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いつも心にエシカルマインドを Vol.3|エシカルライフを「心地よくする」12のこと

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地球にも人にもやさしいことを増やしたくて、エシカルな暮らしをはじめてみたけれど、まだまだ選択肢が少なくて、見せかけエコにも戸惑って、いろんな悩みやジレンマを感じてしまう。周りにも知ってほしくて環境や社会の問題を話してみるけれど、あまり理解してもらえずになんだか肩身が狭かったりもして……。そんな悩める心をフッと軽くするアドバイスを、一般社団法人「エシカル協会」代表理事の末吉さんにもらった。


Q. エシカルを分かりやすく言うと?


A. 「倫理的な」という意味だけでは難しく感じられますが、私はよく「エシカル=影響をしっかり考える(“エ”いきょうを“シ”っかり“カ”んがえ“ル”)」ともお伝えしています。普段、当たり前のようにしている買い物や行動の裏側を、ちょっと立ち止まって考えて、「これを買ったらどんな影響が及ぶのかな、自然を壊したり誰かを苦しめたりしていないかな」と調べたり、思いやりの気持ちで物事を考えながら、良心的な行動をすることだと思っています。

Q. 私たちの声は実際どう影響する?


A. 消費者の声から変わっていった企業はたくさん増えていて、大手スーパーのイオンは、「フェアトレードのような社会に貢献できる商品を売らないんですか?」と尋ねた主婦の一声から、現在はエシカルな商品を扱うリーディングカンパニーに。他にも、ストレスなく育てられた平飼い卵を置いてほしいなど、消費者が欲しいものを伝えて動いてくれた成功事例はいくつもあります。一人で伝える勇気がなければ、家族や友達と一緒に声を届けるのも効果的です。

Q.「減らす・買わない」もエシカル?


A. もちろんです。エシカルライフは必ずしもお金を払ってするものではなく、エシカルなものを買いすぎるにも矛盾があります。なるべく必要なモノしか買わない、自分で手作り、物々交換、今あるものを大切に長く使う、などもエシカルな行動で、これならお金も節約できます。私は祖母や母から譲り受けた洋服やヴィンテージを着たり、今持っているものを修理して使ったり、気候変動の負荷が大きいお肉は月に数回しか食べないなど、減らす行動も心がけています。

–{エシカルな選択肢が少ないのですが?}–
Q. エシカルな選択肢が少ないのですが?


A. 私たちは日常の買い物や行動をよく考えて行うだけで世界を変える力を持っています。でもまだまだお店に理想的な商品がなく、「ない」と諦めて終わりがち。そこでぜひ、お店側に積極的に「こういう商品が欲しいので置いてくれませんか?」と伝えてみてください。すると「あ、消費者はこういうものを求めているんだ」と、エシカルな商品の仕入れを前向きに検討してもらえるきっかけに。作り手やお店に伝えることも、実はとても大きな影響力があるんです。

Q. エシカルなものって高価では?


A. 安価な商品を買ってはすぐに買い換える、を繰り返すより、良質に作られたエシカル商品だからこそ使い心地もよく、長く大切にしたくなるものだと思います。購入するときは高価に感じても、エシカルライフはトータルで見ると実は経済的。問題のある商品を買わないことで企業に働きかけるボイコット(不買)運動もありますが、反対に「バイコット」、つまり自然も人も傷つけない作り手や企業を「買って応援する」という気持ちも大切だと感じています。

Q. モノ以外でできるアクションは?


A. エシカルの本質はモノの消費だけでなく、ライフスタイル全体を通して、人と環境と未来により良いことを選択していくこと。毎日使う家庭の電力供給にもお金を支払っている私たちは、気候変動を加速させる石炭石油などの化石燃料に頼るより、自然エネルギーに変えることも有意義な選択です。今は脱炭素社会を目指そうと、太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーを利用できる選択肢も増えているので、ぜひエシカルなパワーシフトも取り入れてみてください。

–{グリーンウォッシングを見分けるには?}–
Q. グリーンウォッシングを見分けるには?


