
ROXYより発売された新しいスイムウエアライン「Coral Collection(コーラルコレクション)」。こちらは、田中律子さん率いるNPO法人「アクアプラネット」とタッグを組んだコレクション。水着を購入することでサンゴの保護・再生活動に参加することができるのだ。詳しいお話を今回の仕掛け人、ROXYブランドディレクター見目真美さんと、アクアプラネット理事、田中律子さんに伺ってきました。
HONEY 今回のラインナップは落ち着いた色味のものが多いですね。コットンっぽい素材感や細かい刺繍がかわいい! その他こだわった点があれば教えてください。
見目さん まず第一にこのコレクションは企画の段階から、サステイナブルの素材であることにこだわりました。水着って普通のお洋服と以上に、フィット感などが大事になってくるので、リサイクル素材を使いながらも着心地や機能性を落とさないようこだわっています。水着はどうしてもシーズンもので、水辺でしか着られるチャンスがないのがもったいない。そこで今回は、普段のコーディネイトにも取り入れやすい素材感や色合いでデザインしました。ワンピースタイプの1型以外は、上下はバラバラに購入可能で、好きな組み合わせでコーディネイトしてもらえるようにしました。あとは日焼けして敏感になった肌にも優しいオーガニックコットンのシャツもコレクションに加えました。

HONEY 今回のコラボレーションのきっかけはありますか?
見目さん 律子さんが主催しているアクアプラネットの考え方に共感したっていうのが大きくって。サステイナビリティって、個人じゃできない取り組みもあると思うんです。サンゴの再生運動なんてまさにそれで。ROXYのブランドコンセプトとして「MAKE WAVES MOVE MOUNTAINS」という言葉があるんですが、これって「小さなアクションから、山をも動かす大きな動きにしよう!」という意味なんです。アクアプラネットの活動を拝見していたら、まさに考え方が同じと感じて。
律子さん うん、そうですね。こういったところで共感があり、今回一緒に取り組むことになりました。

HONEY 具体的にどのようにサンゴの保護に活用されるのでしょうか。
律子さん アクアプラネットは石垣島の海の中にサンゴの畑を作っているんです。サンゴの苗を作って、それを山に植えるみたいに、海に植え付けています。ただ植えて終わりではなく、その成長過程をずっと観測してもらえるようにしています。最初に植えた親指くらいのサイズのサンゴの赤ちゃんが、半年たつとこぶしくらいになって、1年経つと手のひらくらいに成長していくんです。今後はROXYのサンゴ畑を作っていく予定です。今後どれだけ水着が売れるかによって畑の大きさも変わっていきますので、みなさんの協力もよろしくお願いします(笑)。
HONEY “サンゴを一緒に育てられる”コレクションなんですね! ちなみにアクアプラネットを立ち上げたきっかけを教えていただけますか?
律子さん 14歳のときに初めてダイビングを経験したんですが、そのときの海がめちゃくちゃ綺麗だったんですよ。そこからずっとダイビングをしてきたんですが、どんどんサンゴが死んでいく様子を見てきました。陸上の変化よりも海の中の変化の方が顕著なんですよね、そして1998年のエルニーニョ現象で沖縄のサンゴの90%が死滅したんです。そのときに「これちょっとまずいよね」ってダイビング仲間とも話していて。とはいえ氷を入れて冷やすわけにもいかないし……。何をしたらいいかそのときは分からなかったんですが、沖縄でサンゴの移植をして保全活動をしている方にお会いして。その方と出会ってお話しを聞いたときに、「絶対にこの活動を応援する!」って決意したんです。16年前になりますが、気づいたらアクアプラネットを立ち上げてました。
HONEY サンゴを育てるのはなかなか大変なのでは?
律子さん やっぱり時間がかかりますよね。1回壊しちゃうと元通りにするのは本当に大変。10年かかってある程度の大きさのテーブルサンゴができるけど、壊れるのはあっという間。サンゴは生命のゆりかごと言われていて、海洋生物をはじめとした生物のベースとなる存在なんです。でも、2030年には世界中のサンゴ礁が死滅するというデータが出ているんですよね。あとたった7〜8年です。だからそうならないためにも今アクションを起こさないと!

HONEY 見目さんも実際にサンゴの苗を買われたんですよね。
見目さん そうなんです! もうね、これ、感激なんですよ。買ったあとにメールでサンゴの写真をいただけるんです。見てください! 自分のサンゴにネームプレートやメッセージもつけてくれる。自分の目で見れない分、写真で送ってもらえるとやっぱりうれしいですね。もしかしたら、自分が買ったこのサンゴがどんどん増えて、何年後かにはもっと大きくなっていくかもしれない。ただお金を払って終わりじゃなくて、植えたことによって海の未来を想像したり、気候の心配をするようになったりと、見方が変わるんですよ。そういうふうに自然と考えたり、話す機会ができるのって素晴らしいですよね。そしてそのための労力を考えたら、これってすごいことだなって思います。

律子さん ありがとうございます! やっぱり植えたサンゴはそのままじゃなくって、メンテナンスもずっと続けていかないといけないので大変です。定期的に結果を報告している分、責任を持ってきちんとやっていかないと。あとはまだまだ知らない人が多いけれど、知ってもらったら行動に移してくれる人も多いはず。それをROXYのようなブランドを通して知る人が増えたら、もっともっと継続できるようになる。そうなってくれるとうれしいなって思います。
HONEY 本当ですね。HONEYも頑張ります! ちなみにROXYさんのサステイナブルな取り組みについてもお伺いできますか。
見目さん まず商品を生産する工場は、第三者機関を使って、人権的、倫理的に労働環境が一定の基準をクリアした工場だけを使っています。商品だけでなく、梱包やハンガー、備品に至るまで、可能な限りリサイクル素材を使えるよう進めています。そして企業での取り組みとしては、外部の講師によるサステイナビリティのワークショップを定期的に行ったり、全世界同時にクリーンアップを実施したりと、モノとコト両面での取り組みを進めています。企業だからこそできることがまだまだあるので、これからもしっかり取り組んでいけたらと思っています。

HONEY おふたりの海との付き合い方を教えてください。
見目さん 基本的に海はずっと遊ぶ場所でした。大学時代はダイビング、今はサーフィンをしています。子供ができてからは子供と貝殻を拾ったりビーチクリーンをしたり。私に取っては週末に自分をリリースできる場所。子供にも、“遊ぶ場所”というところから、海や自然のために何ができるのか、自然に考えてもらえるようになったらいいですね。
律子さん ダイビングのほかにサーフィンをしたり、SUPをしたり、海は欠かせない存在。なので、海の生命の源であるサンゴは本当に大事な存在だし、色々な人に知ってもらいたい。生き物たちにとってはなくてはならないもので、このサンゴ礁がなくなってしまうと、小さな魚がそこで育つこともできないし、卵を産んで子育てをする場所もなくなってしまう。食物連鎖の源がサンゴ礁。だから、私はおばあちゃんになってもサンゴを守る活動をやっていると思います。ずっと安全に安心して遊べる海を残しておけるような活動を今後もやっていきたいなと思っています。

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