芸術もアップサイクルの時代に。バイロンベイから最新アート事情をお届け

HONEY Vol.33「世界のビーチシーンの今」のバイロンベイ特集でピックアップしたアーティストのHelene Konig。ヴィンテージの家具や花瓶を、混凝紙(こんくりがみ)、粘土、石膏などを使って形を変え、模様を加えて新たに命を吹き込むアップサイクルアートワークL’effrontéeに取り組む。バイロンベイというエコでクリエイティブな土地がアーティストに与える影響とは。


あなたのプロフィールを教えて。

1986年、フランス生まれ。かなり早い段階からファッションの仕事に就きたいって考えていたけど、最初は自分のクリエイティブな才能を信じることができなかったの。古典的な学問的アプローチを試みた後、思い切ってファッションデザインの学士号を取得し、数年間ロンドンに移り住んで英語が話せるようになった。それから北フランスでデザイナーとして数年働いて、すべてをやめてオーストラリアに移住することにしたの。バイロンベイの企業でファッションデザイナーとして4年間働いたんだけど、2年目あたりから100%自分のものになるクリエイティブな仕事が必要だと思うようになって……。洋服に関連したことはやりたくなかったから、最初はヴィンテージの家庭用品を売ることから始めて、その過程で今のL’effrontéeのような形になった。

テーマや素材など、あなたのアートについて教えて。

私はまだ自分のアートが何かを探っているところ。始めたばかりで、本当に模索中って感じ。最近、私は大胆でエッジの効いた色や、面白い形の組み合わせが好きなんだとわかってきた。花瓶に描くのもキャンバスに描くのも好きだけど、それぞれ本当に違うから、異なるビジュアルを探求することができる。でも、オブジェの方が断然楽しい。特にアップサイクルという要素があるから、常に新しいもの、ユニークなものから始めることができるし、描くものや形によって自分のやることを変えていけるの。

何を、どのようにアップサイクルしているの?

主に花瓶をアップサイクルしてる。普段はチャリティショップを回ってなんてことない花瓶やオブジェを見つけて、様々な材料を使って全く違う形に作り直し、独創的なアートにしていくの。主に混凝紙や粘土、それに石膏も少し使って、アクリル絵の具で塗って、ニスを塗るのよ。

-バイロンベイでは、サステイナブルなライフスタイルや環境問題への意識が特に高いように思うんだけど。この地でアップサイクルブランドを立ち上げることで、さらにポジティブな化学反応が起きそう?

バイロンベイでビジネスを始めたことで、サステイナブルな生活についてたくさん学び、アップサイクルの方向に導かれたのは間違いないと思う。それにバイロンベイはクリエイティブな町でもある。クリエイティビティとエコな考えが組み合わさったサステイナブルなビジネスが数多く存在するのもそのため。クリエイティブで前向きな考えを持つ人たちが1ヶ所に集まっていることは、必ず私自身の助けになると思ってる。

コロナ以降、バイロンベイの雰囲気や状況はどのように変わった?

ここで生まれ育った人たちに比べれば、私が過ごした4年間はそれほど長くはないと思うけど、その期間でもこの町はかなり変わった。前はクリエイターが多く、国際的で人種のるつぼって感じだった。いつも楽しいイベントが開催され、誰もがお互いを知っていたし。明らかにコロナはそれを崩壊させた。今は活気を取り戻したけど、古い家屋はすべて取り壊され、高価な別荘に取って代わってボンダイビーチみたいになりつつある感じね。ちょっと寂しい気もするけど……。でも、コミュニティのスピリットはまだここにあるの。それは春に起きた洪水への対応を見ればわかると思う。

アートシーンでは、パンデミック後に何か変化はあった?

コロナの影響で散り散りになってしまったアートシーンを集めるような新しい場所がいくつかオープンしているわ。ギャラリー Nice Galleryはいつも素晴らしい展示をしているし、カフェPostcard ではよくクールなイベントが開催されている。

-バイロンベイが好きな理由は?

ありきたりだけど、海のそばで暮らせることと、仕事が終わった後、人が少ないビーチでのんびりできること(笑)。私はずっと都会に住んでいたから時々恋しくなるんだけど、この静かな生活が本当に好きよ。

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