
サスティナブルな素材“ローシルク”を知っている? これは、傷のない繭から一本糸にしていくシルクと違い、かいこが巣立った繭などを集め再び紡ぎ合わせた天然素材のこと。
通常は捨てられてしまう繭を丁寧に紡ぎ合わせているからこそ、素朴な風合いやナチュラルな素材感に仕上がっている。
そんなエシカルな素材を使用して作られたファッションブランドが“KIGINU”。
「育てる服、育てるKIGINU」をコンセプトに、私たちの心地よさと環境に真摯に向き合ったブランドに込めた想いを、デザイナーの西内ひろさんに聞いてみた。
呼吸をする素材、ローシルクとの出会い
様々なエシカルファッションがある中で、オーソドックスな麻でもなく、リサイクル素材やテンセルでもない、ローシルクに注目した理由とは?
「KIGINUを立ち上げる際に大切にしようと思ったのは、環境にも自分にも優しい服であること。そして、リラックスした着心地であることでした。
その想いにぴったりなのがローシルクだったんです。サスティナブルでありながら、シルクと同じく通気性・吸湿性・保温性に優れていて、一年中愛用できる素材に惹かれました。
それは、かいこが成長するまで繭の中で快適に過ごすため、生き物としてのシステムが詰まった“生きた素材”ならではだと思うんです。
夏であれば服が呼吸をしているかのように暑さや湿気を逃がしてくれるし、冬はまるで包み込んでくれるように温かく保ってくれる。
しかも、かいこが生み出す糸は、動物性タンパク質でできています。つまり、私たちの肌と同じということ。
紫外線に強く、肌に優しい素材は、まるで肌の一部のようにしっとりと馴染んでくれるんですよ」

素材の素晴らしさを知り、改めてじっくり触れてみると、皮脂などの油分などを吸収し、より柔らかに、自分の肌へと近づいていくのを感じた。
そんないい素材なのにも関わらず、なぜ今までファッションアイテムとして普及しなかったのか?
「ローシルクは繊細な糸を紡ぎ合わせるだけあって、通常のシルクより手間がかかるんです。だから、素朴な素材感にも関わらず高価になってしまう。
しかも製作段階では、洗い上がりの縮みや色落ちなど自然素材ならではの品質変化に悩まされます。だから、たくさん作らなければならないブランドでは、取り扱いが難しいのかもしれません。
でも私たちは、できる範囲の量を無駄なく作る工夫をしたり、ユニセックス展開することで、コストを少しずつ抑え、ローシルクを少しでも多くの人に届くような服作りを心がけています」
服を捨てず、育てる楽しみ

KIGINUでは素材の他にも、サスティナブルなアクションが選択できる。
服を捨てる理由で一番多い“汚れ”を、美しく染め上げることでアップサイクルする、草木染め直しサービス“Re:dye”だ。
しかも、ローシルクという天然素材を、化学染料を使わずに天然成分100%で染め上げる。そのため、ムラなく美しい仕上がりを求め、1枚ずつ職人が手作業で染め直しをするのだとか。

天然の染料は口に入れられて、飲めるもの。たとえば、アボカドの皮や種、玉ねぎ、ザクロの皮、くるみの殻など食材で不要になった部分を使用している。
そんなこだわりの染め直しサービスについて、利用することでその人のライフスタイルをより豊かにしたいと語ってくれた。

「女性が一番美しく見える“白”を自由に着こなして欲しいんです。
汚れてしまうから……と気を使って着こなしたり、最初から手に取らないのではなく、白を着ながら思いっきり自然を満喫してみてください。
ビーチでアーシングしたり、芝生に寝そべったり、ヨガをしたり。豊かな時間に、体が喜ぶ素材を纏い、自分の魅力を白が引き出し、自信をつけてくれる。そうすることで、明日が今日よりも生きやすくなると感じています」
今はスプリングカラーとして、イエローやピンクなど明るく爽やかな草木染めラインナップ。
ザクロを煮詰めて染料にすると、ピンクではなくイエローになる驚きも、“Re:dye”の見どころ。身近な食材が美しく生まれ変わるのも実感できる。
タグから芽生える新しい命

洋服を買うと必ず付いてくるタグ。最近ではリサイクル紙などを使用するブランドも増えてきてはいるが、結果としてゴミになってしまうもの。
そんなファッション業界の常に向き合い、“捨てない”選択をしようと取り入れたのが、命が芽吹く“タグテニング”だ。
タグテニングはKIGINUが発信する、タグでガーデニングをするエシカルアクション。
リサイクルペーパーにシードを埋め込み、そこへ水を与えることで発芽する仕組みになっている。
「タグデニングはいらないものを、捨てない撰択をして欲しいと思い採用しました。
ゴミになるはずだったタグが肥料になって、命が芽吹く。そんなストーリーや経験をしてみて欲しいんです。
どんな花が咲くのかな〜というワクワクも、KIGINUを手にすることで共有できる豊かさの一つです」
リラックスシーンに寄り添うウェア
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KIGINUが提案するウェアはどれも自由な気持ちを高めてくれる、リラクシーなものばかり。
たとえば、家でゆったりくつろぎながら、ちょっとカフェへ……なんてワンマイルコーデ使い。もしくは、機内でも快適に過ごしながら、旅先ではヘルシーな装いでビーチを満喫。
そんな、どんな時間でも贅沢に過ごせるデザインが揃っている。
中でもおすすめなのが、ニットカーデとニットロングスカート。

カーディガンは2WAY仕様で、前にボタンがくるように着こなせばカーディガンになるし、後ろにボタンがくるように着こなせば背中あきのニットとして活躍してくれる優れもの。しっかりと包み込んでくれる質感からは想像つかないほど、軽やかな着心地。

ニットスカートは履いたときのシルエットの美しさから手放せなくなるアイテム。サイドのリブが脚の美しさを際立たせ、サイドスリットはヘルシーな着こなしにしてくれる。シンプルだから、どんなトップスとも合わせやすいのもいいところ。
これから夏に向けてワードローブをアップデートする季節。自然を愛するビーチガールには、ぜひ一度ローシルクの魅力を体感してみて欲しい。
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