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【連載】地球の今、海の今を知る |Vol.02 「もしもタイムリミットがあるとして」

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2020年も気づけばあと数ヶ月。未曾有なパンデミックを経験した今年は、「いつもの日常」を穏やかに過ごせる幸せを改めて感じ、日々の尊さがより鮮やかに心に刻まれるようにもなりました。まだまだ世界的なカオスは続いているけれど、一方で気候変動や環境破壊も止まることなく進み続けていることを、私たちは忘れずにいたい……そうも思います。このパンデミックでは世界的に経済活動がストップして、一時的に温室効果ガスの排出量が減り、水や空気が清らかさを取り戻したように見えましたが、それもほんの束の間。世界気象機関(WMO)の発表では、2020年も大気中のCO2濃度が過去最高、およそ417ppmを記録したそうです。産業革命前には280ppmほどだった大気中のCO2濃度は、2014年に初めて400ppmを超え、ほぼ毎年のように最高記録を更新し続けています。

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そんな昨今は、あちこちで「地球のタイムリミット」を伝えるニュースも頻繁に目にするようになりました。地球が「残りあと○年」だなんて映画のシナリオのような、どこかのフィクションだったらいいなと願いつつ、実際に世界の大都市で、地球の期限を伝える「Climate Clock(気候時計)」が巨大な電光板に表示されるようにもなりました。これは、世界の平均気温が1.5℃上昇に達するまで、つまり地球が取り返しのつかない臨界点を迎えるまでの残り時間を伝える時計で、ドイツ・メルカトル研究所がIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)のレポートをもとに作成した「カーボン時計」に沿って、科学的に計算されたもの。昨年はドイツのベルリンに、今年はアメリカ・ニューヨークのマンハッタンにあるユニオンスクエアに掲示され、来年はフランスのパリにも設置される予定だそうです。そこには「The Earth has a deadline(地球には期限がある)」というメッセージとともに、秒単位で刻々と進むカウントダウンが表示されますが、その残り時間は2020年現在、あと7年……。世界がこのままの生活を続けていくともっと早くに、地球は限界を迎えてしまう予測もあるそうです。

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日本ではあまり報道されませんが、欧州などでは環境問題に関するニュースも頻繁に流れ、関心を寄せる人が多いといいます。それらは決して不安や恐怖を煽るものではなく、みんなで現実に向き合って、いま守りたい地球のために、日常でできることを増やしていく……そんな前向きな行動力に繋がっています。こうした環境先進国では一人一人が身近で貢献できる選択肢もたくさんあり、政府や企業もCO2の排出を大幅に削減、脱炭素社会へ向かう政策や事業、すでに再生可能エネルギー100%を達成した国で心豊かに暮らす人々など、私たちが目指したい未来は世界各地でどんどん実現されているのも事実です。 

気候時計は言ってみれば、ここからの7年間が未来の明暗を分ける転換期だと背中を押してくれるもの。そして、地球を救うことはわたし自身を、大切な人たちを救うことだと教えてくれるもの。もちろん7年かどうかは諸説あるけれど、正確な残り時間がどうか、その真偽はあまり重要ではない気がします。ただ純粋に、いま私たちの心の姿勢として、「もし仮に」くらいの気持ちでもいいから「たとえば地球にタイムリミットがあるとして……」と、そんな気持ちを心の片隅において過ごしてみると、日々の目線や過ごし方が少し変わってくるかもしれません。それは終末論のような不安や怖れに怯えるのではなくて、大切な誰かを守るときの愛と同じきもちで、地球への思いやりを一つ一つ行動に移していけたら。そのうちに気候時計なんて要らなくなる日が来ることを、そこにたどり着くための今を生きる、みんなの愛とパワーを、まっすぐに信じていきたいなと思います。