタイドで波が変化するのは理解しづらいみたいです。調べてみると、ペイバスクは最大5m差、東京は2mですね。ここブルターニュは8mまで上がるときがあります。もし日本からフィニステールにサーフトリップに来たら、タイドの変化に最初は戸惑うかもしれませんね。なぜブルターニュは水位の変化が大きいかというと、それはビーチが深くないからです。海の底の地形は起伏がなく、緩やかに深くなっていっています。上から見ると、ここは平らで浅いビーチ。そのためペイバスクより、タイドの変化が激しいのです。確かに入水するとき、出るとき岩に気をつけないといけないですが、それ以外はペイバスクよりやさしい波です。だから女性向けのビーチは? と聞かれましたが、「女性でも男性でもポイントは同じ」という答えになるのです。
それと、紹介したポイントはアクセスが容易なメジャーなポイントなので、常にサーファーはいるでしょう。そこでローカルに出会い、情報交換してみてください。タイドや風向き、それにあったポイントなどリアルタイムで情報が得られると思います。やはりシンプルに地元の人に聞くのが一番! それもサーフィンの一部ですね。

-どうしてもペイバスクと比べてしまうのですが、こちら(ペイバスク)はスクールが大盛況且つスポンジボードのヒットなども後押しして、海は常にたくさんの人がいます。混雑具合が違うので単純に比較できないですが、フィニステールの海の雰囲気はとてもハッピーでした。ローカリズムはあるのでしょうか? また1年でいい時期を教えてください。
ローカリズムに関しては、どちらかというと南部の方があります。北部は少ないですね。でもそれも最初に「ボンジュール」と挨拶すれば、リスクはかなり減ります。みんなよそへ行ったらビジターになるのに、地元で入っているとそれを忘れてしまいます。ペイバスクはローカリズム云々よりも、入っている人の数が違う(笑)。みんな、ウィンドーショッピングのような気軽さで海に入っているでしょ。

ブルターニュでサーフィンするなら季節は夏の終わりと秋がいいです。真夏はあまり波がなく、終わり頃から徐々にうねりが入ってきます。ベストシーズンは8月終わりから11月まで。気温も水温もそこまで低くないです。でも年間通してサーフィンできますよ。風の向きによって動く、オフショア探しの旅。
-色々と教えてくださり、ありがとうございました。ブルターニュは土地が広いのもそうですが、色々と探検しがいがありそうですね。でも、時間がかかりそう(苦笑)。天気は曇りが多かったですが、それでも海沿いの景色は美しかったです。ここまでコンクリートや建物など人工物が少ないのは、珍しいのではないでしょうか。また、水は温かくはないですが、人はあたたかいですね。
ありがとうございます。もしフィニステールに来たら、ローカルに話しかけてみてください。ロスコフ周辺なら、ぜひわたしのアトリエに寄ってください。情報交換しましょう! 日本にはまだ行ったことがないですが、日本の様式美を参考に物づくりをしています。安全に長く使える物に敬意を払っています。近いうちに日本の方と一緒にサーフィンできるのを楽しみにしています。

「La Maison Rivages」
公式サイト/Instagram

広大でシークレットのようなポイントがいまだに存在するブルターニュ。“水着でサーフィン!”の解放感とは対極にあるが、その高いハードルによりサーファー同士が認め合い、交流し、分かち合う文化を形成している。自然のパワーは強く、美しい。ブルターニュは簡単ではないが、魅力に溢れている。
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