マリエがいま、サステイナブルに生きるわけ(Be Positive, Be Myself スピンオフ企画)

最新号(Vol.29)の「Be Positive, Be Myself」では、モデルとして活躍、NY留学を経て自身のブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」を主宰するマリエさんにインタビューしました。移動中の車内、そして目的地のアトリエに着いてからも、自身のことを包み隠さずたくさん話してくれるマリエさん。彼女の口からこれまでのこと、今の想い、これからやりたいことが絶えることのない泉のように溢れ出てきた。真面目でユーモアがあり、人へのリスペクトを大切にするまっすぐな彼女。誌面では収まりきらなかった言葉を、ここでお伝えします。どこか使命感を背負った、でもそれを原動力に人生を楽しんでいる1人の女性の姿があった。

–{NYの経験が、生きるのを楽にしてくれた}–

HONEY(以下、H):留学先ではすべてのクラスを主席で卒業したと聞きました。ものすごい努力だなと。 
MARIE(以下、M):ありがとうございます、でも必然的というか。日本でのモデル時代にハイブランド、ストリートウェア、ファストファッションなど散々着させてもらって、撮影でいかに良く見せるかを経験させてもらっていたから、実際に触ったことがない人より、どういう服が人を喜ばせるかを知っていたんだと思います。日本でモデルをやっていたことはNYでは誰も知らないからまっさらな状態で行ったんですけど、着て、触って、見た数だけ勉強になっていたんだなと思って。経験に助けられました。

H:卒業後、帰国前には何をしていたんですか?
M:ビザを持っていた関係で、通常2年で卒業するコースを1年でやり切ることができたんです。とても良い教授がいて、卒業した後、自分と一緒に働かないかと声をかけてくれて。教授の新しいブランドの立ち上げに携わったり、アシスタントとしていろんなことを学びました。

H:NY留学中に得た、もっとも大きなことは?
M:自分の好きなヒト、モノ、コトがわかるようになったことです。例えば絵画展に初めて行ったときって、良い悪いとか好き嫌いって全然わからなかったりするじゃないですか。でもたくさんギャラリーに通っていくと、だんだん自分でジャッジできるようになってくる。私がまさにそうで、自分はこの絵が好き、この音楽が好き、この生地が好きっていうのが判断できるようになった。わからないとブレてメンタルが辛いですよね。世間の良し悪しじゃなく、自分の物差しを持てたら、生きるのが楽になりました。

–{ “教えられるオトナ”になりたい}–

H:帰国すると決めた理由は?
M:実は当時、毎日30錠くらい薬を飲んでいたんです。食事から排泄、会話まで普通に人として生活を送るための薬。当時はお医者さんや薬が自分を治してくれると思っていました。でも、オバマ大統領が医療改革をしていて、私が飲んでいた5つくらいの薬がアメリカで使用禁止になったんです。その薬は日本で新しい薬として処方されたばかりだったから不思議に思って……医療や薬の問題を調べるようになりました。そこから4年かけて全部の薬をやめたんですが、やめていく途中の段階で「私って、自分が思っていた性格じゃなかったんだ」って気づいたんです。昔はよくキレる、すぐ泣く。そんな自分が嫌いだったんですけど、性格だからしょうがないって思っていました。それが薬をやめたらどんどん落ち着いていったんです。ゾッとしました。何も知らないで生きてると危ないんだって。それで、おこがましいんですけど、急に日本の女の子が心配になったんです。 私は気づけたからよかったけど、もしかしたら瀕死の子がたくさんいるのかもしれないと思いました。モデルをしていたとき、周りの女の子もみんな同じように生きていた。痩せる薬があると言われれば飲んでたし……。誰かがちゃんと教えてくれていたらって思うんです。でも、教えられる大人もいないんじゃないかって。 私が留学できたのは日本の女の子たちに応援してもらったから。それなのに彼女たちにまだ何も恩返しができていなかった。だから正しい情報や、美しく生きるための道を、自分が学んだことだけでも伝えてあげられたら。そう思って日本に帰ることを決意しました。

–{ひとりでも伝われば、それでいい}–

H:その方法がマリエさんはファッションだったんですね。 
M:真面目に言っても誰も聞いてくれないと思ってたから(笑)、好きなことで表現しようと思ったんです。サステイナブルな方法とファッションで。『家電芸人』みたいに自分が『ファッション芸人』、『環境芸人』的な存在になれたらなって思って(笑)。ファッションで愛を伝えるのはなかなか難しいんですけど、これが私の表現方法なので。
H:ブランドを通して、何を一番伝えたいですか?
M:私の作るものが好き、嫌いっていうのはそれぞれあると思うんですけど。若い子には自分の活動を通して、やりたいことは自由に表現していいんだよ、って教えてあげたい。大人には、そういう若い子をサポートしてあげてほしいです。ひとりでもいいから、日本の女の子の人生に影響を与えることができたらいいなって。サステイナブルな活動をしていれば、いつかきっと聞いてきてもらえるって信じています。

MARIE/インスタグラム
フランス系カナダ人の父、日本人の母を持つ。10代でモデルとして活躍した後、NYに渡りパーソンズ美術大学でファッションを専攻する。2017年にサステイナブルライフを発信するブランド「PASCAL MARIE DESMARAIS」をローンチ。

10歳:モデル活動を始める
18歳:ViVi専属モデルとして忙しい日々を送る
23歳:NYの名門、パーソンズ美術大学へ進学
27歳:日本に帰国
30歳:「PASCAL MARIE DESMARAIS」を立ち上げる

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