サーフスポットをVANで巡る旅_Vol.3(モロッコ編)

ルーフトップにサーフボードを括りつけ、ヨーロッパの海沿いを自由気ままに旅するサーファーたち。彼らの実体験が1冊にまったシリーズ本がある。タイトルは『I LOVE THE SEASIDE』。


波がよく、冬でも太陽の日差しが降り注ぎ、物価はそれほど高くない。ヨーロッパから飛行機で数時間、車でも入国できる距離なのに、イスラム文化が異国情緒を感じさせるモロッコ。訪れた人はみな「最高だった!」と口にし、今ではヨーロピアンサーファーの定番トリップ先に。3回目となる今回はそんなモロッコをピックアップ。中でも一番メジャーなモロッコ中央部(Oualidia/オウリディア〜Agadir/アガディール)を紹介します。

©️Alexandra Gossink/I LOVE THE SEASIDE

モロッコ中央部

アガディール周辺はサーフィン、ステイ、グルメ、そしてサーファーとの出会いを求めるのに最適なエリア。北部ほど大きな都市はなく、海岸は崖が切り立ちダイナミックな自然が色濃く残る。オウリディアからアガディールに移動するとき、緑一面の野原から黄色い大地に変わる様子が見える。このエリアならではの景色。町が恋しくなったらエッサウィラへ。小さな村が好きならタフェドナやシディカオキの漁村をチェック。もし他のエリアに移動しないと決めたなら、タガズートまたはタムラートに点在するサーフキャンプを選択するのもいい。ポイントまでは徒歩でアクセスでき、寝床も整えられているのでストレスはなし。ここですることは、サーフィン、サーフィン、そしてもっとサーフィン。

【交通事情】
サーフキャンプ、ホテル、ゲストハウスまで移動が必要な場合は、乗合タクシーが利用できる。サーフボードラック付きの車両もあり。料金は手頃だが、満席にならないと出発しないので注意を。多くのホテルは空港から送迎サービスを提供している。

【こんなサーファーにオススメ】
常に変化する風景を眺めながら、ゆっくりと旅をするのが好き。カメラを手元から離さず、ミントティーを飽きずに飲める人。モロッコの伝統服、カフタン、ジュラバを知っている人。耳、目、鼻にサハラ砂漠の砂が入っても気にしない人。先のことを考えるより今の人生に感謝し、決して急がない人。

©️Marie-Therese Pfisterer

【エリア:ESSAOUIRA
北から南へ移動していくと、エッサウィラの景色から変わっていくのが分かる。アルガンツリーの国へようこそ。緑は少なく、人も少なくて静か。犬、ロバ、ラクダ、ヤギ(ヤギはアルガンツリーに登って果物を食べる)が通りを横切り、浜辺で寝たり、木やゴミ捨て場から食べ物を探してたりしている。人々はオープンでフレンドリー。  

©️Alexandra Gossink/I LOVE THE SEASIDE

エッサウィラはモロッコへ来たなら絶対訪れたい町。壁に囲まれたメディナ(中心部)の内側はもちろん、港や大通りに沿って散策するだけでも楽しい。メディナには、アートギャラリー、カラフルなショップ、飲食店が軒を連ね、ワークショップが開催されていたり、ハマム(銭湯)を楽しめるなどやることは尽きない。どの場面を切り取ってもフォトジェニックで、レストランの料理は最後に指を舐めるほど美味しい。

【ショップ:Minimal】
多くのショップが床から天井まで物を積み上げているのに対し、ミニマルは色とりどりのクラフトアイテムが綺麗に陳列されている。オシャレな店内はまるでオアシス。質の高い陶器、センスあるインテリアグッズ、クッション、ラグ、バッグ、どれも手をとめてしまう品ばかり!
住所:Rue Skala, Medina, 44000 Essaouira
Instagram

【ポイント:Essaouira
長い三日月の形をしたエッサウィラの湾は、サーフィンだけでなく、カイト、ウィンドサーフィンでも有名。ただし、湾の前にモガドール島があるため、大きな北西、または西からのうねりが必要。オフショア(北西)が強くなれけば、Tagharteビーチ方面へ。ロータイドの時間帯がベスト。

レベル : 初級〜上級
ボトム:砂
駐車のしやすさ : △ ※大通り沿いに有料パーキング有り。ただし、大型のヴァンは駐車できない場合も
その他:周辺にレストラン、バー、トイレ、キャンプ場有り。大通り沿いには、サーフショップ、スクール、レンタルも有り

©️Alexandra Gossink/I LOVE THE SEASIDE

【エリア:Imsouane】
細く曲がりくねった道を長距離ドライブし、ようやく辿り着くイムスアン。ポイントは2つしかなく、1つは町の南側で、港の入り口から崖に向かって長く続く波が楽しめる。もう1つは複数のピークがあるメインビーチで、それぞれレベルの違う波が立つ。中でもカテドラルと呼ばれるピークが有名。ローカルはビジターに友好的で条件が揃うとパーフェクトな波が待っている。

