プロサーファーの現在地 vol.3/小高恵子プロがサーフィンに惹かれる理由、そして武藤龍寿プロの新しい試み

湘南生まれでずっとサーフィンが身近だったプロサーファーの武藤龍寿さんと、東京を拠点に活躍していた小高恵子プロ。武藤さんは最近東京にサーフブティック、そして湘南にサーフクラブをオープンし、独自の視点でサーフィンの魅力を伝えている。一方小高さんは30代でサーフィンに出合うとその魅了にどっぷりハマり、現在もコンテストの第一線で活躍している。互いに信頼を寄せる2人に、サーフィンに対する想いとこれからのヴィジョンを3回にわたってインタビュー。最終回となる今回は、小高恵子プロがサーフィンに惹かれる理由、そして武藤龍寿プロの新しい試みを紹介します。


プロサーファーになると、いろんな場所を訪れる機会も増える。さまざまな場所で開催されるコンテストに行くだけで、そこに新しい驚きがある。

「数年前にWSLの大会でフランスとポルトガルに行ったのですが、最高でした! 波はパワーがあって、どの波がいいかはっきりとわかる。ロングライドできる波で、こんないい波でコンテストできるなんて最高だな、と思いました」

グーフィフッターの彼女にとって、レフトの波が多かったのも気に入った理由のひとつ。地球の70%は海。つまりサーファーにとってこの星はパラダイス。世界中でブレイクする波を求めて、旅をする喜びに溢れている。

旅好きな彼女にとって、旅とサーフィンが結びつくのは楽しいという。さまざまな景色や波、人に出会え、人生が豊かになるから。

「予想外の出会いがあるのもサーフィンの素敵なところ。サーフィンを始めて、熱い想いをシェアできる仲間にたくさん出会えました。年齢や性別、国境を超えて、純粋にサーフィンの魅力をシェアできる。この出会いは他では難しいんじゃないかと思うんです」

最近は素晴らしいパーソナルトレーナーと出会い、身体を鍛えているそうだ。50歳が近くなると、嫌でも身体の変化を感じる。昨年は不調が続き、週2回のサーフィンが精一杯だったそう。でも普段のサーフィンやコンテストへの参加は、彼女の人生に欠かせないもの。ワークアウトしながら、信頼する整体師に身体全体を整えてもらっている。

「以前は年齢なりに頑張ろうと思っていたけど、今は自分なりに納得できたらもういいのかな、と感じ始めています。ただ、どんな時でもベストは尽くしたいですね」

世界を気軽に訪れるのが難しい今、目標はJPSAの大会で優勝すること。今年は体調も良く、旅にもサーフィンにもたくさん行けている。同時に、体力のある人、ない人、上級者も初心者も一緒の波に乗ることができる。海のそんな寛大さにやっぱりサーフィンはいいなと思う日々。

「人それぞれに個性があります。でも海を通して、同じ気持ちを共有できる。それがすごくいいなと思っています」

小高さんのサーフィンは、ロングボードの特徴を最大限に活かした優雅なライディング。対してパートナーの武藤さんは、何にも囚われない自由さの中に、熱いなにかを感じる。それぞれスタイルは違うけれど、一緒に海に入れば時間を忘れるほど、お互いサーフィンに没頭してしまうそうだ。

サーフィンを心から愛し、そのカルチャーを次世代に繋げていきたいと願う2人。今はショップのオリジナルボード「R&S SURFBOARDS」も製作中とか。小高さん、そして武藤さんのモデルのほか、4種類のボードを発表する予定で、オーダーも受け付けている。材料費の高騰や円安により、サーフボードの価格が値上がりする中、多くの人たちにもっと気軽にサーフィンを楽しんでほしい。そんな想いから始めたオリジナルのサーフボードは、すべて国内のシェイパーが担当する。2人のこだわりを取り入れながらも、手に取りやすい価格を目指しているのだ。「さまざまな形でサーフィンの魅力を発信していきたい」そう話すプロサーファーの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

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