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【連載】地球の今、海の今を知る |Vol.05 「映画で感じる海洋プラスチック汚染」

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愛してやまない地球の海が、どこもかしこもプラスチックに蝕まれている……。今この現実を前に過去を悔やんでもなんの解決にもならないことは分かっていながら、もし20年前に世界がこの問題と真剣に向き合っていたらと、ときどき考えたりします。海洋プラスチック汚染が初めて世間の関心を集めたのは、今から23年前の1997年。海洋汚染研究者のチャールズ・モアが、ハワイとアメリカ西海岸のあいだに広がる海域で、無数のプラスチック片が浮かぶ「プラスチックごみのスープ」を見つけたことがきっかけでした。北西ハワイ諸島にあるミッドウェー島でも、その頃からすでに、海鳥のお腹にたくさんのプラスチックが溜まっている被害が伝えられていました。あれから20年以上が経って、こんなになるまで放置してしまった今も、世界はまだまだ生産量を増やそうとしている……。悲しいけれど、それが現実なのだろうと思います。


プラスチック片をお腹に溜めて命を落とす海鳥たち/ミッドウェー島

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現在発売中のHONEY Vol.29で、プラスチック問題の今を特集しましたが、日常の中で被害の深刻さを実感することはほとんどないかもしれません。けれどそれがまた、恐ろしくもあります。そんなプラスチック汚染と私たちとのつながりを伝えてくれる話題の映画が、明日11月13日(金)より全国の劇場で公開されます。その作品は『プラスチックの海』(原題『A PLASTIC OCEAN』)。2016年に公開されて以来、世界70カ国以上で上映され、2017年の国連総会でも22分の短編版がプレミア上映されました。
先行試写で観させてもらった本作は、世界に広がった汚染の事実、とくに生き物たちの悲劇は思わず目を背けたくなるほどで、映像だからこそのリアリティが、頭で考えることなくストレートに心の奥底に響いてきます。印象的なシーンは数えきれませんが、出演していた映画監督のマイク・ディグリーが地中海の深海へ潜ったあと、「水深350m以上も潜ったのに、海底に着いたらゴミだらけだった……」と怒り混じりに語る場面も。海に流れ出たあとは大半が海の底に沈み、ほとんどが人々の前から消えてなくなったように見えてしまうプラスチックごみ。劇中では公開当時の2016年時点で、世界のプラスチック生産量が年間3億トンを超えるとありますが、あれから4年経った2020年ではすでに4億トンを超えました。今後もまだまだ増え続ける予想で、このままいけば2040年までに、海のプラスチックごみの量は今の3倍近くにもなってしまうといいます。


気候危機で沈みゆく国は、プラスチックに埋もれて健康被害も深刻/ツバル

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監督であり出演もしているクレイグ・リーソンは、サーフィンや海遊びをこよなく愛するジャーナリスト。実際に世界各地の被害を目の当たりにした彼は、インタビューでこう語ります。
「プラスチックは人間が作り出したもので、自然界にあるべきでない、またどう処理すべきかも分からないもの。それが堆積し、病のように地球を侵しています。海こそが私たちを生かしていると教わった人はごくわずか。ですが、劇中でシルビア・アール博士が言うように、綺麗な海がなければ、緑豊かな自然も存在しない。天候、酸素、綺麗な水、食糧、薬となるものは海の恩恵に支えられています。本作を通して、まずは事実を知ることから問題との関わりが始まり、対話が始まり、変化が生まれることを願っています」
私たちの暮らしや行動が自然破壊にどう繋がるのか、海洋プラスチック汚染という「ひとつの現象」から一人一人に問いかける今作。そして、海がどれほど私たちにとって、地球にとって尊いものであるかも感じさせてくれます。海とともに生きる全人類に捧ぐドキュメンタリー、この作品から届く海の声を、ぜひ劇場で感じてみてください。

プラスチックの海/公式サイト
11月13日(金)よりアップリンク渋谷・吉祥寺・京都ほか全国順次ロードショー
多くの科学者や識者が警鐘を鳴らす、海洋プラスチック問題。監督クレイグ・リーソンが海洋学者、環境活動家やジャーナリストたちとともに、世界の海で何が起きているのかを調査し撮影。人類がこの数十年でプラスチック製品の使い捨てを続けてきた結果、危機的なレベルで海洋汚染が続いていることを明らかにしていく。
監督:クレイグ・リーソン
配給:ユナイテッドピープル
100分/2016年/イギリス・香港