©️I LOVE THE SEASIDE

Imsouane /Magic bay (イムスアン/マジックベイ):港から月形の湾に向かって、ロングボード向きのメローで長いライトの波がブレイク。一度テイクオフしたら、足が疲れ果てるまで乗り続けられる。ラインナップへ戻るにはパドル以外に、ビーチに上がって歩いて戻ることも。全ての時間帯でサーフ可能だが、ローからミッドタイド時がベスト。ハイタイド時には崖の下のビーチが消失するので注意が必要。初心者は駐車場下のビーチでブレイクするコンパクトな波がオススメ。

©️Geert-Jan Middelkoop/I LOVE THE SEASIDE

【エリア:Taghazout】
モロッコで特に人気のタガズート。かつては素朴で小さな漁村だったが、今ではサーフツーリズムを中心に発展している。その結果、カジュアルからラグジュアリーまで、様々なレストランや宿泊施設がある。町は海沿いの通りと遊歩道が一本通っているのみで、その2つは狭い路地で結ばれている。絵画のように美しくのんびりしているが、排水システムが不十分なため、海水やシャワーの水は口にしないのが賢明。

【レストラン:World of Waves Surf House】
遊歩道沿いのヴィラ「Tizniti」の1階にある、通称WOWと呼ばれるカフェ・レストラン。広々とした店内やテラス席で、くつろぎながら食事やスナックが楽しめる。本を読んだり、スマホをチェックしたり、ラップトップを開いてテレワークしたりと過ごし方も様々。スムージーとジュースのメニューが豊富なので、試してみたい。

住所:Villa Tizniti, Beachfront, 80023 Taghazout
公式サイト

©️Geert-Jan Middelkoop/I LOVE THE SEASIDE

【市場:Aourirのスーク】
タガズートから少し南下した町、アウリールのスーク(市場)は必ず訪れたい場所。毎週水曜日にアウリール最北端の空き地で開催されている。アクセスは簡単。幹線道路をアガディール方面に進み、ラウンドアバウトで海に向かって右折すれば到着。スークの屋台には季節の果物、野菜、ナッツ、ハーブ、ナツメヤシなどの食品から、カーペットや雑貨、ハンドクラフトなどあらゆる物が溢れるように並んでいる。これぞモロッコ!

©️Alexandra Gossink/I LOVE THE SEASIDE

【ポイント:Desert point, Killer point, Anchor point】
初心者からプロまで、すべてのレベルのサーファーが楽しめるタガズート。ただ人気ゆえに、ラインナップはかなり混雑している。また一部のポイントは水質が悪いので注意が必要。ピークの名前はユニークで、K11やK12のようにアガディールからのキロ数にちなんで名付けられている。ほとんどのポイントには駐車場あり。「監視員」にいくらか払うと、彼らが車を見張ってくれる。

Desert point:パワフルなブレイクで知られるBoilersと比べると優しく質の高い波が立つが、初心者向けではない。アクセスしやすいので見学するだけでも楽しめる。コンディションによっては中級者も入れるが、入水前によく観察をして。サイズが上がると上級者オンリー。北、北西、西からの大きなうねり、ミッドタイド時がベスト。駐車場がいっぱいのときは、フレンドリーな周辺のカフェや絨毯屋さんが、彼らの駐車場を貸してくれることも。

レベル:中級〜上級
ボトム:リーフ
駐車のしやすさ:○
その他:レストランやサーフショップはないが、カフェに駐車したり、休憩することできる

©️Alexandra Gossink/I LOVE THE SEASIDE

Killer point:岩から飛び込んで全力パドルでラインナップへ向かうか、ビーチから長い距離をロングパドルしていくか。キラーは上級者向きのポイントで他よりもパドルする必要があるが、報酬はその努力に値する。北西の風をかわし、全ての時間帯でサーフ可能。初心者は少し南側にあるLa Sourceへ。ボトムがビーチのエリアがあり、小ぶりな波がブレイクしている。

レベル:上級
ボトム:砂、リーフ
駐車のしやすさ:○ 有料
その他:周辺に施設はなし

©️Alexandra Gossink/I LOVE THE SEASIDE

Anchor point:ワールドクラスのライトのポイントブレイク。アンカーポイントはサーフィンをするより、見にいくべき場所。岩や崖に座ってショーを鑑賞! 入っているサーファーはローカルかトップレベルのビジター。運がよければ4度モロッコチャンピオンに輝いたタラムート出身の女性サーファー、Meryem El Gardoumに遭遇できるだろう。ローからミッドタイドまでの時間帯、北、北西、西からの大きなうねりがべスト。

レベル:上級
ボトム:リーフ
駐車のしやすさ:○ 有料
その他:常設の施設はないが、たいていカフェが出店している

©️Geert-Jan Middelkoop/I LOVE THE SEASIDE

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