女性がつくる、女性のためのサーフボードブランド「WILLOW SURF」

HONEY Vol.33「世界のビーチシーンの今」のバイロンベイ特集でピックアップししたWILLOW SURF。これまでありそうでなかった女性のための本格サーフボードブランドは、パンデミックの最中にオーストラリアのバイロンベイで始動。ビーチで持って歩くだけで気分が上がる見た目の美しさや可愛さはもちろんのこと、女性の体型やスタイルに寄り添う機能を搭載したボード。地元のレジェンドシェイパーとタッグを組んで作っているからなせる技だ。オーナーの2人にインタビューし、気になるボードについて深掘り。今後日本でも展開予定なのでチェックを!


-WILLOWが持つフィロソフィと、どのようなコンセプトでスタートしたか教えてください。

WILLOWは「それぞれの女性が持つ、それぞれの魅力を最大に引き出すサーフギアを作りたい」というところから出発しました。多くのサーフポイントが女性サーファーで溢れるバイロンベイだけど、女性が求める機能性やスタイルをとことん追求した本物のローカルサーフブランドって、よく考えてみるとまだバイロンベイに存在していないと思って。
女性だけにターゲットを絞り、女性が常に探し求めて来たものや、直面してきた問題をとことん追求しながら、時代や流れに沿って柔軟に変化しつつも、絶対にブレない核を持って共に成長できるブランドをイメージしてます。地元でシェイプを20年、30年と続けているレジェンドシェイパーたちが、アイデアとスキルを活かし、素材を選りすぐり、クラフトマンシップにのっとって作り上げてくれているのがWILLOW。だからストリンガーの素材や幅までこだわったりしていて、ちょっとボーイッシュな女性たちが惹かれるブランドになっているかも。女性の柔らかさとかっこよさを、程良くブレンドしていきたいと思ってるんです。

-スタートはパンデミックの最中だったと思いますが、あえてその時期を選んだ理由はありますか? また、その時期にスタートして何か感じたことがあれば教えてください。

WILLOWが始動したのは2021年後半。パンデミック中は何度もロックダウンになって誰もが息詰まった時期だったけど、バイロンベイのあるニューサウスウェールズ州では、ロックダウン中でも “エクササイズ”という項目で外出することが許可されていたんです。ここぞとばかりにサーフィンを始める人が急増したのが印象的でした。バイロンベイらしい! って感じで(笑)。
だからと言ってそのタイミングを計ったわけでは全くないんだけど、もともと始めるプランニングはしていたから、うまく重なった感じ。ビジネス的には物流がストップしたり大幅な遅れが出たりとスムーズに進まない時期でしたが、ブランドの大きな強みでもある “Locally made – 地元産”というのが決め手となって。海外製品が足踏みをしている間に、WILLOWは製作から販売までの過程で全く問題が出ませんでした。これもパンデミックから教えられた大切な気づきのひとつ、地産地消の大きなパワーですね。
パンデミックはもちろん多くの方にとって大変な時期でもあり、同時にポジティブにも受け取れる要素があると思いました。リモートで仕事ができるようになったり、強制的に時間の余裕が生まれたり。そのエクストラの時間が、今まで忘れかけていた “ゆとり”を思い出させてくれて、サーフィンをしてみようと思う人が増えたのかもしれない。

-どういった部分が“女性に向けた”サーフボードかを教えてください。

WILLOWはロングボード、ミッドレングス、フィッシュの3つのスタイルを展開していて、ロングボードは2つの異なったモデルがあります。すべてのボードに共通して言えることは、安定感とレールの繊細なバランス。
パドルが楽でテイクオフが早いボードというと、どうしてもボリュームがあるぼってりとしたアウトラインになってしまうことが多い。でも、そういうボードは脚力がないとターンできなかったり、ボリュームがありすぎて取り回しが大変だったり。そうなるとマニューバーにも限界が出てきてしまいます。
ボードの上に寝そべった時に、テイクオフで手を置く位置(胸の下)にしっかりとしたボリュームを持たせることでパドルが楽になって、波に合ったスピードでテイクオフでき、より一層安定するんです。
安定したテイクオフからのライディングは心にも余裕が生まれ、最後まで笑顔で乗り継げる1本になるはず。ボードのセンター部分に十分な厚さを持たせ、レールを繊細に落とすことでターンや取り回しが楽にでき、足の裏で波をもっと敏感に感じることができると思います。
女性は股関節が柔らかいから、微妙にアジャストができるヒップの動きを可能にします。その動きはロングボードだとノーズライドやトリミング、ミッドレングスだとマニューバーやターンでより輝くんです。波を感じ、ボードと自分が一体化するようなフィーリング、波に合わせた反応がしやすくなるようなイメージをデザインしました。将来は女性シェイパーによる特別なモデルも発表していきたいと思っているので、楽しみにしていてください。

-試乗会やイベントなど、これまでに行ったことあれば教えてください。

地域のサーファーが集まってコミュニティベースでイベントや大会を行うグループ「Byron Bay Board Riders」で、WILLOWはいろんな年代の女性サーファーと、これからを担うキッズたちをサポートするための寄付や物資の提供をさせてもらっています。今後は試乗会や、女性向けのサーフムービー上映などのイベントを企画していく予定です。

ブランドをスタートしてよかったことを教えてください。

WILLOWに乗るお客様から興奮した様子で「ちょっとホレた波でのテイクオフも、このボードは躊躇する私を引っ張ってくれるようにリードしてくれるの!」とフィードバックをもらうことがあって。
女性は結婚、妊娠、子育てなど人生におけるステージの変化が男性に比べると大きく、その都度身体を休めたり、時間を調整するのが大変。やりたいことから離れてしまう時間が長引いてしまったり、始めてみたいと思っていてもタイミングが難しかったり……。だからWILLOWのボード自体が「ねぇ、海に行かない?」って聞くと二つ返事で「行く!」と言ってくれるような、みんなのサーフバディ的な存在でいてほしいんです。 勇気や情熱を与えてくれて、多くの人の人生に純粋な至福の時間を提供できたら、私たち作り手にとってそれ以上の幸せないと思っています。

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