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【連載】地球の今、海の今を知る|Vol.40「自然を知ること」が地球への愛になる

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海の豊かさを象徴するサンゴ礁、それもすでに世界の半分以上が消滅した今、原因は地球温暖化や海洋酸性化、水質汚染やプラスチック、日焼け止めなどさまざまありますが、エリアによっては一番の原因がリゾートや港湾の開発といったところも少なくありません。なかには「埋め立てていいサンゴ礁」という見立てが通された海もあるけれど、地球上に埋め立てていいサンゴ礁なんて一体どこにあるのだろう……。一方、私が好きなデスティネーションのいくつかに、海洋研究家でもある方々が少人数に限ってゲストを受け入れてくれる島々があります。あえてどこかは言わないけれど、そこは海辺を縁取るサンゴ礁も息をのむほど麗しく、これまで何度も有名リゾートから買収のオファーもあったそうですが、開発されれば海が荒らされてしまうからと、いくら大金を積まれてもすべて断り、徹底した配慮でその海を守り抜いている方々。その精神を心からリスペクトしながら、島では私も自然の営みを学び、海に寄り添う姿勢をたくさん教えてもらえる場所。人が自然を壊すのは簡単だけれど、一度壊されてしまった自然はそう簡単に元には戻せない……海を深く愛する人たちは皆、そうも教えてくれます。

2021年も史上最悪の熱波や山火事に見舞われたヨーロッパをはじめ、世界各地で大規模な火災や豪雨、巨大台風など、地球の悲鳴をさらに強く感じた1年でもありました。加速する異常気象や環境問題の被害を受け、動物たちも個体数が減っている上に、環境省の発表では、1975年以前は年間1種以下だった種の絶滅スピードも、現在はたった1年で4万種以上もが地球上から姿を消しているほど。そんな今を改めて思うとき、私たちが優先したいことはSDGsやサステイナブルを広めるよりも、もっと「自然を知ること」のほうが大切な気がしています。たしかに「地球にやさしい」と謳うモノやコトが増えてはきたけれど、自然生態系の本質を理解せず、自然にどう寄り添うのがベストか、「本当の共存とは何か」も知らないまま、ビジネス目線で自然を利用するモノやコトが圧倒的に多い昨今。かたや、純粋に地球を思いやる人たちのアクションを見ると、これまでのダメージがどれほどかを体感し、自然と深く対話をし、そもそもどうしてこの自然の、あるがままの姿を守り抜かなければならないかを知ろうとする。なぜなら、それこそが「調和した世界」への近道だと知っているからです。

自然を知るとは、海や森の声を感じたり、自然の摂理を学ぶのはもちろん、ただ海辺に立って、この波はどうしてここにやってくるんだろう? どうして砂浜にこんなプラスチックごみが散乱しているんだろう? そんな素朴なギモンから広がる世界でもいい。訪れた旅先では、その海、その土地ならではのストーリーを感じて、海の営みや生き物のことを思ってみたり、そこで自然とのバランスを大切に暮らす人々に触れてみたり。日常でも、自分で野菜を育ててみたら自然の連環がずっと身近に感じられ、毎日いただく食べ物だって「生態系サービス」の目線で調べてみるだけで視野がぐんと広がり、いつもの日々に何倍もの感謝が溢れ出す。それはただエシカルな消費を増やすといった日常とも、まるで違った在り方になるはずです。便利でモノが溢れた時代だからこそ多くの人が感謝を忘れ、何をどう犠牲にしているかは見ないまま、先進国だけが繁栄すればいい、そんな暴君を続けた結果が今の地球。けれどもこれからは自然への干渉を最小限に、破壊や搾取ではなく再生へ。そのためにはもっと自然のことを知り、あたたかい気持ちとまなざしを持って地球の蘇生力を見守り、今度は人類から地球へ愛を贈ること──。そうしていつの日か、それもできるだけ近い将来に、海も、陸も、自然と動物と人とが調和した世界が当たり前に広がっていきますように。

text:Ayako Minato