A. エシカルやサステイナブルが広まってきたからこそ、偽物の商品や謳い文句が増えてきた印象がありますが、正直これを見分けるのはとても難しく、すぐには見極められない状況です。その中で私が一番オススメしたいのは、作っている人に直接聞くこと。いちいち問い合わせるのが面倒なら、せめて売っているお店の人に背景を聞いて、分からないと言われたら「次に来るまでに調べておいてください」と伝えると、お店側の気づきを促すことにも繋がります。

Q. 複雑に考えすぎて苦しいときは?


A. 良かれと思って買ったらグリーンウォッシングだったり、素材のこだわりは素敵だけど大量生産大量廃棄をしていたり、生産工程で人や動物を苦しめていたり、化学物質が多く使われていたり、遠い国から輸入されていたらCO2排出も気になる……など、ある側面から見たらエシカルでも、違う面から見たらエシカルじゃないこともたくさんあって、複雑に考えると混乱してしまいます。まずは自分が気に入ったエシカルな商品を購入してみて、楽しむのがいいと思います。

Q. 昔の暮らしに学べることもある?


A. 日本人が古くから受け継ぐ「足るを知る」「もったいない」といった精神性は誇るべきもので、エシカルな暮らしにも大切な心得です。ライフスタイル自体を、現代から昔の暮らしに戻すのはなかなか難しいと思いますが、最近は若い世代が自然豊かな田舎暮らしにシフトしたり、自律分散型社会、つまり自分たちで食べ物やエネルギーをまかない地域で助け合い、お金がすべてではない暮らしを叶える人も増えていて、そんな社会も一つの在り方だなと感じています。

–{認証ラベルがあれば安心?}–
Q. 認証ラベルがあれば安心?


A. エシカルを総称した認証ラベルは存在しませんが、見極めの助けになるのが認証ラベルです。ただ、認証制度も信頼性はさまざまで、自社基準のラベルもあり、逆に認証を取得せずとも素晴らしい商品もあります。海外では商品の生産背景が分かるアプリが開発され、日本でも今後、AIの技術を使って魚介の背景などを見分けられる仕組みが登場するかもしれません。かといってライフスタイルを改めなくていいわけではないので、賢く利用していきたいですね。

Q. 選択に迷ったらどうすればいい?


A. すべてがパーフェクトな商品が少ない今は、あれもこれもと条件を天秤にかけると決められないので、自分が何を一番優先したいか、「これだけは守ろう」というテーマを作るといいと思います。エシカルじゃない面はいったん横に置き、たとえば、プラスチックだけはやめよう、子供や動物の被害だけは避けよう、無農薬や化学物質フリーだけは守ろうなど、今一番後押ししたい問題解決を1つ2つ決めて、その目線で選んでいくと判断もシンプルになるはずです。

Q. 周りへの伝え方に悩むのですが?


A. エシカルライフは自分が取り組むと同時に、周りに話したり、企業に声を届けたり、「伝える」ことも大切です。そこではストレートな問題提起や意見が必要なときもありますが、ネガティブなことを挙げればキリがなく。逆に、「この商品はこんなストーリーがあって素敵」「このアイテムのここが好き。でも環境を傷つけていないともっと嬉しい」など、自分自身が楽しむ姿を見せながらポジティブなアクションで広めていけるといいと思います。

末吉 里花さん
一般社団法人「エシカル協会」代表理事。1976年ニューヨーク生まれ。『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅し、約15年前にフェアトレードやエシカルの思想を伝える活動をスタート。2010年から「フェアトレード・コンシェルジュ講座」(現「エシカル・コンシェルジュ講座」)を主宰し、2015年に「エシカル協会」を立ち上げる。著書に『はじめてのエシカル』、絵本『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』(ともに山川出版社)。